転職コンサルに聞きました ~転職失敗事例の傾向と対策~
「もっと自分に合う職場へ転職しようか......」と考える反面、失敗が怖くて転職できない人も多いのではないでしょうか?
転職成功を目指して、転職コンサルタントから聞いた転職の失敗事例をもとに、対策を考えてみましょう。
転職の失敗事例
失敗したくない転職。転職についてよく相談を受ける例を転職コンサルタントに聞きました。
キャリアパスが違う
予定していたポジションと違う、退職する予定の人が退職せずポジション就任を待たされている、などがあります。「いずれマネージャーのポジションが空く」、「○○が退職するので後任者になってほしい」と言われていたが、何らかの理由でその職位に就くことができない、という具合です。
ポジションについては明文化された契約書がないことも多く、もやもやした状態で過ごすことになってしまいます。
カルチャー(社風)に馴染めない
社風が合わないという人もいます。外から見た企業のイメージと、中で働いてみたイメージは異なりますし、部署や上司によっても職場の雰囲気は変わります。
同僚や上司との相性が悪い
面接で会った採用マネージャーと相性は良かったけれど、実際の職場の上司・同僚・部下と相性が悪いというケースもあります。
出会った人の魅力や、そこからうかがえる雰囲気が決め手となって転職を決意することもあるでしょうが、様々な人がいることを想定して、相手の良いところを見ること、人間関係を気にしすぎない割り切りが必要です。
問題のある職場
職場に問題があって定着率が低い職場へ採用されたケースでは、原因の確認が必要です。人が辞める→新しく採用→問題が解決しないままなのでまた人が辞める→新しく採用、が繰り返されている可能性があります。
- ・ハラスメントが多発
- ・激務で人が辞め、残った人に大きな負荷がかかっている
といった職場環境ではないか注意して見てみましょう。対応策は後述します。
就業条件が聞いていた内容と違う
入社したら、聞いていた業務内容と違うというケース。雇用条件、仕事内容、業務量が違うなどがあります。
たとえば『週休2日で土日出勤は無いと聞いていたが、プロジェクトの緊急度に応じて土日の出勤が増えてきた』というケース。平日に代替の休暇を取れるなら人事制度上は問題ないのですが、あとは自身の受け取り方の問題になります。
言葉の解釈に要注意
言葉の解釈の違い、用語の共通理解の違いから誤解が生じる場合があります。例えば「1日の業務量」としたときに、その「1日」が9時から5時までの定時を指すのか、残業も含めたものなのか、具体的に確認しないと大きなすれ違いを招きます。平均的な退社時間など、角度を変えた質問で「実際のところ」をつかむとよいでしょう。
転職の失敗を防ぐ3つのポイント
失敗を防ぐために事前に取るべき行動のポイントを3つご説明します。
【1】面接などで心配な点、曖昧な点をよく確認する
面接で逆質問をしても良いでしょう。入社後のミスマッチを防ぎ、最大限能力を発揮したいという気持ちが伝わるように言い方を工夫します。
「一日も早く戦力になりたいと思っておりますが、中途入社の場合、研修制度などはありますか」というように、枕詞を添えつつ、社内環境の情報収集をしましょう。ただ、ストレートに休暇や残業、噂話の確認などは行わないようにしましょう。面接での質問については、「印象に残る面接での「逆質問」のサンプル10選」もご覧ください。
【2】最優先させる条件を決める
転職で何を最優先させたいかをはっきりさせましょう。一番大切にしたい価値観をないがしろにしてまで転職しても意味がありません。仕事の内容、やりがい、人間関係、処遇、時間、立地、ワークライフバランスなど価値基準はいろいろあります。何をどの程度まで希望するのかじっくり考えてみてください。
また、将来をきめ細やかに考えるのも大切ですが、人生は計画通りには進まないものです。今、自分が気持ちよく働くために必要なこと、現実的なことを優先させましょう。
【3】転職支援サービスならある程度失敗は防げる
第三者的な視点を持ったパートナーとして転職コンサルタント、転職エージェントの活用も有効です。自分一人で転職活動を行うよりも、情報収集や自己分析などをサポートしてもらえます。
対応はケース・バイ・ケース
失敗事例はご紹介した例に限りません。また、『これさえ守れば転職は失敗しない』という魔法の策もありません。その時、自分に最善と思われるアクションを起こすことが転職を成功へ導くポイントです。
転職支援サービスを活用するアドバンテージとは
転職支援サービスを提供している人材会社から、転職活動の支援だけでなく、転職した後もサポートを受けられることがあります。
サービス利用のメリット
- ・非公開の求人情報を持っている
- ・企業との日頃のやり取りを通じて、社風や現状など、募集要項に書ききれない情報を把握している
- ・これまで転職を支援した人たちから、入社した各企業の状況をコンサルタントが聞いている
- ・企業単体だけでなく、業界の流れなど、掴んでいる情報が多い・広い
- ・年収や条件などの交渉や入社後の情報(就業条件、キャリアパスなど)を入手できる
- ・面接で聞きにくいことを代わりに聞いてくれる
- ・転職後の悩みも相談できる
信頼できるパートナーとして、ぜひ相談してみてください。
それでも失敗したら?
