【成功する転職】企業研究の方法〜チェックポイントと情報収集術

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2017/09/14

転職を考えたとき、皆さんはどんな情報を集めていますか? 特に転職先について調べる企業研究は、転職活動を進める上で欠かせません。どんな方法で情報を集めるべきか、また、その情報をどう読み解くべきでしょうか?

企業研究をするメリット

企業研究は、就職活動において行うものですが、転職を考えた際には、今の職場よりもさらに自分の希望に合う職場を選択するという意味において、より踏み込んだやり方で行う必要があります。そこにはどのようなメリットがあるでしょうか。

自分との相性の良い転職先を探せる

自分の能力を最大限発揮でき、気持ちよく働けるところに転職したいものです。企業風土、職務内容などをよく研究すれば、企業がほしい人材像を知ることができます。そして自分がそこに向いているのか、また、自分の希望する環境や企業選びの軸に沿ったものかが分かります。

自分の持つイメージや世間の評判をたよりに転職し、入ってから「こんなはずではなかった」とお互いにミスマッチを感じることのないよう、事前にしっかりと調べることが大切です。

入社希望の意思をしっかりと伝えられる

面接において志望動機を述べる際に、なぜその業界か、なぜその企業で働きたいと思ったか、なぜその職種を選んだかといったことを伝えますが、事前に調べた情報を盛り込むことで、説得力が生まれます。
例えば「企業の経営方針や社風に共感を覚えた」、「企業の扱う製品やサービスに将来性を覚えた」、「自分の強みをぜひこの部署で活かしたい」といった具合です。

企業の採用担当者も、ただ「頑張ります」と言うだけではなく、具体的に「御社のここが魅力です」、「ここをこうしていきたいのでぜひ入社したい」と言う人の方が、本気度の高い人だと感じます。

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具体的なチェックポイント

では、どんな情報を調べるとよいのでしょうか? 情報収集の具体的なチェックポイントをあげてみましょう。

押さえておきたい3つの基本チェックポイント

企業を深く知るうえで欠かせない3つの項目があります。これらの情報から、企業の過去・現在・未来の状況をつかむことができます。

【1】企業としての体力をチェック

財務諸表で言うと、貸借対照表が過去から積み上げてきた経営努力の現状、つまり企業として"健康"かどうかを表しています。そこから算出される安全性の指標として、自己資本比率、流動比率、固定長期適合率などを見ると、厳しい経営環境に見舞われてもふんばりのきく企業かということが分かります。

【2】収益構造をチェック

損益計算書の売上高と、各段階の利益の内容を分析します。
売上高から本業のコストをのぞいた営業利益と、利息の受け払いを加味した経常利益が収益力を判断する指標です。これを何期分か並べて比較することで、業績のトレンドを知ることができます。業種によって、利益率の水準が異なりますので、同業他社と数値を比較してみることも有効です。

部門別の売上高情報などを入手するのはなかなか難しいですが、業界新聞・雑誌などにも目を通すと、シェアが高い商品や他にないサービスなど、事業展開の状況や、その企業が収益を上げている理由が見えてきます。競合が弱い、あるいは少ない、市場が拡大傾向にあるといったことも読み取れます。

【3】将来性をチェック

一般的に知名度がなくても業界ではトップシェアだったり、成功事例にしがみつくことなく、しなやかに事業領域を変えていくことで競争力を維持していたりする場合、将来性がある会社といえます。

2でふれた、現在の収益の柱であるビジネスがなくなった場合でも、それを補える事業を持っている、生み出せる企業こそ、将来有望な企業といえるでしょう。ここに正解はありませんが、自分が働こうとしている業界がどのような方向に進むのか、どんなイノベーションが起こりうるのか、今後のビジョンを考えてみるのも、ビジネスパーソンとして良い機会になります。

気になる就業環境もチェック

企業の財務の健全さの確認も大切ですが、そこで働いている人が大切にされているか、就業環境の実態も気になるところでしょう。心身の健康を守りながら働いていくために、次のような情報をコーポレートサイトなどで確認してみてください。

人材を大切にしているか

業歴の長さや業界にもよりますが、社員の平均年齢が低い、平均勤続年数が短い傾向にあると、人材の定着率が低いことが予想できます。中途採用、通年採用の枠に対して転職活動を行うわけですが、やむを得ない欠員や新規事業立ち上げなどで急募となったのか、新卒よりもスキルや経験のある人材を必要とする業務なのかなど、求人の理由を事前に確認したいところです。

また、入社後のOJT、Off-JTなどの研修や指導がきちんと行われているか、困ったときに相談できるメンター制度のような環境が整っているかなども、企業の説明会や転職エージェントとの打ち合わせなどの機会を活用して確認できます。必ずしも制度が整備されていなくても、良い職場環境で自然と社員同士が助け合う文化があるケースももちろんあります。自分がのびのびと働けそうな職場環境であるかがポイントです。

どんな情報を参考にするべきか

上記にあげたチェック項目について把握するための情報は、一般向けに公開されている情報源であるコーポレートサイトや有価証券報告書、会社四季報などがあげられます。以下の情報もぜひ参考にしてみてください。

IR情報

IR情報は、投資家向けだからといって敬遠するのはもったいない、企業を知る有意義な情報の宝庫です。決算に関する情報は、「決算ハイライト」といったタイトルでまとめられており、財務諸表そのものに加え、数字の増減や推移、その理由なども詳しく書かれています。事業別の業績についての情報も得ることができます。

プレスリリース

「IRニュース」、「ニュースリリース」といったコーナーで企業の最新の動向を知ることができます。今後販売する新商品や、提供を開始したサービス、他社との提携などを知っておくと、面接のときの話題づくりに役立ちます。

その他口コミ

信頼できる友人・知人が希望する企業に勤めている、もしくはその企業の取引先にいる場合、その企業の様子を聞いてみましょう。一方で、クチコミサイトには、勤務中や退職した社員の不平不満など、企業の印象や評判を下げる内容が含まれていることが多くあります。関係者以外が"口コミ"と称して事実と異なることを投稿することがあるかもしれません。良いことが書いてあれば安心材料として取り入れ、ネガティブ情報には振り回されず、自分で情報を判断できる情報リテラシーを身につけておくと、今後の社会人生活にも役立ちます。

同業他社、関連業界情報

同業他社の強み・弱みや、最新動向を調べると、志望する企業との違いが明らかになります。また、原材料の仕入れ先や商製品の販売先といった、ビジネスの上で関連のある業界・企業についても視野を広げてみると、商流全体がつかめるので業界の空模様が分かり、転職先候補を広げることもできます。



いかがでしたか? 転職先の一般的な企業イメージや、知り合いの方がいる場合、その方々の雰囲気からも転職先について想像はできます。しかし、さらに具体的なデータや情報を収集して企業研究を行うと、想像通りの姿か、もしくは想像と違った姿が見えることもあります。より自分と相性の良い職場に出会うために、ぜひ納得いくまで調べてみてください。

ライタープロフィール

遠藤 美穂子
国家資格キャリアコンサルタント。2級キャリアコンサルティング技能士。
14年間の都市銀行勤務を経て、キャリアコンサルタントとして活動開始。ハローワークでの研修講師や、ビジネスマナー指導、大学でのキャリア教育や就職指導を担当。講演のほか、書類の添削や面接でのロールプレイングなど実践的指導も行う。国際文化会館主催の次世代リーダー育成プログラム、新渡戸国際塾一期生。2児の母。
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