ダイバーシティ・マネジメントで「働き方改革」を実現しよう

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2017/06/09

これまで「ダイバーシティ・マネジメント」と「『働き方改革』と女性の活躍」について紹介しました。では、多様な人材を活用したい企業は「働き方改革」に向けて、具体的にどういったことをすればいいのでしょうか。一緒に考えていきたいと思います。

「働き方改革」を実現するためには、具体的に何をしたらよいのでしょうか?

多様な働き方を推進するダイバーシティ・マネジメントとも深く連動する「働き方改革」を実現するにあたり、具体的にはどのような事を検討していけばよいのでしょうか?項目ごとに見ていきましょう。

●ソフト面での改革:多様な働き方を受け入れる環境づくり

・経営層からのメッセージ

メールやビデオメッセージ、ポスターなどいろいろな媒体を活用して、全社一丸となって働き方改革に取り組む、ということを繰り返し伝えていきます。
トップ自らが働き方を変えていくとともに、それをマネジメント層に伝え、現場の隅々まで方針を浸透させることが大切です。

・生産性を高める工夫

参加者の招集に手間のかかる会議や、関係者全員にCCで届くメールのあり方や内容、部下への資料作成の指示の出し方など、従来のスタイルが本当に効率的だったか立ち止まって見直し、工夫・改善を続けます。若手や着任間もない担当者に本音のところを聞いてみると、いいアイデアが出てくることがあります。

・長時間労働に対する評価・意識の改革

仕事には締切がありますし、時間をかければ必ず良いものが出来上がるといったわけではありません。限られた時間やメンバーといったリソースを最大限利用して最善の結果を出せる人が評価される、という企業風土を醸成していくことが求められます。

・ロールモデル、好事例の共有

社内で上手く成果を出している人や、好循環に入っているチームの事例などを紹介しノウハウを共有することで、良い取り組みの輪を広げることができます。

・「違い」を受け入れる、「お互さま」という意識を持つ

同じ職場のメンバーのさまざまな事情を受け止め、支え合うという気持ちが大切です。引継ぎを受ける人が損をする、というような自分中心の見方ではなく、相手への思いやり、何かあったらお互いさまという発想をみんなで持てるとよいでしょう。

●ハード面での改革:制度を導入する、インフラを整える

・テレワーク、フリーアドレス

クラウドの利用やテレビ会議システム、チャットツールなどを整備することで在宅勤務、サテライトオフィス勤務といったさまざまな場所で働くことが可能になります。また、セキュリティ面に注意は必要ですが、スケジュールやファイルの共有など、無料のソフトも便利に使うことができます。

・フレックスタイム、朝型勤務など

保育所への子供の送迎、ラッシュアワーの回避、退勤後の有効活用など目的はさまざまですが、自分自身や家族の負担軽減といった効果もあります。

・早帰り日

週に一度、月に一度など定期的に、例外なく一斉に行うことがポイントです。心身ともにリフレッシュすることで健康管理にも役立ちます。

・産前産後休暇、育児休暇、介護休暇、時間単位有給休暇、企業内保育所

産休育休制度はだいぶ整ってきましたが、さらに保育所との提携・ベビーシッターの利用補助などを行う企業が増えてきています。また、介護問題への対応なども必要になってきています。

「働き方改革」を実際に推進している企業の事例を見てみましょう!

・味の素株式会社
女性活躍を切り口としたダイバーシティ対応のための諸施策と、ワークとライフの相乗効果を生み出すためのいろいろな制度の活用により、ダイバーシティ&WLB(ワーク・ライフ・バランス)を推進し高い従業員満足度を得ています。また、朝型勤務やテレワークといった制度によって、働く場所や時間に選択肢を持たせています。
・ボッシュ株式会社
グローバル展開する当社は、'Diversity is our advantage'(多様性は私達の強みです)とダイバーシティ推進をグループでの重要テーマとしています。その活動の一環として、ワークライフバランス実現のために、フレックス勤務制度や理由を問わず利用できる在宅勤務制度の導入、高い有給取得率の実現や週末時短制度の導入等、多様な働き方の推進や労働時間短縮などの面でさまざまな実績を上げています。

「働き方改革」を推進するにあたっての課題とは?

「働き方改革」を推進するにあたり、課題となるものは何でしょうか?
取り組む際に考慮しておくべき事項を考えます。

検討項目の所でも述べましたが、「意識改革」「評価制度の変更」の二点が大きな課題と言えます。

(1)意識改革

経営トップから従業員全員まで「働き方を変えていこう」という意識を持つことが大切です。自分はこうやって成長してきた、これで実績が上がったといった過去にとらわれることなく、時代の変化はすなわち市場の変化でもあるということをしっかり認識しなければなりません。自社の労働環境を変えていくことは、お客様やパートナー、未来の従業員などの多様なステークホルダーに対する、前向きなメッセージにもなります。

(2)評価制度

上司と部下の双方が合意した目標に対し、どれだけ成果を上げたかという結果についてと、そのために何をどう取り組んだかというプロセスを評価するという二面からのアプローチは従来からあるものです。ここに、どれくらいの労働時間で成果を上げたかという視点が必要です。長時間働いて大きな成果を出す人が従来通りに高い評価を得ていては、せっかくさまざまな制度を設けても利用しにくくなってしまいます。

例えば在宅勤務やフレックス制度を利用してオフィスにいない従業員の報告・評価のルールを決めたり、短時間勤務や休暇取得者のサポートを行った場合は加点評価としたりといったことを加えていくのも一法です。また、管理職に対しては、働き方改革推進のモチベーションが向上する評価内容も考慮するとよいでしょう。

ダイバーシティ・マネジメントで働き方改革を成功させるためのポイント

一番の決め手は「コミュニケーション」です。ダイバーシティ・マネジメントとは、個々の違いを受け入れた上で最適な効果を上げていくことです。同じ職場で働く仲間の状況に思いをはせる想像力を持つことと、そして問題があればその解決策を探るための広い視野が必要となります。
ハード面での様々な制度やツールを活用するのも、結局は人であり、ソフト面の環境次第となります。

明日は我が身になりうると心の隅に留めておき、お互いさま精神を発揮して「困ったことはありませんか」「ではどうしましょうか」とコミュニケーションを取り合える、風通しの良い職場づくりがポイントとなります。



「働き方改革」は始まってまだ数年で先の長いテーマではありますが、労働市場の変化に対応するダイバーシティ・マネジメントと合わせて働き方改革を進めていくことは、企業にとって今後必要不可欠な取り組みです。どこから何にどう取り組んでいくか、さまざまな立場から向き合っていくことが第一歩となるでしょう。

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ライタープロフィール

遠藤 美穂子
国家資格キャリアコンサルタント。2級キャリアコンサルティング技能士。
14年間の都市銀行勤務を経て、キャリアコンサルタントとして活動開始。ハローワークでの研修講師や、ビジネスマナー指導、大学でのキャリア教育や就職指導を担当。講演のほか、書類の添削や面接でのロールプレイングなど実践的指導も行う。国際文化会館主催の次世代リーダー育成プログラム、新渡戸国際塾一期生。2児の母。
株式会社近代マネジメント

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