人事考課での自己評価の書き方と例文

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2016/10/19

多くの企業では、半期ごとに人事考課が実施されます。会社からの評価は、昇進やボーナスに直結するので、とても大切です。自己評価が求められる人事考課は、自身の仕事のレビュー(振り返り)でもあり、上司へのプレゼンテーションでもあります。ここでは、人事考課の目的や役割について知り、自分の会社への貢献度を上司に効果的に伝える方法を、例文とともにお伝えします。

人事考課とは?

人事考課とは、人事評価などともいわれますが、上司が従業員の業績や職務遂行能力を評価する手続きです。
その目的は、中長期視点では昇進・昇格のための、短期視点ではボーナス査定のための判断材料を作成する、といった報酬に関わることだけではありません。従業員の能力を把握して、それをもとにうまく育成を行い、また、適切な配置転換などを実施することによって従業員の仕事へのモチベーションを高めるという教育訓練的な目的もあります。企業の発展にとっては必要不可欠なのです。

評価項目や評価基準は企業によってさまざまですが、従業員にとって分かりやすく公平であることが求められます。
直属の上司が一次評価者、部長などが二次評価者で、最終的に人事部や経営層に回り、評価が決まります。

一般的な人事考課の指標やパターン

一般的に人事考課は「成果主義」や「能力主義」という言葉と合わせて聞くことが多いと思いますが、結果で判断する定量評価と、プロセスや能力をみる定性評価の組み合わせで評価を行います。

目標や求められる職務遂行能力に対し、どうであるかということが評価の対象になるため、期初の目標設定が大事なポイントになります。自己の目標は、経営目標や方針、企業理念、所属部署の課題などをふまえて設定します。今自分が遂行できるレベルの課題にとどまらず、一つ上の職務等級で求められるものを意識し、自己の成長につなげる心がけもあるとよいでしょう。

人事考課の自己評価では、この目標に対して、自分がどうアプローチしたか、どんな役割を果たし、結果を出したか、ということを具体的に述べていくことになります。
次に、評価基準例をご紹介します。

成果基準
何をどれだけやったかと、結果とプロセスの両面から目標に対する達成度を見るものです。ボーナスの査定などに用いやすい基準となります。
能力基準
職務遂行能力として、企画力、実行力、問題把握力など、その人自身が保有している力がどれだけ発揮できたかを見るというものです。業務知識なども含まれます。
情意基準
仕事に対する態度や人柄のようなもので、誠実さ、責任感、積極性、協調性などを見ます。

上記のうち、能力基準、情意基準は、昇進昇格の判断基準となります。

人事考課とは、経営層にとっては、賃金査定や従業員の能力把握のための判断基準、管理ツールであり、従業員にとっては自分の能力や頑張りを、上司や経営層に正確に伝えるためのものです。そのため、期初の目標設定と人事考課における自己評価、どちらも大切となってきます。

それでは次に、自分が仕事に対してどう取り組んでいるか、また今後どうしていきたいかを上司にあますことなく伝えるために、目標設定と自己評価について、書くべきポイントを具体例とともに見ていきましょう。

目標の設定と自己評価

ここからは、営業職と事務職、保育所や介護職などのスタッフ業務について、目標設定とその実績の書き方をみていきましょう。

営業など、数値目標が重視される職種の場合

結果として出てきた数字で判断されますが、達成できなかったとしても、達成・未達の原因を踏まえて、アプローチの仕方などのプロセスをきちんと説明しましょう。
数値の設定は、部やチームで与えられた目標をそのまま目標として書く場合と、個人別や取引先別にブレイクダウンしたものを書く場合があります。後者の場合、前期や前年度の数字に市場環境を加味したものなど、上司とよく相談して決めるとよいでしょう。

目標を達成できた場合の目標設定・自己評価の例文

  • 「売上目標○○百万円に対し、実績××百万円(達成率105%)」

目標に対する達成率や、前期比プラスいくら、と伸び率もアピールしましょう。

目標を達成できなかった場合の目標設定・自己評価の例文

  • 「契約社数目標○○社に対し、実績××社と未達ではあるが、□地区の開拓によりマーケットのすそ野拡大に成功」

数字では目標未達なものの、当初の計画以外にあがった実績や、活動に際し心がけたポイントを記載します。

数値目標が立てにくい事務職、スタッフなどの職種の場合

本部などの管理部門や、事務職・スタッフなど数字で目標を立てにくい職種の場合はどう工夫したらよいでしょうか。

数値的なアプローチの目標設定・自己評価の例文

  • 「業務効率化提案目標○件に対し、○件」
  • 「事務過誤防止」
  • 「残業時間の削減目標○%に対し、△%」

通常業務の中で工夫・改善・努力したことを数値化します。提案などは、必ずしも採用されなかったものでもよく、どこでどのような提案をいつしたのか、詳細を説明します。

数値以外の目標設定・自己評価の例文

  • 「(目標)顧客満足度向上の工夫を行う→(成果)業務フローマニュアルの作成を行い、可視化した」
  • 「(目標) 照会事項に適切な対応を行う→(成果)○○案件の照会に対応、担当者に引き継ぎを実施」
  • 「(目標)業務効率化、スピード向上→(成果)定例ミーティングでは資料配布や議事進行のルールを策定し、効率的な会議運営を行った」

というように、形として残るものがあればそれを記載し、着手したものの道半ばのものは今後の方向性や、周囲からの評価などをうまく織り込みましょう。

その他に人事考課でアピールしておきたいポイント4つ

【1】自己啓発

例えば海外勤務を希望するなら「TOEICスコア○点」「受験準備中」と記載します。
また、業務によっては必須の資格を取得、プラスアルファの資格を勉強中といったこともアピールになります。「○○研修に参加」「△△の通信教育受講中」という書き方もよいでしょう。

【2】後輩や新任者の指導育成

その部署で一定期間以上に在籍しているのであれば、後輩や新任者に対し、指導育成、アドバイスや引継ぎを行うことも求められています。

【3】他部署、他社との連携

部門横断のプロジェクトに参加するなど多くの関係者を取りまとめる、円滑にことを進める、といったコミュニケーション力や運営スキルも評価の対象となります。

【4】期初の目標以外の成果

当初の目標設定にはなかったその他の達成事項があれば、漏らさず記載しましょう。 

いかがでしたか。多くの日系企業では、人事考課は4月と10月ごろに実施されます。
期初に行われる目標設定や前期のフィードバック面談から、今期の人事考課は始まっています。業務に追われていると、振り返ったときに数か月前に自分が何をしていたか、具体的な内容を失念し、せっかくのアピール材料をのがしてしまう事態になることもあります。
どんなに忙しくても、自らの業務内容をまめに記録していくことをおすすめします。そして、人事考課面談においてフランクに自分の成果を話せるように、日頃から上司との円滑なコミュニケーションも心がけるとよいでしょう。

ライタープロフィール

遠藤 美穂子
公益財団法人日本生産性本部認定キャリア・コンサルタント。2級キャリア・コンサルタント技能士。
14年間の都市銀行勤務を経て、キャリア・コンサルタントとして活動開始。ハローワークでの研修講師や、ビジネスマナー指導、大学でのキャリア教育や就職指導を担当。講演のほか、書類の添削や面接でのロールプレイングなど実践的指導も行う。国際文化会館主催の次世代リーダー育成プログラム、新渡戸国際塾一期生。2児の母。
株式会社近代マネジメント

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