2016年の製造業の競争力首位は中国、2020年は米国、そして日本は?

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2016/08/25

 2016年現在、最も製造業競争力が高い国は中国だが、今後5年間で2位に後退し、2020年までに米国が1位の座を奪取する―こんな予測をデロイト トウシュ トーマツ リミテッドと米国競争力協議会が「2016年世界製造業競争力指数」報告書でまとめた。

 世界製造業競争力指数は、最も競争優位な製造業環境を持つのはどの国かを見極めるための指数で、2016年は1位中国、2位米国、3位ドイツとなった。

 アジア太平洋地域の影響力の上昇と、欧州やBRIC諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国)の減退が目立つ結果だった。

 また、2020年の予測では、1位米国、2位中国、3位ドイツとなり、2トップが入れ替わる結果となっている。

 日本は2013年は10位だったが、今回の調査では4位、2020年も4位と予想されている。

2016年世界製造業競争力指数
1位 中国
2位 米国
3位 ドイツ
4位 日本
5位 韓国
6位 イギリス
7位 台湾
8位 メキシコ
9位 カナダ
10位 シンガポール

2020年世界製造業競争力指数(予測)
1位 米国
2位 中国
3位 ドイツ
4位 日本
5位 インド
6位 韓国
7位 メキシコ
8位 イギリス
9位 台湾
10位 カナダ
 製造業の将来の競争力につながる重要なものとしては、予測分析、IoT、インダストリー4.0によるスマート製品とスマート工場、先端材料が挙げられている。

 先進的で高度な製品・加工技術や素材を用いることが増えるに従い、20世紀製造業の中心地である米国、ドイツ、日本、イギリスが競争力上位10カ国に返り咲いている。

 アジア太平洋地域のマレーシア、インド、タイ、インドネシア、ベトナムの、いわゆる「MITI-V」の5カ国は、低コストの労働力、機動的な製造能力、好ましい人口構成、市場と経済成長という点で「新たな中国」と目され、今後5年間に競争力ランキングが上昇し、製造業の競争力トップ15カ 国に入ると予測されている。

 企業が考える世界製造業競争力の最も重要な要因は、1位が人材で、次いで2位にコスト競争力、3位に生産性、4位にサプライヤーネットワークと続く。

 日本のビジネスリーダーに新産業革命を後押しする政策を聞くと、インフラとエネルギー(次世代車両)を明記した日本再興戦略やロボット革命実現会議の立ち上げなどが挙がった。

 また、競争で日本が優位だと考えているものは、製造工程の自動化やベストプラクティスの実行、世界市場の50%を占める工場用ロボットの他、自動車、自動車部品、エレクトロニクスの輸出が挙げられた。

 一方、高い法人税率や新規事業投資に対する実効税率、エレクトロニクス、自動車産業での韓国企業の台頭、中国の工場用ロボット市場でのシェア拡大、乏しい天然資源と急速な高齢化を今後の競争力の課題としている。

 調査は、世界各国の製造業企業のCEO、企業経営陣ら550人以上を対象にアンケートを実施し分析した。

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