正社員に疲れたあなたへ―。現状を変える3つの方法。
※この記事は、2018年1月23日に執筆し、加筆・修正を加えたものです。
「正社員として働くのに疲れた」と「正社員疲れ」していませんか?希望を胸に正社員として入社した会社だけれど、毎日疲れてヘトヘト......。仕事へのやりがいもいつしか消え、今は毎日を過ごすだけで精一杯。自分の将来どころか、仕事の来期の目標を考える時間も余裕もない。とにかく疲れた......。こんな状態に当てはまってしまったあなたは要注意。
正社員としてマジメに働いているからこそ限界を感じて心身ともに疲れてしまったあなたへ、現状を変えるいくつかの方法をご紹介します。
その疲れ、もしかして「正社員疲れ」?
正社員は、収入が安定している、雇用が保障されているなどメリットがある一方、責任の重さからくるプレッシャーや、多忙な業務などに疲れを感じる人も少なくありません。
また、「小売業の営業で働いていたが、残業が多いのに残業手当がなく、労働時間と給与が見合っていない」というような理不尽さを感じる人もいるようです。
契約社員やアルバイトと、正社員とは何が違うのでしょうか。自分が今の仕事に向いていないと感じたり、いきいきと働けなかったりするのはなぜなのでしょうか。まずは正社員での勤務に疲れてしまう原因について考えてみます。
勤務時間が想像以上に長い
たとえば、採用時の条件は定時が8時40分~17時10分なのに、毎日2~3時間の残業があるケース。契約社員やパートの人が退社した後も、正社員だから残った仕事を頑張って片付けることがあるかもしれません。
残業代がきちんと支払われていればブラック企業とは断言できませんが、プライベートの時間が少なくなることで、心の余裕がなくなってしまうこともあるでしょう。
また、遠距離へ出張した時に、本来労働時間とみなされるはずの移動時間が勤務時間に含まれない、上司が帰らないのでサービス残業があたりまえ、といった状態は法的にも問題ですし、山積みの業務をこなすのに精一杯で職場の雰囲気もギスギスしてくるでしょう。
拘束時間を含めた実質の勤務時間で最低賃金を下回る時給になってしまうと、パートやアルバイトと比較して正社員待遇とは何なのだろうと感じてしまうかもしれません。
責任だけが非常に重い
新入社員、若手社員なのに現場には管理職がいない、あるいは管理職はいても責任を取りたがらず、現場にいる自分が店舗全体の指揮を取らなければならない。といった職場もあるかもしれません。
正社員の職務に責任はつきものであり、高い目標や難しい業務への挑戦は上司からの期待の表れでもありますが、業務に慣れるまでのOJTや明確な指示がないまま現場に放り込まれては、効率的な動きができず、周りにとっても自分にとってもつらい時間が流れてしまいます。
また、見事責任を果たしたのに、それに対するねぎらいやほめ言葉、ボーナスなどでの評価がないと、モチベーションを保つのが難しくなるでしょう。
人間関係が複雑で大変
職場の人間関係が複雑で四方八方に気を遣うだけで疲れてしまう、頼みごとをしてもスムーズに仕事が進まない場合、責任感の強い人ほど自分で努力してしまうもの。
しかし、問題解決に積極的でない管理職や、ストレスを抱えてSOSを出しても助け舟を出してくれない人事担当者などに行き当たると、正社員としてこの環境の中で働き続けられるのだろうかと不安になるでしょう。
負担が大きい独特な社風
少人数の職場で、ワンマンな社長や部長の機嫌次第で風向きが頻繁に変わる、「目標を達成できていないのに休暇を取るわけにはいかない」といった雰囲気があるなど、チームや部署のみならず、企業全体が常識の範囲を超えて"治外法権化"してしまっているケースもあるでしょう。
「正社員疲れ」とは、勤務時間や精神的な負担の面などで、正社員としての働き方において感じることの多い疲れ。好きな仕事に意欲十分に取り組んでいたとしても、働き方とのバランスが崩れている場合に起こり得るものなのです。
どうしたら現状を打破できる?
