【図解】雇用形態とは?今さら聞けない働き方の種類を分かりやすくまとめました

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2023/08/09

※この記事は、2018年1月17日に執筆し、加筆・修正を加えたものです。

そもそも雇用形態って何?雇用形態の違いを、知って行動するのと、知らないで行動するのは大違い!いざ働くときに雇用形態を理解して、業務を選択して就業先を選んでいますか?「雇用契約書」はしっかり確認していますか?今さら聞けない雇用形態について、人事のプロが指南します。

雇用形態とは?

「雇用形態」と言われてピンときますか?正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣などがあります。では、テレビや新聞でよく聞く、「正規社員・非正規社員」の違いは判りますか?「なんとなく分かる」という方が多いかと思います。「雇用形態と処遇・待遇の違い」を理解して、どの働き方が今の自分に一番合っているかを考えてみましょう。

正規社員、非正規社員ってどう違うの?

「正規社員」と「非正規社員」という分け方は、実は、法律で決められたものではありません。「えっそうなの?」と驚く方が多いかと思いますが、労働基準法では、給与をもらって働く人は、全員「労働者」となり、法律上の線引きはありません。

一般的には、「正規社員」は「正社員」と呼ばれ、

  • ( 1 ) 労働契約に期間の定めが無い
  • ( 2 ) 就業規則に明記されている所定労働時間がフルタイムである
  • ( 3 ) 直接雇用である

の3つの条件を満たした労働者を「正社員」とし、それ以外を「非正規社員」の定義で分けている企業が大多数を占めています。

また、「非正規社員」をさらに「契約社員/嘱託社員」「パートタイマー」「アルバイト」などなど、細かく分けている企業が一般的です。

直接雇用と間接雇用

「正規雇用」「非正規雇用」の他に、「直接雇用」と「間接雇用」という区分もあります。「直接雇用」は、勤務している企業と直接雇用契約を結び、仕事をして、その対価として給与をもらう働き方です。 「間接雇用」は、勤務している企業と給与をもらう企業が異なる場合です。派遣社員の方の働き方がそれに当たります。
※下記、「雇用形態の区分」表をご覧ください。

雇用形態を知ることがなぜ大事なのでしょうか

そもそも、なぜ雇用形態を理解して働き方を考える必要があるのでしょうか。前述の通り、法律で分かれているわけではないので、名称は各社がそれぞれ定義をしています。ですから「そんなこととは思わなかった、聞いてないよ~」と、あとから知ってびっくりすることが無いように、雇用形態ごとの特性や、働く企業によって適用されるルールにどんな違いがあるかを知り、その内容をきちんと確認することが重要なのです。

「正社員」が一番いいの?

テレビや新聞では、「正規社員と非正規社員の格差」とか、「非正規から正規へ」などと話題になるので、皆さんもなんとなく「正社員」が一番良いと思っていませんか?でも、本当に正社員が良いのでしょうか。
いずれの雇用形態にも、メリット・デメリットはあります。今の自分の状況から働き方をよく考え、ピッタリの雇用形態を選びましょう。

雇用形態の種類を知ろう

ここからは雇用形態別にどんな定義なのかを具体的に見てみましょう。
直接雇用の「非正規社員」では、さらに細分化され、「契約社員/嘱託社員」「パートタイマー」「アルバイト」と呼び、多くの企業が、勤務時間や業務内容に応じて雇用形態を分けています。

雇用形態の区分

雇用形態定義一般的な区分
正社員 労働契約に期間の定めがない。フルタイム 正規雇用 直接雇用
契約社員/嘱託社員 期間が定められている雇用契約 非正規雇用※
パートタイマー 勤務時間が正社員より短時間勤務
(主な対象:主婦層)
アルバイト 曜日時間共にテンポラリーに勤務
(主な対象:学生)
派遣 派遣会社から派遣され、派遣先で就労 非正規雇用※ 間接雇用

※平成25年改正の労働契約法で、有期の雇用契約が反復更新されて5年を超えた場合に、本人の希望により無期雇用に転換できるルールが加わりました。

正社員とは?

「正社員」は、一般的に労働契約に期間の定めがなく、就業規則に明記されている所定労働時間がフルタイムの直接雇用の社員をいいます。

契約社員、嘱託社員とは?

「契約社員/嘱託社員」は、労働契約に期間の定めがあります。業務内容としては、一般的に、非正規社員の中でも専門性を持っている方や、勤務時間がフルタイムなど、正社員に準じた働き方といえるでしょう。
また、嘱託社員は、定年退職後の再雇用された労働者のことを指すケースが多く見られます。

パートタイマーとは?