応募時と事実関係が違う、ハラスメントがあるなどの事例は残念ながらゼロではありません。そんな時はまず、企業の採用マネージャーや現場で採用の意志決定をした人、転職コンサルタントやエージェントに相談しましょう。
すぐに次の転職先を探すべき?
正直なところお勧めできません。仕事を辞める決断は短時間でするべきではありません。どんな人でも仕事や新しい環境に慣れるまで、一定の時間が必要です。
とはいえ、怖い思いをしたとか、違法行為があるような場合は、まずは身を守ることを最優先にしてください。
転職先が自分に合わないと思ったら、その後の動き方は大きく分けて2通りあります。
【1】在職しながら転職活動をする
たとえ「失敗した」と思っても、"転職先に残る"というカードを捨てない方が良いといえます。日本の転職市場では、まだ"短期間で転職を繰り返す人は忍耐力や協調性が不足している"と厳しい見方をされることが少なくありません。無職になって背水の陣を敷くよりも、仕事を続けながら次の職場を探す方が、キャリアやスキル、収入の面でもプラスです。
ご縁のあった職場に感謝して一日一日を大切に過ごすうちに、やりがいを見出したり、人脈やビジネスチャンスが増えたりして、仕事が楽しくなることもあるでしょう。
【2】転職先で問題の解決方法を探る
視点を変えて、転職先が抱える問題を解決するのも一つの選択肢です。問題のない職場はありません。多くの問題は他の職場にも共通しています。問題解決の経験を通じて自分のスキルアップや成長につなげようと前向きに考えてください。
焦らず前向きに考える
新しい職場に定着するまでは誰でも時間がかかるものです。半年から1年余りは前の職場と比べてしまい、違和感があるかもしれません。経験を活かすにも一朝一夕ではできず、成果を出せるまではつらいと思うこともあるでしょう。そこを乗り越えることができれば、あなたの頑張りを見てくれている人は必ずいて、再び活躍できる日も近いでしょう。
"失敗"と思っても、考え方や認識が少しずつ変化して、長い目で見たら"失敗"ではなく、自分自身の幅を広げるために必要な経験だったということもあります。
人生や仕事は自分で切り開き、決断するものです。短気を起こさず、家族や信頼できる友人に相談したり、外部の専門家やサービスを活用したりしながら、希望する働き方を追求してくださいね。
*本記事は2017年2月7日に公開した内容を再編集して掲載しております。
ライタープロフィール
遠藤 美穂子
国家資格キャリアコンサルタント。2級キャリアコンサルティング技能士。
14年間の都市銀行勤務を経て、キャリアコンサルタントとして活動開始。ハローワークでの研修講師や、ビジネスマナー指導、大学でのキャリア教育や就職指導を担当。講演のほか、書類の添削や面接でのロールプレイングなど実践的指導も行う。国際文化会館主催の次世代リーダー育成プログラム、新渡戸国際塾一期生。2児の母。
株式会社近代マネジメント