「もう辞めます!」と、退職願を出すのは簡単かもしれませんが、ちょっと待ってください。もし次の職場でも同じようなことがあった場合にまたすぐ辞めたくなると、同じことの繰り返しになってしまいます。辞めたくなる疲れの原因を分析したうえで、退職した後のこともよく考えながら、じっくりと次のステップを考えましょう。
【その1】勤め先を変える
年金や福利厚生があり、契約期限はないというメリットを勘案して正社員というポジションは維持したい。とはいえ今の会社では働くモチベーションが上がらないという場合、正社員としての転職を視野に入れるのも一つです。
ただし「逃げの転職」ではなく、「ステップアップの転職」の道をじっくり探しましょう。
中途採用の面接を受ける際、前職の退職理由は必ず聞かれます。その時に胸を張って、新しい会社でこうしたい、自分の能力をこう活かしていきたいということを伝えられるようにしてください。
そのためには今の職場のいやなところはいったん横に置き、正常な努力の範囲で状況の改善に努め、責任を全うすることです。そうするうちに周囲の空気が変わってくることもあり得ます。
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【その2】働き方を変える
正社員という働き方にこだわらない場合、選択肢は広がります。家事や育児、介護で忙しく、プライベートの時間と仕事の時間のバランスが気になる方も最近は増えているようです。
正社員以外にはどんな働き方があるのでしょうか。ワークライフバランスを実現しやすい雇用形態をみてみましょう。
非正規雇用で働く
正社員以外の非正規雇用という労働形態には、企業と直接雇用契約を結ぶ契約社員、パート、アルバイト、人材派遣会社からの派遣社員など、さまざまな働き方があります。
企業との無期雇用契約、ボーナスや昇給といった正社員ならではのメリットがない分、生涯賃金で差が出てきますが、一方で自分の時間を確保でき、プライベートの時間をコントロールしやすくなります。
契約社員は正社員と同様に勤務先と直接雇用契約を結び、常勤ではありますが、有期雇用であり、労働内容が専門的に限定されることもあります。月給または年俸制で、確実なボーナスや昇給はありません。雇用契約が切れた場合、自分で次の職場を探します。福利厚生は社会保険など正社員と同様の場合もあれば、退職金や諸手当がない場合もあります。
パート、アルバイトは雇用期間に定めのある時給制の働き方ですが、労働時間が企業の定める定時より短いのが特徴です。
派遣社員は派遣会社と雇用契約を結ぶ働き方で、交通費を含めた時給制が多く、労働内容はさらに細かく定められます。契約終了後は派遣元が次の仕事を紹介してくれます。業務は派遣先で指示されますが、福利厚生は派遣元の規定に従います。
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フリーランスで働く
会社組織から離れてフリーランスで働くというワークスタイルもあります。自分の能力やスキルを活かして、専門家として看板を掲げたり、さまざまな企業から業務を請け負ったりして、理論上は企業と対等な立場で働いていくことになります。
メリットとしては、自分のペースで自分のしたい仕事ができることです。デメリットとしては、受注がない限り収入がないので経済的に不安定な立場になること、個人事業主として自分で確定申告や社会保険の支払いなど行う必要があることです。自分の代わりはいないので、健康管理も重要です。
副業で稼ぐ
正社員疲れの要因として、「労働時間に対して年収が少ない」「やりたい仕事ができない」などの悩みやストレスがあります。
副業可能な職場であれば、いつか副業をメインの働き方にして独立する可能性を持ちつつ、忙しいながらもダブルワークをするという手もあります。
本業との相乗効果が期待できる副業、または自分がストレスなく、ワクワクできる副業をお勧めします。
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【その3】今の職場でひと休み
今の職場でもう少し働き続けることも考えてみましょう。まずは、自分はどんな時に気分が明るくなり、どんな時に沈むのか振り返り、今の疲れの原因を明らかにします。そしてその原因からくるストレスを解消する方法を探ります。対処方法は人それぞれなので、ご自身に合う解消法を試してみてください。
何よりまずお勧めしたいのは、「ひと休み」です。
職場での評価、上司や同僚の視線も気にはなるでしょうが、健康を害してしまっては元も子もありません。早帰りを心がけ、休暇を取る権利をぜひ使ってください。
どうしてもつらくなったら、社内の健康相談所や医師に相談することも大切です。
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いかがでしたか?
正社員を続けること、他の道を進むこと、どちらを選ぶのも間違いではありません。大切なのは、自分の能力を最大限活かし、お客様のため、誰かのためにいきいきと働き続けられることです。居心地を整えながら、後悔のないよう、職場での毎日を過ごしてください。
ライタープロフィール
遠藤 美穂子
国家資格キャリアコンサルタント。2級キャリアコンサルティング技能士。
14年間の都市銀行勤務を経て、キャリアコンサルタントとして活動開始。ハローワークでの研修講師や、ビジネスマナー指導、大学でのキャリア教育や就職指導を担当。講演のほか、書類の添削や面接でのロールプレイングなど実践的指導も行う。国際文化会館主催の次世代リーダー育成プログラム、新渡戸国際塾一期生。2児の母。
株式会社近代マネジメント