「パートタイマー」は、主に主婦層の方向けの短時間勤務と業務内容を設定していることが一般的です。
扶養範囲内での勤務を希望する方も多く、企業は、例えば子供が学校に行っている9:00~15:00などの短時間勤務を設定して、採用をしています。
最近は、パートタイマーの中から正規社員登用を行っている企業もあり、家庭の状況に合わせて、社内で雇用形態を変えることができる企業も増えてきています。パートタイマーの働き方を検討している方は、先を考えて正規社員登用制度がある企業を選ぶのも一案です。

アルバイトとは?

「アルバイト」は主に学生やフリーターなど、時間的に都合がつきやすい層を対象としている企業が一般的です。
パートタイマーの主婦層が、子供が学校へ行っている間の勤務時間設定が主とすると、学生やフリーター対象のアルバイトは、授業が終わった夕方から夜、または休日の勤務設定が多く見られます。担当する業務は比較的単純な作業が多く設定されています。

法的には、短時間勤務者には、「パートタイム労働法」という法律が適用されます。

派遣社員とは?

「派遣社員」は、勤務する企業の直接雇用ではなく、派遣元企業(派遣会社)と雇用契約を締結し、派遣先企業で業務を行います。給与や勤務・労働条件は、派遣元企業によって異なり、派遣社員という同じ雇用形態で机を並べて同じ業務を行っていても、派遣元会社が違えば条件が違うこともあります。
また、非正規雇用の給与は、多くは時間給で設定されています。ただし同じ時間給でも、通勤費の確認が重要です。直接雇用は別途実費支給、派遣社員は時間給に組み込まれている、ケースが多く見られます。

法的には、「労働者派遣法」という法律が適用されます。

雇用形態別のメリット・デメリット

次に各雇用形態を、メリット・デメリットの切り口で見てみましょう。
同じ事柄でも、ある人にとってはメリットに、一方で他の人にとってはデメリットにもなり得ます。例えば全国・海外に事業展開している企業へ正規社員として転職を考えた場合、海外勤務やいろいろな地域で働きたい人にとってはメリットですが、引っ越しをしたくない人にとってはデメリットになります。
ここでは検討ポイントとして挙げておきます。このポイントで見たとき、自分にはメリットなのか、デメリットなのかを検討してみてください。

「正社員」のメリット・デメリット

<メリット>
安定した雇用 → 雇用期間の定めが無い 賞与や退職金などがある 昇給昇格が見込める → 責任のある仕事ができる 福利厚生や研修が充実
<デメリット>
フルタイム勤務 残業が必要なときもある 転勤や業務変更(ジョブローテーション)がある 直接業務に関すること以外の活動がある → 【例】安全衛生委員会等企業としてやらなくてはならない活動 兼業がしづらい → 許可制、兼業不可としている企業がまだ多い。

「非正規社員」のメリット・デメリット

一方で、非正規社員はどうでしょうか。ここは、「正社員」のデメリットがメリットになっている場合が多く見られます。そのため、正社員の安定性より、自分のやりたいことができる非正規社員を選択する人もいます。

<メリット>
自分の希望する働き方が可能 → 時間や勤務日などの調整がしやすい 兼業可能 転勤が無い 業務範囲が一定
<デメリット>
契約更新が確約されていない → 不安定な雇用 給与が時給制 → 休日が多い月は給与減 研修等教育を受けるチャンスが少ない 昇給昇格は見込めない → 企業により異なる。パートリーダーへの昇格や毎年昇給する企業もあります。 退職金制度が無い 福利厚生面で正規社員と差がある

雇用形態による待遇の違い

最後に、雇用形態による待遇の違いなどを確認していきましょう。

社会保険と給与形態について

雇用形態給与体系社会保険
労働災害保険雇用保険健康保険厚生年金
正社員 月給・年俸
契約社員/嘱託社員 月給・日給
パートタイマー 時給 ◯※1 ◯※1 ×
アルバイト 時給 ◯※2 ◯※2 ×
派遣 時給※3 派遣会社で加入※4

※1、2 パート、アルバイトの社会保険は適用範囲があります。 ※3 派遣社員の時給は交通費込みが一般的です。

雇用形態によって、社会保険への加入状況も変わります。社会保険と、雇用形態と併せて考えると良いでしょう。特に、ご家族の扶養の範囲で働きたい方は、社会保険に入らないような勤務時間を設定しなくてはなりません。その働き方ができる雇用形態を選ぶ必要があります。

