手取り給料はどう変わる?2022 年 10 月からの社会保険適用拡大でシミュレーション

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2022/10/31

社会保険に関する法律が改正され、2022 年(令和 4 年)10 月から段階的に社会保険の適用が拡大されています。
短時間勤務で働いていて、これまで社会保険に加入していなかった派遣社員やパート・アルバイトの方で、新たに社会保険に加入する方がたくさんいらっしゃいます。

具体的にどのような働き方が条件に当てはまるのか、これからの働き方を考える際にはどんなポイントに気を付けたら良いのかを解説します。
自分の社会保険料がどれくらいなのか、手取り金額がいくらになるのかを簡易的にシミュレーションする方法もご紹介します。

社会保険とは?どんな目的の制度か

保険の基本的な考え方は「相互扶助」。人は生きていれば、さまざまなリスクに直面します。
病気や介護、勤め先の倒産など、いつ誰がその当事者になるのか分かりません。困ったことが起きたときのために、お互いが費用を出し合い支え合うための制度が保険なのです。
民間の保険と異なり、社会保険には一定の要件に該当すると加入義務が生じます。より多くの人が加入して資金を出し合うことで、お互いのリスクを分散することができるのです。

一般的に「社会保険」という言葉を使う場合、下記の2つの使われ方をします。

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狭義での「社会保険」

主に企業に勤める会社員や公務員を対象とした、下記 3 つを狭義の社会保険と呼びます。保険料は会社と従業員が折半して負担します。
今回の記事では、この"狭義"の社会保険について解説します。

  • ◆健康保険

  • ◆厚生年金保険

  • ◆介護保険

広義での「社会保険」

前述の狭義での 3 つに「労働保険」と呼ばれる下記の 2 つを加えた 5 つの総称が、広義での「社会保険」です。
雇用保険料は企業と従業員が負担しますが企業の負担割合が多く、労災保険については全額が企業負担です。

  • ◆雇用保険

  • ◆労働者災害補償保険(労災保険)

今回の法改正で何が変わった?対象者は?

社会保険(厚生年金・健康保険等)に加入する人・しない人の違いは何かご存知ですか?
正社員だから加入する、非正規雇用だから加入しない、ということではありません。派遣社員やパート・アルバイトとして働いていても、社会保険に加入している人はたくさんいます。

社会保険に加入できるかどうかの適用範囲は、週の労働時間・給料の月額など「働く条件」と、「勤務先企業の規模」により決まります。この適用範囲が、2022 年 10 月から段階的に拡大されていくのです。

社会保険加入対象となる「働く条件」

2022 年 10 月からは、以下の 4 つすべてに該当する方が社会保険の加入対象となりました。

短時間労働の
加入要件
2022年 9月まで
(改正前)
2022年10月から
(現行)
週の所定労働時間 20時間以上 20時間以上
月額賃金 88,000円以上 88,000円以上
継続期間 1年以上見込まれ 2カ月を超えて見込まれる
対象者 学生ではない 学生ではない

出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト「パート・アルバイトのみなさま」

これまでの制度では、短時間労働者には「勤務期間1年以上見込み」の継続期間という条件がありました。
しかしそれが 2022 年 10 月に撤廃。短時間労働者も通常の被保険者と同様に、2 カ月を超えて働き続ける見込みがある場合は社会保険の加入対象になります。

もし就労時に交わした雇用契約書などで契約期間が2カ月以内に定められていても、契約が「更新される」または「更新される場合がある」と書かれていたり、同様の契約で2カ月以上雇用されている実績があったりする場合は社会保険の加入対象です。
社会保険に加入したくないという方は、週の労働時間を 20 時間未満にする・月の給料を88,000 円未満に抑えるなどの働き方を選ぶことになります。

社会保険加入対象となる「勤務先企業の規模」

勤め先の企業の規模によっても、社会保険の加入対象になる場合とならない場合があります。

下記の表で注意していただきたいのは、対象としてカウントされる人数は正社員数や雇用者数ではなく「社会保険の加入者の総数」という点。
「フルタイムの従業員数+週労働時間がフルタイムの 4 分の 3 以上の従業員数」が基準になります。そのため企業の HP に掲載されている従業員数や、感覚的に把握している社員数とはズレが生じるかもしれません。

