【例文付き】円満退社できる退職理由の伝え方と伝えないほうが良い理由

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2024/02/14

※この記事は、2016年11月9日に執筆し、加筆・修正を加えたものです。

退職理由の伝え方は「一身上の都合で問題ないのか」や「正直に話したことでトラブルになってしまうのは避けたい」など、頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。また、転職活動中に退職理由を聞かれることもあります。ここでは、円満退職するための退職理由の伝え方と、伝えるのを避けたほうが良い退職理由を解説します。

円満退社が実現する退職理由

円満退社を実現するには、「相手が納得できる退職理由であるか」が大切です。まず、退職したいという決意のもと、直属の上司に退職希望日や引継ぎについて相談します。上司に退職の相談をする前に、納得してもらえるような正当性のある、前向きな退職理由を用意しておきましょう。
また、円満退社にはこれまでお世話になったことに対する感謝の気持ちや、退職後もこのつながりを大切にしていきたい気持ちを表すことも大切なことです。しかし、円満退社をしたいからといって嘘の退職理由を伝えることはおすすめできません。退職後もなんらかのつながりを持ったり、仕事で再会したりする可能性を考慮し、嘘いつわりのない退職理由を伝えるよう心掛けましょう。円満退社が実現しやすい退職理由を3つのケースで、例文と共に解説します。

【例文1】今の職場では実現困難な業種・職種で働きたい

仕事内容がきついのに給料・待遇が低い、残業・休日出勤が多い、正当に評価されないなどの理由、会社や上司にうんざりしていることは本音かもしれません。しかし、このようなネガティブな退職理由は、「改善する」「希望の部署に異動させる」など、引き止めの材料にされる可能性があります。そのような場合は、下記のように伝え方を工夫しましょう。

例文
「自分自身を見直し、よく考えた結果、現在の仕事とは違う業種・職種に挑戦してみたいという気持ちが抑えきれず退職を決意するに至りました。」

【例文2】病気による退職

病気の場合、上司から「何の病気ですか?いつごろからですか?そんなに悪いのですか?」といった心配を含んだ質問をされるでしょう。気づかなかったことに責任を感じる上司もいるかもしれません。

例文
「何とか続けたいと思い頑張って参りましたが、持病が悪化し、しばらくは療養するために、一度退職という形をとらせていただくことにしました。」

【例文3】家庭の事情

「親の介護」という退職理由を伝える方も増えつつあります。また、家業を手伝うことが原因で退職を決心する方もいるでしょう。いずれにしても現状をきちんと話し、納得してもらえる退職理由を説明することが必要です。

例文

「両親が高齢となり、家業の手伝いをしなくてはならなくなったため、実家に戻るために退職を決心しました。」

トラブルになりやすい退職理由

本音の退職原因にネガティブな理由がありながらも円満退職できている方の大半は、本音をそのまま伝えることなく、嘘ではないまでも建前の退職理由を使っているはずです。もちろん、嘘をつくことは社会的にはNGですが、その反面、建前は「表向きの方針」ともいわれ、むしろ必要な場合もあるのです。円満退社のためには建前と本音を使い分けて、会社や上司に納得してもらえる退社理由を伝えましょう。以下では、本音で伝えてしまうとトラブルになりやすい退職理由を解説します。

【例文1】会社への不満や批判

残業が続いても、仕事へのやりがいを感じてハードスケジュールをこなす日々。体調を崩したり、頑張っているのに待遇が変わらなかったりすることから職場環境に不満を感じて一気にモチベーションが下がり、退職を決心する方も多いでしょう。
このような退職理由では、会社に必要な人材として、上司や会社から強い引き止めにあう可能性があります。場合によっては上司の管理能力が疑われかねず、上司自身の保身のための引き止めにあう可能性もあります。
また、同僚や部下も、会社への不満に対してそれなりの理解を示すものの、残る側としては、やはりあまり良い気はしないものです。

【例文2】人間関係の問題

職場の同僚や先輩、上司などとの人間関係に疲れ果ててしまい、退職に踏み切るケースです。
しかし、それを退職理由として上司に告げても、「どの職場にだって馬のあわない人はいるものだ」などと説得されかねません。仮に部署の変更を打診され、退職を断念することになったとしても、過去に人間関係の問題で退職を言い出した人物というレッテルを貼られる可能性もあり、その後の評価に影響が及ぶ可能性がまったくないとはいえないでしょう。

【例文3】今の業務・職種があわない・好きではない

仕事を続けていくうちに、どうも今の職種や業務は自分には不向きだと感じて退職を考える方もいるでしょう。業務や職種があわない、どうしても好きになれないということをそのまま退職理由として正直に伝えても、「もう少し頑張って続けていくことで、面白みも出てくるというものだ」と、継続する忍耐力のなさ、社会人としての未熟さを諭されてしまうかもしれません。そのような場合は、今の業務に対する不満を述べるよりも、「やりたい職種がある」という前向きな目的を退職理由としましょう。

ここまで、円満退社を実現するための退職理由、トラブルになりやすい退職理由を解説しました。退職理由の伝え方は、たとえ本音であっても不満は口に出さないことが大切です。不満を吐き出してスッキリできるのはその時だけです。退職してから、前職の人とのつながりが発生しないとは限りません。同じ業界への転職であればなおさらです。円満退職ができれば、転職後も前職の上司や同僚と良好な関係が築けるでしょう。

