派遣社員も産休・育休が取れるの?取得の条件と気を付けるポイント

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2022/07/15

派遣社員でも産休・育休が取得できることは広く知られるようになりました。しかし「育休が取れない」「取れなかった」といった声が SNS で見受けられることも。それは、育休を取るためにはいくつかの条件があるから。有期雇用である派遣社員の場合、その条件をどうクリアするのかが少しわかりづらいかもしれません。そのため、妊娠・出産を経て派遣のお仕事を継続する意思があっても育休が取れないケースや、条件をクリアできないと誤解し諦めてしまうケースが出てくるのです。

派遣社員の産休・育休の取得方法や職場への妊娠報告手順、出産後どのように復帰するのか......。妊活しながら派遣社員として働いている女性や、妊娠がわかった派遣社員の不安・疑問にお答えします。

産休・育休とは?いつからいつまで?

「産休(産前・産後休業)」「育休(育児休業)」に関する制度は法律で定められており、会社や業務内容により対応が異なるものではありません。たとえ就業規則に明記されていなくても、派遣社員やパートのように雇用期間に定めがある形態でも、条件を満たせば取得することができます。

◆産休(産前・産後休業)

働く女性が取得できる「産休」は、労働基準法で定められている制度。出産を控えた期間の産前休業と、出産後に回復するための産後休業を合わせて「産休」と呼ばれています。

産前休業
出産予定日の 6 週間前、多胎(双子以上)の場合は 14 週間前以降、希望する時期から取得することができます。産前休業は任意で取得するものなので、いつから休むかは自分の希望や体調に応じて勤務先と相談して決めることができます。

産後休業
たとえ本人の希望があっても、出産の翌日から8週間は働くことができません。ただし産後6週間を経過した後に本人が希望し、医師が就業可能と認めた場合は就業することができます。

◆育休(育児休業)

産休が明けてから子どもが 1 歳になる誕生日の前日までの間、育休を取得することができます。ただし、子どもを預けられる保育所に入所できなかったなどの場合は、最長で子どもが 2 歳になる誕生日の前日まで延長することができます。こちらは育児・介護休業法に定められている制度です。

実際にいつからいつまでが産休・育休になるのかは、厚生労働省委託 母性健康管理サイト「女性にやさしい職場づくりナビ」で自動計算できるので参考にしてください。出産が予定日とずれた場合は、取得できる期間が変わってきます。

参考:産休・育休はいつから?産前・産後休暇、育児休業の自動計算(女性にやさしい職場づくりナビ)

派遣社員が産休・育休を取得するための条件

◆産休は取得可能期間に働いていれば誰でも取得可能

産前休業は出産予定日の 6 週間前、多胎(双子以上)の場合は 14 週間前の時点で働いていれば、派遣社員や正社員といった雇用形態にかかわらず取得することができます。
ランスタッドでは、産前休業の取得可能期間を含む雇用契約があれば産休を取得することができます。妊娠が判明した時点で雇用契約をしていても、産前休業取得可能日までに契約満了になると条件を満たせなくなるため注意が必要です。
有期雇用である派遣社員の場合、「妊娠が原因で契約を打ち切られるのではないか」と心配する方もいるかもしれません。しかし、妊娠を理由に派遣先が派遣の受け入れを拒む・派遣人員の交代を求める、契約の更新をしないなど、妊娠した派遣社員が不利益をこうむるような行為は法律で禁止されています。

◆育休取得のポイントは「継続」

1、1 年以上の雇用期間
産休と違い、育休は「働いていれば誰でも取れる」ものではありません。「同一の事業主に引き続き雇用されている期間が 1 年以上あること」を派遣元の労使協定で定めていることが育休取得の 1 つ目の条件です。派遣社員はこの条件が適用になるかどうかが正社員よりもわかりづらく、「育休が取れない」と誤解されてしまうこともあるようです。
派遣社員の場合、同一の派遣元(派遣会社)と継続して 1 年以上の雇用関係があれば 1 年以内に派遣先が変わっていても育休を取得することができます。「私は取れる?」と疑問を感じる場合、派遣会社の担当者に確認しましょう。

2、就業を継続する意思
2 つ目の条件は、子どもが 1 歳 6 カ月になる日以降も雇用が継続される見込みがあることです。有期雇用となる派遣社員の場合は、育休期間中に労働契約(更新される場合には更新後の契約)期間が満了する予定がなければ、育休を取得できます。

なお、1 歳までの育休取得は育休開始日の 1 カ月前までに申し出る必要があります。産休後にそのまま育休取得を希望する場合は、産休に入る前に育休の申請を済ませておくのが良いでしょう。また、保育所に入れない等の理由により育休を 1 歳 6 カ月まで延長する場合は、1 歳の誕生日の 2 週間前までに申し出る必要があります。

産休・育休の申請手続きは複雑で、申請を忘れたり時期を逃したりすると取得できなくなるなどキャリアや収入に大きな影響を与えてしまいます。万が一子どもの預け先が見つからないまま育休延長の申請期間が過ぎてしまうと、今度は雇用契約がない状態から保育所の入園申請をしなければならなくなり、さらに復職のハードルが上がってしまいます。
ランスタッドではコンサルタントや社会保険担当者に事前に希望を伝えておくことで、適切なタイミングで手続きを進めることができます。育休に関して不安や心配があれば、気兼ねなくご相談ください。

職場に報告するタイミングは?派遣先と派遣元どちらが先?

