2017年度、大企業89.7%、中小企業66.1%で賃上げを実施

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2017/11/07

 賃金の引上げを実施した大企業の割合は前年度90.1%、今年度89.7%となり、前年に続き多くの企業で賃上げが実施されたことが、経済産業省の「企業の賃上げ動向等に関するフォローアップ調査」で分かった。

賃金を引上げた大企業のうち、ベースアップを実施している企業は前年度57.7%、今年度53.9%と、前年同様、半数以上の企業がベースアップを実施した。2年連続で賃金を引き上げた企業のうち、2年連続でベースアップを実施した企業は50.6%に上った。

 賃金体系や給与原資の配分を見直す際に重視した要素は、「仕事(職務)や役割」が35.1%、「業績や貢献度」が27.8%となったほか、「子育て・介護等、家庭環境やライフステージ」とする企業も23.8%と高かった。

 また、非正規雇用労働者の処遇改善を実施または実施予定とした企業はは53.2%と半数を超えた。具体的には、「月例給与の引上げ」は51.4%、「月例給与の引上げ成果報酬制度の導入または拡充」が16.9%となったほか、「育児・介護支援手当・家族手当」などを導入・拡充した企業も6%と一定数みられた。

 非正規雇用労働者のキャリアアップ支援は63.9%が実施した。具体的には、「正規雇用への転換を行った」が最も多く76.5%に上った。次いで「外部研修の補助」が27.6%、「社内研修の拡充(英語研修、ITスキル研修等)の実施」が26.2%と続いた。

 働き方の多様化につながる取組を実施している企業は84.2%となった。具体的には、「時短勤務制度の導入」が最も多く68.6%。次いで「テレワーク、在宅勤務制度等の導入」46.8%、「新たな休暇制度・勤務体制の導入」34.8%、「託児所等の保育施設の設置」15.4%などもあがった。

 一方、中小企業では、今年度賃金の引上げを実施した企業の割合は、正社員で66.1%(前年度59.0%)、非正規社員で36.5%(同32.9%)となり、昨年度より増加した。

 賃金を引上げた企業の引上げ理由のうち、最も多かったものは、正社員、非正規社員ともに「人材の採用・従業員の引き留めの必要性」(正社員49.2%、非正規社員47.0%)だった。

 次いで多かったのは、正社員は「業績回復・向上」(34.3%)だったが、非正規社員は「最低賃金引上げのため」が多く38.3%となった。

 賃金を引上げた中小企業のうち、2017年度に月例給与を引上げた企業は92.0%、賞与・一時金を増額した企業は24.9%ととなり、いずれも昨年度より増加した。

 月例給与を引き上げた中小企業のうち、「定期昇給」は75.5%、「ベースアップ」は33.1%となった。ベースアップを行った企業は前年(29.5%)よりも増加している。

 大手企業調査は、東証一部上場企業を対象に実施し、364社の回答を得た。
 中小企業調査は、中小企業を対象に実施し、8310社の回答を得た。

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