賃上げ企業8割超、9割超える産業も多数

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2017/12/07

 2017年中に1人平均賃金を引き上げた又は引き上げる企業が87.8%となり、上位6産業では9割を超えていることが厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」で分かった。

 2017年中の賃金改定の実施状況(9~12月予定を含む)は、「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」は87.8%(前年86.7%)、「1人平均賃金を引き下げた・引き下げる」は0.2%(同0.8%)、「賃金の改定を実施しない」は6.3%(同7.1%)となった。

 産業別にみると、賃金を引き上げた割合が最も高いのは「建設業」で97.1%、次いで「製造業」95.7%、「金融業・保険業」95.2%となり、上位6産業はすべて9割を超える結果だった。

【産業別 賃金を引き上げた割合 上位10産業】
1位 建設業 97.1%
2位 製造業 95.7%
3位 金融業・保険業 95.2%
4位 医療・福祉 94.3%
5位 情報通信業 91.5%
6位 電気・ガス・熱供給・水道業 90.8%
7位 卸売業・小売業 89.8%
8位 不動産業・物品賃貸業 88.8%
9位 学術研究・専門・技術サービス業 86.4%
10位 教育・学習支援業 84.3%

 2016年中の1人平均賃金の改定額は5627円(前年5176円)、1人平均賃金の改定率は2.0%(同1.9%)となった。

 企業規模別にみると、1人平均賃金の改定額は5000人以上の企業で6896円(前年5683円)、1000~4999人で5186円(同5434円)、300~999人で5916円(同5319円)、100~299人で4847円(同4482円)となった。

 改定率は企業規模の大きい順に2.1%(同1.9%)、1.8%(同1.8%)、2.1%(同2.0%)、1.9%(同1.8%)と、どの規模の企業もおおむね2割増しの改定額となった。

 2017年中に賃金の改定を実施又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業につ
いて、管理職の定期昇給制度がある企業で定期昇給を「行った・行う」は69.0%(前年68.1%)、「行わなかった・行わない」は6.3%(同5.0%)となった。

 一般職の定昇制度がある企業で定期昇給を「行った・行う」は77.5% (前年78.4%)、「行わなかった・行わない」は5.0%(同3.3%)となった。

 定期昇給制度がある企業のうち定期昇給とベア等の区別がある企業で「ベアを行った・行う」は、管理職で22.9%(前年17.8%)、一般職で26.8%(同23.3%)となっている。

 賃金の改定を実施または予定していて額も決定している企業について、賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素は「企業の業績」が55.0%(前年51.4%)と圧倒的だった。

【賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素 上位5項目】
1位 企業の業績 55.0%
2位 労働力の確保・定着 8.7%
3位 世間相場 5.1%
4位 親会社又は関連(グループ)会社の改定の動向 4.6%
5位 前年度の改定実績 4.0%
(重視した要素はない 13.1%)

 調査は、2017年8月、全国の企業約3500社を対象に郵送で実施し、常用労働者100人以上の企業1606社の有効回答を集計した。

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