プロの企画書の構成と書き方とは?内容が伝わる作成ポイントをご紹介
※この記事は、2017年1月17日に執筆し、加筆・修正を加えたものです。
企画書を初めて作成する方は、構成や書き方が分からず、どんなふうに書けばよいか悩んでしまうのではないでしょうか。そこで本記事では、例を挙げながら企画書の構成と書き方、作成ポイントを解説していきます。
そもそも企画書とは
企画書とは、自分が推進したい企画(商品やプロジェクトなど)の意図やねらい、得られるメリット、今後の戦略などを協力してもらいたい人に伝え、賛同してもらうための資料です。
企画には商品企画、事業企画、キャンペーン企画、イベント企画、研修企画、出版企画など、さまざまな内容があります。それぞれの企画書は、企画の目的、内容、具体的なスケジュールなど、必要な項目にポイントを絞って書いていきましょう。
伝わりやすい企画書の書き方
企画書を作成する際、一番初めに全体の流れ、つまり構成を書き出すことをおすすめします。抜け漏れのないようにするためにも、いきなり冒頭から書き出すのではなく、最初に構成を用意することがポイントです。
所属する組織で決まっている書式や構成、自分なりのフォーマットがない場合は、まずは載せるべき項目を列挙してみましょう。紙に書き出す、付箋に書いて並べ替えてみる、パソコンで新規文書に打ち込んでみる、といった方法があります。
なお、パソコンで企画書を作成するときは、Microsoft OfficeのExcel、Word、PowerPoint など、自分の使いやすいソフトを使いましょう。
構成案の一例を挙げてみます。
- 1.企画書のタイトル
- 2.目次
- 3.目的とその背景、提案理由
- 4.提案内容
- 5.企画の対象者
- 6.企画で目指す目標
- 7.企画遂行のためのスケジュール
- 8.参考資料
以下で詳しく見ていきましょう。
企画書のタイトル
企画の内容を短く簡潔に言い表します。長くなってしまう場合、副題で補足するのもひとつの手です。
例)「●●(商品)の販売促進キャンペーン企画書」
目次
企画書が数ページにわたる場合は、目次をつけましょう。プレゼンテーションすることを想定し、話がスムーズにできるよう項目を並べていきます。
(※Word、PowerPointで目次を設定する場合は、「プロのワード活用術「ページ番号」の設定法・書式設定」「プロのパワーポイント活用術「ページ番号」目次があるときの対処法」をご覧ください。)
目的とその背景、提案理由
市場情勢などの背景をふまえ、何のために、なぜこの企画を行うのか理由を説明します。
例)新商品発売/既存商品のてこ入れをするため
ユーザーの変化による市場縮小を受け、新規顧客層の開拓をするため
競合他社の参入・追随を受け、トップシェアを維持するため
提案内容
提案内容のなかで、自分の考えた企画を紹介しましょう。主な内容の例を以下に記載します。
・今回扱う商品/サービスの概要や強み弱み
今回扱う商品/サービスの概要や強み弱みを、競合する商品/サービスと比較しながら説明します。新しいカテゴリーの場合は、それに近いものや何を代替するものになるのかを説明します。また、すでに想定されている課題があれば、解決策とともに記載すると、説得力が増すでしょう。
・市場調査、現状分析
商品やサービスを必要とする対象者がどこにどのくらいいるのか、何を求めているのか/いないのか、詳しい調査結果を記載します。現状の市場動向だけでなく、過去から将来へのトレンド、見通しがあるとより分かりやすくなります。
・調査、分析結果への対応策
市場調査、現状分析結果から導き出した最適な販売方法、宣伝方法のアイデアなどがあれば、記載します。
研修や、内部の企画などであれば、具体的に何を取り上げるのか、ということをこの項目で述べます。
企画の対象者
企画のターゲットは誰か、年齢や性別、地域、所属、特性などについて分かりやすく表します。
例)30~40代の働く男女
就園・就学期の子どもを持つファミリー層
●●を保有し、買い替え時期が到来している人
昇格を控えた管理職(社内研修などの場合)
企画で目指す目標
この企画で目指す目標を、可能であれば数値化して表します。教育研修など数字になりにくいものは、目標水準を文章で表現してもよいでしょう。もし費用対効果や収支計画があれば別項目で記載します。
例)月間売上高●●円、アクセス数●●件、新規契約●●社
新入社員の業務知識を、単独で顧客対応できる水準まで引き上げる
企画遂行のためのスケジュール
企画を遂行するにあたって、いつまでに何をするか、具体的な準備や実行の流れのスケジュール案を記載します。フローチャートや、時系列の表を用いると分かりやすいでしょう。複数の部署や関係者が関わる場合は、誰が何をするかという項目も必要です。
例)7月上旬対象顧客向けにDM発送、7月中旬よりフォロー電話、・・・
3月商品試作→4月モニターテスト→調整→6月再テスト・・・
参考資料
調査結果や検討材料となるものは、企画書を読んだ人があとで実際に参照できるよう、参考資料として末尾にまとめておきます。参照URL、書名・誌名も、企画書に記載するか手元に控えておきましょう。どの範囲まで調査してあるかを示す、という意味でも重要です。
分かりやすくするためのポイント3つ
企画書はコンパクトにまとめる
企画について真剣に考えるほど、書きたいことが増えてきます。しかし、企画書を書く目的は、内容を理解して賛同してもらうことです。具体的な実行マニュアルではありません。あまりに分厚い企画書で読み手の意欲をそがないよう、A4で1~4枚程度に抑えられるとよいでしょう。また、余白を極端に減らしたりせず、大きめのフォントですっきり見せるのも大切です。
一文一文を短く簡潔にする
企画書はパッと見て内容をつかめることが大切です。ポイントを箇条書きにして、それぞれの補足説明を1,2行で書く、というくらいの意識で書きます。
グラフや図で視覚的に理解しやすくする
いいたいことを文字で書いたら、それをグラフや図表でまとめ直します。グラフや図表が多い場合は、たとえばレイアウトの左半分が文章、右半分が図というように、全体観も統一すると読みやすくなります。
いかがでしたか。一口に企画書といっても、目的に応じて書き方を変える必要があります。まずは、インターネット上のテンプレートなどを参考にするのもおすすめです。そこで企画に必要なもの、不要なものをしっかり見極め、オリジナリティを加えて、読み手が採用したくなる企画書を作成してください。もし、企画に関するキーワードやキャッチコピー、短いフレーズなどのアイデアがすでにある場合は、ぜひ企画書に入れてみてください。言葉に惹かれ賛同を得やすくなるでしょう。
今回ご紹介した例を参考に、ご自身の熱意の伝わる企画書を作成してみてください。
ライタープロフィール
遠藤 美穂子
国家資格キャリアコンサルタント。2級キャリアコンサルティング技能士。
14年間の都市銀行勤務を経て、キャリアコンサルタントとして活動開始。ハローワークでの研修講師や、ビジネスマナー指導、大学でのキャリア教育や就職指導を担当。講演のほか、書類の添削や面接でのロールプレイングなど実践的指導も行う。国際文化会館主催の次世代リーダー育成プログラム、新渡戸国際塾一期生。2児の母。
株式会社近代マネジメント