実力主義の会社で働くには?年功序列との違いと向いている人を解説
かつて、日本の企業では長く勤めれば勤めるほど評価される「年功序列」が主流でした。しかし近年、「実力主義」を掲げる企業が増えています。今回は、近年増加している実力主義という社風について、年功序列の社風と比較しながら紹介します。実力主義と年功序列の違いを知り、転職や就職の際の企業選びの参考にしてみてください。
実力主義とは
実力主義とは、学歴や年齢、勤続年数などにかかわらず、仕事の成果や能力で評価する制度のことです。似たような言葉に「成果主義」もありますが、こちらも実力主義と同様の意味を持ちます。
実力主義の制度を取っている企業では経験年数などにかかわらず、成果次第では自分よりも職歴が長い人より高い評価を得られ、昇進や収入アップが期待できます。
年齢や勤続年数は努力で積み重ねられるものではないので、実力主義の企業ではこれらを重視している企業よりも早い昇進や昇給、キャリアアップが望めるでしょう。

実力主義と年功序列の違い
年功序列とは、年齢や勤続年数を評価要素として重視した評価制度です。つまり、実力主義とは正反対の評価制度といえます。
年功序列は、長く働けば働くほど高く評価されて収入もアップするため雇用が安定しやすく、社員が長期間定着しやすいメリットがあります。また、長く働く社員が多くなることで経験値の高い社員が増え、若手の育成がしやすくなり、長期的な育成制度が実現する点も年功序列のメリットです。
かつて、日本の企業ではこの年功序列が一般的でした。しかし多くの企業で雇用形態の多様化やコスト削減を図った結果、1990年代頃からは実力主義が増加傾向となっています。

実力主義のメリット・デメリット
実力主義のメリットとデメリットは以下のようなものが挙げられます。
実力主義のメリット
実力主義は年齢や勤続年数に関係なく、成果を上げるだけ評価されるのが大きなメリットです。若手社員、または勤続年数が短い社員でも実力さえあればキャリアアップを実現しやすいといえます。従業員の頑張りが評価に直結するので、成果や結果を出そうとするために仕事に対するモチベーションを維持しやすいのもメリットです。
また、実力主義を取っている企業では、自分の能力を認めてもらった上で仕事を任せてもらえるので、自分の裁量で働くことも可能です。年功序列とは異なり早い段階で裁量権を持つ機会も得られ、仕事に対するやりがいを感じやすいメリットもあります。
実力主義のデメリット
実力主義は実力第一なので、成果を出せないと大きなプレッシャーを感じてしまうこと、個人の成果が評価につながるため個人プレーになりがちで、社内での競争が激しくなりやすいことがデメリットです。他の社員を競争相手と思ってしまいかねず、協力体制を築きづらくなる点も、実力主義を取っている企業で働く上でデメリットとなり得ます。
また、実力主義の企業では実力や成果が第一となるため、成果を出せずにいると劣等感を抱いてしまうこともあるでしょう。場合によっては上司が自分より年下となることもあるので、人間関係がうまくいかず会社にいづらくなる可能性もあります。
実力主義に向いている人の特徴とは
社風は企業それぞれに異なるものなので、人によって向き不向きがあります。実力主義も同様で、向いている人もいれば年功序列のほうが適している人もいます。では、どのような人が実力主義に向いているのでしょうか。
特徴1:向上心がある人
自分で仕事の幅を広げたい、能力を上げて任される仕事を増やしたいなど、仕事に対して前向きな気持ちで向上心がある人は、実力主義の会社に向いています。常に努力を続けて自分の能力を向上させつつ、周囲からのアドバイスやフィードバックを受け入れて目標を達成するために意欲や向上心を持ち続けられる人は、実力主義の企業で活躍できるでしょう。
特徴2:競争心が強い人
個人の成果が重要視される実力主義の会社では、他の従業員と切磋琢磨しながら仕事に取り組みます。そのため、強い競争心を持つ人も実力主義の企業に向いているといえます。競争心が強い人であれば、周囲と切磋琢磨する環境に置かれることで成長でき、自分の能力を最大限に発揮できるでしょう。
特徴3:ストレス耐性が高い人
他の社員と競争となる可能性がある実力主義の企業では、成果を出せないことがストレスにつながりやすく、ストレス耐性が低い人は「成果を出さなければならない」というプレッシャーに負けてしまうことがあります。そのため、プレッシャーに負けずに競争に立ち向かって成果を出せる、ストレス耐性の高い人のほうが実力主義に向いています。
実力主義の会社で働きたいと思ったら
実力主義は一般的に外資系企業やベンチャー企業に多く見られます。その他にも、営業職やクリエイター職も実力主義を取っているケースがあります。しかし、これらの企業すべてが実力主義の評価制度というわけではない点に注意が必要です。

実力主義の会社で働きたい、適性があると考えている人は、転職や就職の際の企業選びの際に実力主義の会社を表すキーワードをチェックしてみましょう。例えば、求人情報に「裁量権」や「能力報酬」などのキーワードがあれば、実力主義の企業だとある程度判断できます。
また、成果で従業員を評価する企業でも、会社の経営状況が良好でなければ成果が給与に反映されない場合があります。きちんと実力が評価につながり、給与に反映される企業かどうかを判断するには、経営状況もチェックしておくべきでしょう。