「無期雇用派遣」って何?正社員や登録型派遣との違いとは?【社労士がまるごと解説!】

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2017/09/07

平成25年(2013年)に改正された『労働契約法』において「無期労働契約への転換」というルールが定められ、平成30年(2018年)4月より、無期雇用派遣という働き方が生まれることになりました。「無期雇用派遣」は正社員や普通の派遣とどう違うのか?また、どのような方が対象になるのか?派遣社員として働く方が理解しておきたいポイントを、社会保険労務士が分かりやすく解説します。

「無期雇用派遣」って何?正社員や登録型派遣との違いとは?【社労士がまるごと解説!】

「無期雇用派遣」とは?

派遣社員は有期雇用(期間の定めがある労働契約)で働くものとばかり思っていたので、正社員でもないのに無期雇用というのは、ちょっと不思議な感じがする......という人も多いかもしれません。中には、「無期雇用派遣」は正社員になって派遣の仕事をすることと思われる方がいるかもしれませんが、実はそうではありません。それでは「無期雇用派遣」と正社員には、どんな違いがあるのでしょうか。また、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

「無期雇用派遣」とは何か

平成25年4月1日の労働契約法の改正に伴い、同一の使用者との間で、有期労働契約(期間の定めのある労働契約)が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者からの申込みにより、無期労働契約(期間の定めのない労働契約)に転換できるようになりました。その際、労働者は申し込みをするだけでよく、使用者はこれを断ることができません。つまり、同じ派遣元との契約が複数回更新され、平成25年4月1日以降に開始した契約期間が通算5年を超過した場合、派遣社員が希望すれば、期間の定めのない労働契約に転換することができます。こうして、期間の定めのない契約へ転換した派遣のことを「無期雇用派遣」といいます。

登録型派遣との違い

派遣には、「登録型派遣」と「常用型派遣」の2つの派遣形態があります。派遣を希望する労働者があらかじめ派遣元に登録しておき、派遣の都度、派遣元と有期雇用契約を結び、派遣期間が終了したら、労働契約も終了するのが「登録型派遣」です。一方、派遣される労働者が当初から社員として派遣元に雇用され、派遣先で就業するのが「常用型派遣」です(図1参照)。

図1

「登録型派遣」と「常用型派遣」の違い

この「常用型派遣」の中に新たに「無期雇用派遣」が生まれることになりました。「無期雇用派遣」は正社員として雇用されるわけではありませんが、無期転換後は派遣元と無期雇用契約を結んでいるという点では、「常用型派遣」となります。

正社員との違い

「無期雇用派遣」と正社員が同じなのは、期間の定めがないという点です。ただし、賞与や各種の手当等、その他の労働条件は、それぞれの雇用形態によって異なりますので確認しましょう。例えば、派遣社員就業規則には、以下のように規定していることがほとんどです(無期雇用派遣社員の労働条件)。残念ですが、「無期雇用派遣」への転換のみをもって「正社員」となるわけではありません。

  • 第○条 無期雇用派遣社員の労働契約期間は、期間の定めがないものとし、その他の労働条件については、原則として無期転換直前の労働条件と同一とする。

「無期雇用派遣」のメリット

「無期雇用派遣」として働く最大のメリットは、派遣元が雇用を保証してくれる点です。「登録型派遣」のように、派遣先の就業が終了した途端に収入やキャリアが途絶えてしまうという不安はなくなり、収入面でもキャリア面でも安心して働くことができるようになります。

【メリット1】雇用を保証してもらえる

今の派遣先の仕事が終了しても、派遣元が雇用を保証してくれるので、次の仕事が決まるまでの不安がなくなります。

【メリット2】 就業が途絶えず、長期的に働くことができるのでキャリアが磨ける

常に働く機会を提供してもらえるので、長期的な視点でキャリアを磨くことができます。

【メリット3】年齢を重ねても、次の派遣先を探す手間や不安が解消される

多くの場合、年齢とともに新しい仕事へのチャレンジに不安が増しますが、「無期雇用派遣」の場合は派遣元が経験やスキルを考慮した仕事を探してくれるので、年齢を重ねる不安が解消されます。

【メリット4】 派遣期間制限の3年を超えても、同一業務で働ける

改正派遣法(平成27年9月30日)では、同一組織で働ける期間は3年間の制限がありますが、「無期雇用派遣」に転換した場合は例外として期間の制限なく働き続けることができます。

「無期雇用派遣」のデメリット

一方、「無期雇用派遣」として働く際には、デメリットもあります。雇用の安定とひきかえに、新たに課される義務もありますので、どちらの働き方がより自分にあっているか、考えてみましょう。

【デメリット1】切れ目なく働き続ける必要があるので、自由がなくなる

派遣ならではの自由さはなくなります。「無期雇用派遣」は、派遣で働きながら、長期の旅行や趣味を楽しむことを目的にしている方には向かない働き方かもしれません。

【デメリット2】派遣先変更の可能性がある

雇用を保証してもらえる代わりに、自分で働く先を選ぶことが難しくなります。また、一定期間で様々な会社に派遣される可能性があり、新しい環境や業務にすぐに馴染む努力をしなければなりません。

無期雇用派遣の対象者とは?

