「働き方改革」と女性の活躍

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2017/03/30

最近ニュース等でもよく耳にする「働き方改革」。「働き方改革」とは何か、今回は、女性の活躍とどのように関わるのかを一緒に勉強しましょう!

働き方改革と女性の活躍

働き方改革と女性の働き方

「働き方改革」という言葉は新聞やテレビでよく見かけますが、どこから出てきた言葉なのでしょうか。

2012年に発足した第二次安倍内閣が日本再興戦略を策定し、成長戦略を掲げました。その中で、成長への道筋として

  • (1)民間の力を最大限引き出す
  • (2)全員参加、世界で勝てる人材を育てる
  • (3)新たなフロンティアを作り出す
  • (4)成長の果実を国民の生活に反映する

の4点を挙げています。この(2)の中で、女性・若者・高齢者の活躍を推進しようと、さまざまな政策が打ち出されてきたところです。

そして2014年6月、「日本再興戦略」改訂2014において、担い手を生み出すとして「女性の活躍推進と働き方改革」という言葉が出てきます。
少子高齢化社会において、女性や高齢者、意欲と能力のある若者が働きやすい環境を作り、労働生産性を上げていくことが重要となっています。そのために、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進などの支援を軸とした働き方改革が必要なのです。

具体的に何を改革するのかというと、

  • (1)男性の意識・行動改革(長時間労働是正や経営者管理職の意識改革など)
  • (2)ワークライフと女性活躍の推進

を軸に日本全体の働き方を見直していくということです。
なお、労働に関する政策を管轄する厚生労働省や、女性活躍に関する政策を担当する内閣府男女共同参画局のホームページなどを見ると、これまでの経緯や現在の取り組みについて、詳しいことが分かります。

働き方改革と女性の活躍との関連性

さて、働き方改革の目的とするところが大体わかったところで、働き方改革がなぜ女性の活躍につながるのかを見ていきましょう。
日本のさらなる成長のためには、労働力を増やしていかなくてはなりませんが、これからの戦力として期待されるのは女性、若者、高齢者です。
女性について言えば、家事・育児・介護の担い手になっている人が多く、そこを社会全体で引き受けられれば、女性が労働市場に出てくることができます。

長時間労働が評価される文化ではなく、限られた時間での実績などで評価され、早帰りや休暇取得をしやすい職場づくりをしていけば、これまでフルタイム勤務という選択が難しかった女性の社会進出を促すことができます。労働力が増えることで、男性にとっても疲弊した労働環境でなくなり、女性も管理職を目指すなど第一線で働き続けられる、育児や介護を担っても男女を問わず真に実力を発揮できる環境が実現できることとなります。

そのために必要な、保育所の充実や育児休暇の延長や男性の育児休業取得に関わる施策を打ち出してきたものの、予算も施設も実績もまだ十分ではありません。

課題と必要な取り組みとしては、以下のものが考えられます。

(1)企業の風土文化の改革
長時間頑張った人が評価される、早帰りしづらい、といった雰囲気や風土を改め、短時間勤務でもきちんとプロセスや成果を見てくれる人事評価制度を整備する。部署やチームが一丸となって問題解決にあたる意識の徹底を管理職が率先して行う。
(2)男性の意識・行動改革
家事育児は、家にいる時間が長い妻の方が担うべきだ、また得意だろうといった意識を変え、家族みんなで支え合う体制づくりができないかを見直し、全員参加にする。
(3)労働環境の整備
在宅勤務や地元へ帰ってのテレワークができるよう、通信回線やセキュリティ機能の整備、労務管理・人事評価制度の改訂を行う。
(4)女性自身の意識改革
家庭のことも立派な仕事であるが、一人の社会人として、自身の才能や知識を生かして社会貢献することにチャレンジする。経済的な自立やキャリアアップ、管理職を目指すことができる、ひいては自分や家族の幸せにもつながるという意識を持つ。