そのためにも建前と本音を使い分け、不満が原因で転職を決心しても、退職理由を前向きな内容に変換するのが上手な伝え方です。快く送り出してもらうためにも「どうしてもやりたい職種がある」「キャリアアップのために転職したい」などと明言できるよう、矛盾のないしっかりとした回答を作っておくことが大切です。さまざまな質問を想定し、リストにするなどの準備をしたうえで直属の上司に相談という形で伝えましょう。くれぐれも、直属の上司に相談する前に退職のうわさが流れることのないよう、言動には注意をはらうことはいうまでもありません。

転職面接での退職理由の伝え方

次に、転職面接での退職理由の伝え方を見ていきましょう。

「~が嫌だから辞めたい」という退職理由では転職面接は通りません。まして前職の悪口を聞かされることは、面接官にとっても気持ちの良いものではありませんし、あなたへマイナスの印象を持ってしまいます。面接官が知りたいのは、「転職者の前職への不満は納得できるものか」「自社への転職で前職を退職した原因が解決するのか」ということです。

「給与が低い」「残業が多い」「人間関係が嫌になった」という不満が退職理由になっていると、「いずれ当社でも同じような不満を抱くようになるのではないか」と考えられてしまうことで採用を見送られかねません。面接官がやむを得ないと思えるような退職理由としては、応募先でなら解消されるような不満、あるいは応募先では起こりえない不満などがあります。

ネガティブな退職理由は自分自身も前向きな姿勢を持てる「やりたいことを実現するため」「キャリアアップのため」の退職へ変換することを意識して、伝えていくと良いでしょう。面接時間は限られています。退職理由は簡潔に伝え、入社後に実現したいキャリアなど、今後の話題へ早めに転換させるように心掛けましょう。

また、履歴書や職務経歴書などの応募書類の志望動機を書く欄にネガティブな退職理由を書くことも厳禁です。この機会に覚えておきましょう。

退職時に知っておきたい4つのQ&A

ここでは、退職にあたり知っておいたほうが良いことをQ&A形式で解説します。

Q.退職はいつまでに誰に伝えればいいのか

A. まず、就業規則で退職について確認をしておきましょう。仮に、申し出は退職の1か月前までに行う旨が就業規則に記載されていたら、退職希望日の1か月以上前に直属の上司に退職したい意思を伝えましょう。具体的な退職日は、後任への引継ぎを考慮して上司と話し合って決めます。

Q. 退職届と退職願の違い

A. 自己都合で退職する場合は、「退職届」と「退職願」のどちらも使えます。
「退職届」は「退職いたします」と明確な意思決定を届けるものです。「退職させていただきたい」と会社側の判断を仰ぐという意味合いの「退職願」よりも、退職の意思が強い印象を与えます。職場の状況や、あなたの意思の強さから判断すると良いでしょう。

退職届または退職願は、ドラマなどのように相談もなしにいきなり提出するものではありません。まず上司に退職の意思を伝えたうえで、就業規則などで定められた期日より前に提出します。また、どのような退職理由であっても退職願には「一身上の都合」とし、具体的な理由は書きません。退職届や退職願は、直属の上司に提出します。直属の上司以外の別の上司や、人事部に直接提出するのはNGです。

退職届と退職願の違いや、ダウンロードできるテンプレートは「マナーを確認!退職届と退職願の違いと書き方を知って、円満退社しよう【テンプレート付】」でも解説していますので、あわせてご覧ください。

Q. 失業保険の申請方法

A. 転職先が決まっていない場合で、離職の日からさかのぼって2年間に、被保険者期間が12か月以上ある場合は受給条件に該当するので、失業給付金の申請を行います。ただし、倒産や解雇などで退職を余儀なくされた場合は、離職の日からさかのぼって1年間に被保険者期間が6か月以上あれば受給可能です。

また、転職しようとする積極的な意思があることが前提なので、病気やけがなどの理由ですぐに転職できない状況にある場合は給付が受けられません。その場合は傷病手当を受給するか、失業保険の受給延長の手続きをして、病気やけがが治った後に失業保険を受給できます。失業保険の手続きは、居住地を管理するハローワークで行います。

Q. 健康保険の手続き

A. 退職と共に、それまでの勤務先で加入していた健康保険の被保険者資格はなくなります。すぐに転職する場合は、転職先で資格取得の手続きをします。転職先が決まっていない、または転職から次の職場への入社まで期間が空くような場合には、必ず下記のいずれかの手続きをしましょう。

  • 1、任意継続被保険者制度の利用
  • 2、国民健康保険への加入
  • 3、家族の扶養に入る

万が一手続きをしないままの状態で通院や入院が必要になった場合、健康保険の適用が受けられず診療費は全額自己負担を強いられることになります。

上司を納得させられる退職理由で円満退社を目指し、転職面接では胸を張って円満退社であることを告げて、新しい仕事や将来に対する意欲を存分にアピールしましょう。不安や困難に打ち勝ち、転職はチャンスだと前向きに考えて新しい一歩を踏み出してください。

ライタープロフィール

みらいみゆきコンサルタント事務所 代表
大場美由紀

JCDA認定CDA(キャリア・ディベロップメント・アドバイザー)、メンタル心理カウンセラー資格、女性労働協会認定講師、小論文講師。高校生に対する大学入試小論文指導講演を各地の高校にて多数行う一方、就活生のカウンセリングやES添削、社会人の転職・再就職支援のための講座を精力的に行っている。みらいみゆきコンサルタント事務所

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