◆まずは派遣会社(派遣元)に報告を

妊娠がわかったら、派遣会社(派遣元)に出産予定日や現在の体調、産休・育休の取得希望を伝えましょう。いつまでに報告すべきといった決まりはないので、タイミングの判断は個人によります。ただし、つわりで業務に支障が出るおそれがあったり時差通勤を希望したりする場合は、早めに伝えて相談すると良いでしょう。

◆派遣会社と相談して派遣先に報告

実際に勤務している派遣先へは、派遣会社と相談の上報告します。伝え方やタイミングに困ったら、派遣会社の営業担当者に相談してみましょう。業務上重いものを持つことがある、勤務時間や休憩時間を調整したいなど、配慮を求めたい場合は早めに報告する方が良いでしょう。

また、男女雇用機会均等法により、妊娠した働く女性が保健指導や健康診査検診を受ける時間を確保できるように定められています。派遣会社・派遣先と相談しながら、出勤時間・日数を調整して通院できるようにしましょう。

産休・育休中にもらえる手当

産休・育休でお仕事を休んでいる期間、収入が減少することを心配する方も多いでしょう。
基本的に、産休・育休中に会社から給与が支払われることはありません。しかし、社会保険や雇用保険に加入している派遣社員ならば、手当や給付金を受け取ることができます。

◆出産手当金

健康保険に加入している方が受け取れる手当です。
出産日の 42 日前(多胎妊娠の場合は 98 日前)から出産の翌日以降 56 日までの間で、会社を休み給与の支払いがなかった期間を対象として支払われます。出産が予定日より早まったり遅れたりすると、対象期間が変動します。また、金額は被保険者の月収を基準に計算され、おおむね 1 日あたり日給の 2/3 相当の額が支払われます。

◆出産一時金

保険適用外である出産(分娩)にかかる負担を軽減するため、健康保険に加入している方に支払われる費用です。
妊娠 4 カ月(85 日)以上の方が出産したときは、一児につき 42 万円(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は 40.8 万円)が支払われます。

◆育児休業給付金

育休中の雇用保険被保険者がハローワークで認定を受けることで支払われる給付金です。
受給には要件があり、すべての出産した女性が受け取れるわけではありません。
支給されるのは原則として、雇用保険に 1 年以上加入していて、産前休業開始日以前の 2 年間に 11 日以上働いた月が 12 カ月以上あること。支給される給付金は、育休開始から 180 日までは育休前の給料の 67%、181 日以降は 50%です。

◆社会保険料の免除

手当ではありませんが、産休・育休中は社会保険料の免除を受けることができます。産休期間中の免除申請は産休期間中に、育休期間中の免除申請は育休期間中に会社から手続きをしてもらう必要があります。
産休・育休により社会保険料の支払いを免除されても、将来受け取る年金額が減額されたり、被保険者資格が失効したりすることはありませんので安心してください。

職場復帰はどうなる?

産休・育休取得後、再び派遣のお仕事をはじめられる時期が決まったら、派遣会社に連絡をします。保育園にいつから入園できるのか、慣らし保育にはどの程度の期間を見込んでいるのかなど、復帰に向けたスケジュールも伝え、スムーズなお仕事再開までのプランを組み立てましょう。

なお、雇用契約が継続しているのは産休前の派遣先ではなく派遣元の派遣会社です。育休が明けても産休前と同じ派遣先企業に復帰できるとは限りません。希望の勤務条件を派遣会社に伝え、ベストマッチする派遣先を探してもらうことになります。

子育てとの両立を考え、時短勤務や週 3 日程度といった働き方の相談も可能です。ただし子どもの預け先が認可保育園の場合、勤務時間や日数は入園の選考に影響が出る場合があります。お住まいの自治体のホームページなどで情報を集めたり、認可外の保育園を検討したりするなど、どのようなかたちで復職するのがベストなのかを検討してみましょう。

参考:保育園はいつから預けられるの?保活はいつから?入園までの保活事情を解説します

派遣社員の産休・育休、まとめ

派遣社員でも条件を満たせば雇用を継続したまま産休・育休を取得することができます。さらに社会保険料が免除されたり、条件によっては給付金が受け取れたりと、派遣社員にも正社員と変わらないさまざまな権利・保障があります。

ランスタッドでは毎年多くの派遣スタッフが産休・育休を取得し、お仕事に復帰しています。疑問や不安に感じること、詳しい条件についての質問があれば、お近くの支店や担当コンサルタントまでお気軽にお問い合わせください。

ライタープロフィール

白川 真理子
ランスタッド マーケティング&ブランドコミュニケーション本部 DX部 インサイドセールス

オフィス系派遣のコンサルタントとして企業、求職者・就業者の方々の支援に携わる。
現在はインサイドセールスとしてランスタッドの全サービスをワンストップでご提案することを担当。国家資格キャリアコンサルタント。

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