社会保険加入条件は、勤務時間や収入で決まり、条件を満たしていれば派遣社員でも適用されます。(※4)それぞれの保険の加入条件を見てみましょう。

労働災害保険

「労働災害保険」は、雇用されていれば全ての人に適用されます。

雇用保険

週20時間以上勤務する場合は、雇用主は従業員を正規・非正規社員問わず、「雇用保険」に加入させる義務があります。雇用保険に加入すると、給与から保険料をひかれますが、退職したあと、差し迫って生活が困らないために給付される保険なので、給与明細を確認して、条件を満たしているのに加入されていなければ、会社に加入をお願いしましょう。

厚生年金、健康保険

「厚生年金」「健康保険」への主な加入要件は2つです。
ひとつは、就業時間が概ね週30時間以上である方。
または、以下5点を全て満たしている方です。

  • ( 1 ) 所定労働時間が週20時間以上
  • ( 2 ) 月額賃金が88,000円以上
  • ( 3 ) 勤務期間1年以上見込み
  • ( 4 ) 従業員数501名以上の企業(500名以下の企業は別途条件があります)
  • ( 5 ) 学生は除外

扶養範囲内で働きたい場合は、加入条件を満たさないような調整が必要です。ただ、厚生年金は、保険料を払うことで手取り収入減へのためらいもありますが、自分の将来への保障となりますので、よく考えて勤務条件を考えることも重要です。また、自分が加入条件を満たしているかがわからない場合は、年金事務所やハローワークへ確認することをお勧めします。

関連コンテンツ:パートの社会保険加入は損?得?2016年10月以降のポイントをお金のプロが解説

就業規則と労働契約書を確認しよう

就業するにあたり、就業規則・労働契約書はとても重要です。
一般的には、「正社員」は就業規則で、「非正規社員」は、パートタイマー用就業規則や個別の労働契約書に労働条件が明記されています。いずれも説明を受け、双方が合意することで労働契約が成立します。内容をよく理解し、わからないところはきちんと確認することが重要です。少なくとも、契約期間と就業時間・業務内容・給与・残業手当の有無と割増率・有給休暇・契約更新と退職に関すること(解雇事由も含めて)は、目を通しましょう。

その他、パートタイマー等の短時間勤務の方は、昇給・賞与・有給休暇・退職手当などの有無も最初に確認しておくと「昇給ってあるのかなぁ。聞いても良いのかなぁ」という迷いがなくスッキリ働けます。

契約の更新時も忘れずに確認

よく起こるのは、業務はそのまま続けているのに、契約書が更新されないことです。入社時はきちんと契約書を取り交わしても、更新時に新契約書が来ないということはよくあります。今手元にある契約書は活きている契約書かは、常に認識しておきましょう。

また、自分が辞めたくないのに、何らかの理由で契約期間中の解雇や、契約更新されない(雇止め)場合、事業主は、その旨を30日前までに予告をする必要があります。そんなときに自分を守るためにも、契約書はとても重要です。
契約書は、あとで「言った、言わない」でトラブルにならないように、合意内容を記載しておくものです。きちんと全部読み、理解してから、押印するように心がけてください。



いかがでしたか?雇用形態って知っているようで、案外知らないことが多いですよね。しかも企業が自由に呼称をつけているので、以前の会社と同じ呼称でも、中身が違う場合があります。その会社ではどんな勤務形態で、業務内容がどんなものなのか、給与はどうなっているかをきちんと確認してください。

また労働契約書は、内容を理解して、わからないことは質問してくださいね。あとで、「こんなはずではなかった。」と認識の違いが出るのは、企業も自分もお互い不幸になります。今まで案外普通にやってきたことだと思いますが、雇用形態の違いもきちんと自分で選んで、自分にピッタリの働き方を見つけてください。そうすることで、きっと幸せに働けるようになれます!

ライタープロフィール

ヒトノコト代表
渡辺 みさき

ソニーグループに入社、人事部へ配属。新卒・経験者採用にて、2000名以上の面接を行う。人材育成・社内研修の構築・実施、ジョブローテーションの策定・実施。経営企画部にて、新規事業所設立、グループ内企業合併時の諸規定整備、広報、渉外業務に携わる。
2016年、「ヒトノコト」設立。鎌倉市を中心に、採用や人材育成など各種人事サービスを提供している。鎌倉市との協働事業「キャリアのセカンドステップセミナー」講師。心理カウンセリング1級。コーチング1級認定。CDAカリキュラム(養成講座)修了。

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