「無期雇用派遣」は、派遣元との有期労働契約が複数回更新されて通算5年を超過する方が対象となります。条件の詳細と、対象になった場合どのような選択肢があるのかをご説明します。

無期雇用派遣の対象者とは?

無期雇用派遣に転換する条件

無期雇用契約への転換を申し込む権利(「無期転換申込権」といいます)が発生した契約期間中に、申し込みをすれば、その時点で無期雇用契約が成立します。
無期転換申込権は、次の3要件がそろったときに発生します。

要件① 有期雇用契約の通算期間が5年を超えている。
同一の派遣元との間で2以上の雇用契約があり、それを通算した期間が5年を超えていること。
要件② 契約の更新回数が1回以上ある。
契約更新が1回以上行われていること。
要件③ 現時点で同一の派遣元との間で契約している。
通算5年を超えて契約をしてきた派遣元との間で、現在も有期雇用契約を結んでいること。

つまり、現在の派遣元での雇用契約が複数回更新されており、その期間を通算して5年を超えていれば、派遣社員の申し込みにより、次の雇用契約から無期雇用派遣に切り替わります。無期転換を申し込む権利は労働者の権利で、申し込みを実際にするかどうかは本人の意思で決めることができます。
実際には、平成30年(2018年)4月以降から無期転換申込権が発生する方がでてきますので、自分が対象となるかどうかについて詳しくは、各派遣会社へ問い合わせをしてみてください。

対象になったら、自分の意思で働き方を選択しよう

無期雇用の対象となれば、その時点で、今まで通りの派遣就業か、「無期雇用派遣」かを選択できます。ただし、「無期雇用派遣」を選択するのであれば、今までのような「派遣社員」としての意識は少し転換する必要がありそうです。同じ派遣元で有期雇用契約を継続している限り、いつでも「無期雇用派遣」のチャンスはありますので、自分らしい働き方とはどういうものなのか、よく考えた上で選択することが大切です。
安定か、地位か、時間か、キャリアか、ワークライフバランスか?自分の中の優先順位と将来のキャリアを考えて、自分に合った働き方を選択してみましょう。

【選択肢1】「無期雇用派遣」に転換する

「無期雇用派遣」に転換すれば、それ以降、派遣元の業務命令に従い働くことになります。

【選択肢2】無期雇用派遣は拒否し、登録型派遣で継続して働く

登録型の有期雇用派遣のまま働き続けたい場合は、無期転換を申し込まないという選択肢があります。一度「申し込まない」としたものの後から考えが変わった、という場合にも、その後契約が更新されれば、そこで申込みすることが可能です。

【選択肢3】正社員として転職する

キャリアを考えるうえで「いずれ正社員として働きたい」という意志がある人は、「無期雇用派遣」ではなく、登録型派遣のまま、転職活動や紹介予定派遣を通じて、自分が望む正社員になるチャンスを残しておくことも選択肢のひとつです。書類選考や面接等、当然、無期雇用派遣よりも採用ハードルは高くなりますが、自分が納得した上で正社員になれることを考えれば、長い目でみたときのメリットはそのぶん大きくなると言えるでしょう。

【選択肢4】在宅、フリーランス、アルバイトなど、派遣以外の働き方を選ぶ

働き方は絶えず多様化しています。自分の得意分野や能力を活かして自由な場所・時間で働ける、在宅勤務やフリーランスなど、正社員・派遣社員以外の選択肢も視野に入れましょう。



「無期雇用派遣」がどういうものなのか、メリットもデメリットも色々とご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?本当に重要なことは、皆さん一人ひとりが幸せになることです。自分が幸せになるには何が必要なのか、自分の夢や目標は?あらためて考えてみる、良い機会かもしれません。今回ご紹介した内容を踏まえて、自分にとって最適な、納得できる働き方を選んでください。

ライタープロフィール

関根 光
社会保険労務士(スポット社労士くん社会保険労務士法人)

顧問料の0円の「スポット社労士くん」を全国展開。社労士のかたわらマネーセミナー「100ten.school」を主宰し、毎年500人以上の派遣スタッフにマネー教育を提供する。
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