無期雇用という働き方#2 派遣期間制限の到来間近!アリさん?それともイルカ!?あなたは何タイプ?これからの働き方を考えよう
抵触日、無期雇用への転換、2018年問題、派遣法改正・・・そんな言葉を最近よく耳にしませんか?有期雇用契約、特に派遣で働く人の中には、2018年10月以降、働き方が変わる大きな節目を迎える人がいます。「このままでも大丈夫だと思っていたけど違うの?」「新しいルールって?」「実はよく分からない・・・」。そんなあなたもこのコラムを読めば、これからの働き方のヒントを見つけられるはずです!
まずは「抵触日」を知ろう
「抵触日(ていしょくび)」ーなんだかちょっとカタイ感じの言葉ですね。でも派遣という働き方を選ぶ人にとっては、切っても切れない重要なキーワード。もしあなたが既に派遣で働いているとしたら、抵触日がいつやってくるのか、期間のカウントはいつはじまったのか、まずは確認してみましょう。「抵触日」を知ることが、これからの働き方を考える第1歩になるはずです。
抵触日が来ると、どうなるの?
2015年9月の労働者派遣法の改正で、同じ職場で派遣のお仕事を続けられるのは「3年」まで、という期間の制限が設けられました。派遣先でのお仕事がスタートすると同時に期間のカウントが始まり、3年を超えてその職場で派遣就業を続けることはできません。この「3年を超える最初の日」がいわゆる「抵触日」と言われているものです。
では、このカウントはいつからされているのでしょうか。それは改正労働者派遣法が施行された2015年9月30日以降に結ばれた契約の就業開始日から。つまり最も早い人だと、2018年の9月30日に抵触日を迎えることになり、2019年の初頭にかけて、3年の期間上限に到達する人が多いとみられています。
3年経ったら本当にオシマイ?!
せっかく仕事にも慣れたし、派遣先での信頼関係も築いたのに・・・。3年というと、ちょうどそんな頃かもしれませんね。でもこの期間制限は業務の例外なし!(※)ですから有期の派遣で働くほとんどの人が、この節目を迎えるというわけです。
※業務に例外はありませんが、派遣元との無期雇用、60歳以上、産休代替、有期プロジェクトなど一定の条件を満たした場合には例外となります。
では3年経ったら、それきり終わりになってしまうのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。同じ職場におけるあなたの派遣期間が3年の見込みとなる時期から、雇用主である派遣会社は、その後の雇用を安定させるための措置を講じる義務があります。(雇用安定措置)
- 1. 派遣先への直接雇用依頼
- 2. 新たな派遣先の提供
- 3. 派遣元事業主による無期雇用
- 4. その他、雇用の安定を図るために必要な措置
今の派遣先でお仕事を続ける、という道筋も!
詳しく見てみると、抵触日以降も今の派遣先でお仕事を続ける方法がありそうです。
- ・派遣先の直接雇用で働く
- ・派遣会社との無期雇用契約で働く(※)
※派遣会社と無期雇用契約がある人は派遣の期間制限の対象外となり、期間に関係なく働くことが可能です。
どちらになっても、今の派遣先でのお仕事を続けられる可能性はぐんと高くなりますね。とはいえ雇用契約は、どちらか一方の希望だけで成立するものではありません。また、一連の雇用安定措置は、あなた自身がその先も今の派遣会社で継続してお仕事をしたいと希望する場合のお話。そう、大切なのは自分がこれからどんな働き方をしたいのか、抵触日のその先を考えてみること。希望のイメージが見えてきたら、派遣会社の担当者へ伝えてみましょう。
タイプ別に知ろう!あなたらしい働き方。
希望のイメージ、3年のその先ー。いつかやってくるとわかっていても、なかなか決められないのがホンネかもしれません。そんなときは、まずは気持ちの整理をしてみましょう。
1. しっかり育む、アリさんタイプ
(無期雇用派遣に転換する) 2. 広い海を自由に泳ぐイルカタイプ
(登録型有期派遣のまま他の派遣先で働く) 3. 売り手市場の今がチャンス!?理想を目指すチータータイプ
(派遣以外の働き方にチャレンジ) 4. まずは道標を確認!迷える子羊タイプ
(これからのことは相談して決めたい)
1. しっかり育む、アリさんタイプ(無期雇用派遣に転換する)
~今働いている職場がいちばん!このまま働き続けたい~
できれば慣れた職場で働き続けたい!せっかく習得した業務の要領や築いた人間関係は大切にしたい!3年間着実にお仕事をしてきたアナタだからこその実感ですね。派遣という働き方のメリットも残しつつ、今の派遣先で引続きお仕事をしたい場合、派遣会社との無期雇用が考えられます。無期雇用の場合、派遣の期間制限に関係なく仕事を継続できるだけでなく、万一、今の派遣先が終了してしまった場合にも、次の就業まで派遣会社に雇用を保障してもらえる安心感も魅力です。長期的視点で仕事やキャリアについて、派遣会社とはいわば二人三脚で歩んでいくことになりますから、短期の更新に不安を感じていた方にとっては、まさに安定した働き方と言えるでしょう。