世界各国の女性の働き方事例

目を海外に向けてみると、女性が子育てや介護をしながら働いている事例がたくさんあります。その背景には、男性の育児休業取得促進や保育所の充実といった、日本の先を行く社会保障制度があります。

(オランダ)

ワークシェアリングで有名なオランダでは、短時間正社員制度を導入して30年以上たっています。日本で時短制度を利用するのは育児中の女性が多いですが、オランダでは男女問わず利用しています。企業に一定の負荷はかかりますが、パートタイムと言っても正社員というステータスが維持できることのメリットは大きいと言えます。

(フィンランド)

女性のほとんどがフルタイムで働くというフィンランドでは、母親の就業に関わらずすべての子供が保育園に入れる権利、雇用を維持したまま子供が3歳になるまで無給休暇を取得したのち家庭で育児する権利のほか、母親・父親のどちらでも取得できる「親休業」や、父親向けの「父親休業」、といった制度も整っていて、父親休業の取得率は80%以上になります。

(スウェーデン)

育児休暇が両親あわせて480日取得でき、バランスよく取得できるように、そのうち父親のみ、母親のみがそれぞれ60日ずつと定められています。また、保育所の費用を上回る子ども手当が支給されます。ちなみにスウェーデンは保育園と幼稚園を統一し「就学前学校」として、教育庁(日本では文部科学省にあたる行政機関)の管轄においています。子どもの成長過程へも社会一体で関わっているようです。

(ドイツ)

育児は母親が担うもの、という考えが根強かったドイツでも、共働きを前提に育児支援を行うよう政府の考え方が変化しました。育児休業中の手当てをふやすことで男性の育休取得を促しています。

(オーストラリア)

共働き夫婦が多いオーストラリアの外務貿易省には、「if not, why not?」という制度があり、柔軟な働き方を部下が申し出た場合、上司は前向きに検討しなければならないそうです。この制度を利用して、子供の誕生を機に育児休暇を取得したりパートタイムに働き方を変えたりする男性がいます。

男性の平均的な育児休暇取得期間は、どの国でも必ずしも長くはないようですが、実際に取得して育児に携わることで妻の、あるいは職場の仲間や上司部下の状況に思いを寄せることに繋がると思います。また、介護については在宅介護を国や自治体が支える形をとっている国が多く、海外からの介護士やヘルパーの力を借りているケースもあります。

また、女性のさらなるキャリア形成という面では、管理職として働きやすい環境づくりも大切です。ノルウェーでは2003年に改訂された会社法において、取締役会の構成員の少なくとも4割を、男性・女性それぞれに割り当てることが義務付けられました。これにより上場企業における女性取締役の比率が急上昇しました。

日本でも女性管理職の数値目標設定が大企業には義務付けられています。こうした制度には反対意見もありますが、女性も管理職を目指す、より幅広いフィールドにチャレンジするというきっかけづくりに役立つものだと思います。 今すでに管理職として働きながらプライベートでも様々な役割を担っている方も含め、みんなが働きやすい職場を作っていくことが肝要なのではないでしょうか。

働き方改革は実現に時間のかかるテーマです。単に労働時間を短くすればいいだけでなく、働き方を根本から見直して、楽しくより生き生きと働ける環境、育児、介護を担う者でも第一線で働く、管理職を目指して働ける社会、風通しの良い職場や家庭を作ることが大切だと思います。今後の世の中の動きに注目しつつ、自分なりの働き方改革を心がけてみてください。

ライタープロフィール

遠藤 美穂子
国家資格キャリアコンサルタント。2級キャリアコンサルティング技能士。
14年間の都市銀行勤務を経て、キャリアコンサルタントとして活動開始。ハローワークでの研修講師や、ビジネスマナー指導、大学でのキャリア教育や就職指導を担当。講演のほか、書類の添削や面接でのロールプレイングなど実践的指導も行う。国際文化会館主催の次世代リーダー育成プログラム、新渡戸国際塾一期生。2児の母。
株式会社近代マネジメント

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