近年需要が高まっているエッセンシャルワーカーとはどんな仕事?
新型コロナウイルス感染症の流行下で人との接触をできるだけ避けるため、できるだけ自宅で仕事をする「テレワーク」が普及しました。その一方で、「エッセンシャルワーカー」という言葉を耳にする機会も増えたのではないでしょうか。では、エッセンシャルワーカーとはどんな職業の方なのでしょうか。今回は、エッセンシャルワーカーと呼ばれる職種について解説します。
エッセンシャルワーカーとは
「エッセンシャル(essential)」には、「必要不可欠な」という意味があります。つまり、エッセンシャルワーカーとは日常生活を送る上で必要不可欠な、社会機能維持に欠かせない業務に従事する人という意味があります。
事務職などのオフィスワークはオフィスを離れてもできる仕事が多く、そのため多くの場合テレワーク対応が可能でした。しかしエッセンシャルワーカーは社会機能の維持に直接関わる業務にあたっているため、テレワーク対応は難しいでしょう。
業務の種類を分類する方法として、「ブルーカラー」と「ホワイトカラー」の2種類があります。ブルーカラーとは、青い作業着を着て働くことが多い建設業や製造業などの肉体労働に従事する人、これに対するホワイトカラーは、主にオフィスで働く人を指します。
一見すると、ブルーカラーがエッセンシャルワーカーと思われがちですが、ブルーカラーとホワイトカラーは単純に業務の違いを示したものです。実際は、ブルーカラーとホワイトカラーどちらにもエッセンシャルワーカーは存在しているため、ブルーカラーだけがエッセンシャルワーカーとは一概には言えません。
エッセンシャルワーカーってどんな仕事?
具体的に、エッセンシャルワーカーとは以下のような職種を指します。
・医療
医師、看護師、薬剤師など
医療現場で働く医療従事者は、エッセンシャルワーカーとしてコロナ禍で広く知られるようになりました。医療関係の資格所持者以外にも、調理師や清掃員などの医療機関で働く職種もエッセンシャルワーカーです。
・介護・福祉
介護福祉士、介護職員など
高齢者の生活に必要な介護に携わる介護職員は、直接高齢者と触れ合う必要があるので、エッセンシャルワーカーとなります。
・公務員
警察官、消防士、自治体職員など
地域住民が安心して暮らせる生活基盤の維持と社会活動に必要不可欠な業務を担う公務員は、エッセンシャルワーカーに含まれます。
・教育機関
教師、保育士、幼稚園教諭など
小中学校、高校ではリモートでの授業が行われていましたが、完全な指導・教育は困難です。幼稚園教諭や保育士など、子どもに関わる仕事もリモートは難しいため、エッセンシャルワーカーとなります。
・小売・物流
販売員、トラック運転手、郵便配達員など
生活に必要な食料品や日用品の流通・販売に従事するエッセンシャルワーカーは、非常に身近な存在です。郵便配達員も生活に必要な商品を届けるため、エッセンシャルワーカーに含まれています。
・生活インフラ
ガス・水道、電気、ごみ収集などに関わる職種
生活インフラの維持に欠かせないガス・水道・電気に関わる職種のほか、ごみ収集業者も清潔な社会の維持に必要という意味でエッセンシャルワーカーに含まれます。また、バスや電車などの公共交通機関の運転手も生活インフラに関わるエッセンシャルワーカーです。
エッセンシャルワーカーへの注目と待遇改善の傾向が高まっている
コロナ禍では、可能な限り人との接触を避けるため、オフィス業務に関わる人を対象としてテレワークが推進されました。一方、エッセンシャルワーカーはテレワークへの切り替えが難しい仕事にもかかわらず、人々の生活を維持するために必要不可欠な存在です。
社会的な緊急事態の中でも、エッセンシャルワーカーは生活に必要な職種ですが、コロナ禍のような感染症流行中でも働かなければならない高リスクの業務では、心理的・体力的な負担がかかるでしょう。
コロナ禍における医療従事者が、その顕著な例です。このような事情から、コロナ禍でエッセンシャルワーカーの存在が注目されました。エッセンシャルワーカーは人々が生活を送るために必要不可欠な職種であることから、賃金などの待遇改善や支援、採用支援の取り組みが活発化する傾向がみられます。
エッセンシャルワーカーは日常生活に必要不可欠
コロナ禍のような感染症の流行や少子高齢化によって、エッセンシャルワーカーの需要はさらに高まっています。採用支援や特別手当の支給など、エッセンシャルワーカーを抱える企業では人材確保と待遇改善に取り組んでおり、補助金制度を創設するなど国による待遇改善も活発化しています。
エッセンシャルワーカーの仕事はテレワークが難しい反面、現在は多くの企業が安定した人材確保に取り組んでおり、需要も高い職種です。就職先を検討している方は、候補としてエッセンシャルワーカーの仕事を検討してみてはいかがでしょうか。