ただし、無期雇用になると、適用されるルールも多くの場合それまでとは変わります。給与の構成が変わったり、勤務地異動の可能性がでてきたり。詳細は派遣会社によって異なりますので、必ず詳しい説明を聞き、納得したうえで転換してください。
2. 広い海を自由に泳ぐイルカタイプ(登録型有期派遣のまま他の派遣先で働く)
~派遣だからこそ!いろいろな職場や人と出会いたい~
自分の条件にあった仕事を選べるのが派遣の魅力!せっかくなら他の企業や職場も経験してみたい。私にピッタリの仕事を見定めるのは、他を見てからでも遅くない?!そう考えるあなたは、大海原を悠々と泳ぐイルカタイプ。派遣先が変われば、3年の期間制限はリセットされ、カウントはまた1からスタートですので、新しい職場で気分も新たにお仕事するのもいいでしょう。仕事も職場環境も、いつも新鮮さや刺激を求めているあなたにはピッタリの働き方かも知れません。
また、あなたの希望やライフスタイルに合わせ、お仕事を派遣会社が紹介してくれる、というのも派遣ならではのポイント。今はまだ決めたくない・・・そう思っているなら、働く場所を変えるという手もアリですね。
3. 売り手市場の今がチャンス!?理想を目指すチータータイプ(派遣以外の働き方にチャレンジ)
~とことんキャリアップ!スキルアップ!~
正社員へキャリアチェンジも視野に、今までの経験やスキルを活かした働き方を模索しているあなたは、積極的なスキルアップやキャリア向上、理想を追いかけるチータータイプ。例えば、今の派遣先で直接雇用を希望する。あるいは、全く別の会社へチャレンジするといのもひとつ。中途採用が一般的になり、未経験の採用も広がっている今はチャンスと言えるかもしれません。その際も重要なのは自分の中の優先順位。派遣以外にも働き方はいろいろですから、正社員を目指すのか、働く環境を重視するのか、プライベートを優先できる柔軟性か。人材紹介サービスも行う会社であれば、担当者を通して相談してみてはいでかがしょうか。
4. まずは道標を確認!迷える子羊タイプ(これからのことは相談して決めたい)
~この機会だからじっくり考えたい!これからの私~
スキル?キャリア?お給料?それとも...。私にとって「働くこと」ってなんだっけ?これからの自分について、考えてみる、いいきっかけになるかもしれません。迷ったらまず立ち止まって気持ちを整理してみましょう。ひとりでは見えない答えが、誰かに話すことで見つかることも。そもそも何から相談しよう?そんな時は、カウンセリングを利用してみるのもおすすめです。多くの派遣会社にはキャリアカウンセリングの制度があります。派遣会社の制度をフル活用してモヤモヤをすっきりさせませんか。また、自分の「抵触日」がわからない、という場合には早めに確認しておきましょう。担当者に聞けば、年月日まで教えてくれるハズ。今の派遣先での期限を意識すると、自ずとその先へのイメージもつきやすくなりますね。
今だからこそ考えよう!これからもあなたのキャリアは続いていきます。
派遣で働ける3年の期限、確かに慣れ親しんだ職場を離れると思うと不安になりますよね。でも見方を変えると、これからの働き方を考えるよいきっかけになりそうです。無期雇用に転換する、新たな仕事にチャレンジする、このまま有期で派遣を続ける―どの道を選ぶとしても、そこにはメリットとデメリットがあるものです。あなたにとってなにが大切で、なにを優先したいかはライフステージによっても違ってくるはずですから、それぞれのよい点、悪い点をじっくり比べてみましょう。
いかがでしたか。3年間の業務を通じ培ってきた経験とスキルはきっとあなたを成長させています。今までの道のりで得たものを、これからどう活かすのか。あなたのキャリアは3年では終わりません。歩む道と同じ数だけ、キャリアのカタチはあっていいもの。私らしい働き方ってなんだろう?この機会にあなたらしい、これからの働き方を考えてみましょう。
無期雇用派遣についてもっと詳しく知りたい方はこちら!「無期雇用派遣」って何?正社員や登録型派遣との違いとは?【社労士がまるごと解説!】無期雇用という働き方 ~労働契約法と派遣法、それぞれのルール~
*本記事は2018年08月30日に公開した内容を再編集して掲載しております。
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キャリアHUB編集部