「働く条件」が 4 つすべて当てはまっていても、被保険者の総数が規定より少ない企業であれば、社会保険の加入義務は生じません。

適用要件2022年9月まで
(改正前)
2022年10月から
(現行)
2024年10月から
(改正)
特定適用事業所 被保険者の総数が
常時500人超
被保険者の総数が
常時100人超
被保険者の総数が
常時50人超

出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト「パート・アルバイトのみなさま」


ランスタッドは社会保険適用事業所です。ランスタッドと労働契約を結び働いている派遣スタッフの方で「働く条件」に該当する方は、社会保険の加入対象者となります。
加入対象者は社会保険に加入する義務があるため、加入する・しないを自分で選ぶことはできません。

参照:ランスタッドのライフサポート・福利厚生「社会保険」について

手取り金額はどう変わる?社会保険料の負担額を調べる方法

これまで社会保険の加入対象ではなく国民年金・国民健康保険に加入していた方、配偶者の扶養内で働いていた方は、今後支給される給料から社会保険料が控除(天引き)されることになります。

3 つの質問に答えるだけでシミュレーション

自分の社会保険料はいくらなのか、手取り金額がどれくらい減るのか気になりますよね。
ランスタッドでは、社会保険に加入した際の手取り金額をシミュレーショできるチャットボットをご用意しています。
本ページの右下の吹き出しマークをタップするか、以下の手順でご利用ください。

登録スタッフ お問い合わせ

STEP1:上記リンクの画面から右下の吹き出しマークをタップ
STEP2:「短時間労働者に対する社会保険の適用の拡大について」をタップ
STEP3:「社会保険加入時の保険料や給与額をシミュレーションしたい」をタップ
STEP4:労働時間、勤務日数、時給を入力

これだけで、健康保険料や厚生年金料などの金額と、社会保険料を差し引いた手取り金額が算出されます。
こちらはシミュレーション(見込額)なので、実際の給料とは多少の誤差が生じる場合があります。
あくまで参考としてご活用ください。

加入すると何が良い?社会保険のメリット・デメリット

これまで社会保険料を支払っていなかった方にとって、「給料から天引きされて手取り額が減る」というのは抵抗感があるかもしれません。
損をする気がするので配偶者の扶養内で働きたいという方もいるでしょう。
でも実は社会保険加入者には、国民年金・国民健康保険に加入している方や被扶養配偶者では得られない「保障」や「手当」があるのです。

社会保険加入で充実する手当

社会保険にあって国民健康保険にはない「手当」が 2 つあります。これらの手当金は、勤め先の企業が加入する健康保険組合や健康保険協会から支払われます。これは社会保険加入者のメリットです。

  • ◆傷病手当金
    病気やケガにより働けない状態になったときの生活を保障するための制度。療養のために仕事を休んだ日から 3 日間の後、4 日目以降の就労できなかった日に対して、給料の 3 分の2 相当が支給されます。

  • ◆出産手当金
    出産のために仕事を休んだ期間を対象に、給料の 3 分の 2 相当が支給されます。

社会保険加入で年金の保障が充実

「2 階建て」と表現される厚生年金。日本国内に住む 20 歳以上 60 歳未満の人は法律で国民年金(基礎年金)への加入が義務づけられていますが、社会保険料を支払うと、その国民年金の土台(1 階)の上にさらに厚生年金(2 階)を積み上げることになるのです。

年金を受給することになったときには、下記の通り給付を上乗せして受け取ることができます。

年を取ったら障害と認定されたら自分が死んだら
(遺族が受け取り)
老齢厚生年金

老齢基礎年金
障害厚生年金

障害基礎年金
遺族厚生年金

遺族基礎年金

出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト「パート・アルバイトのみなさま」

高齢化社会や人口減少を背景に、これから私たちはまだまだ働き続けることになります。今、企業には 65 歳までの雇用確保が義務づけられ、70 歳までの定年引き上げや定年廃止などの努力義務が課せられています。私たちが生きている間に、日本の平均寿命は 90 歳を越えていくかもしれません。

今回の社会保険適用拡大は、これから先の人生を長期的な視野で見たとき、これからの働き方と保障のあり方を考える良い機会になるのではないでしょうか。

社会保険料の半分を企業が負担

社会保険料は標準的な給料の月額により決定されますが、その半分を雇用している会社が負担することになっています。
短時間労働者の場合、国民年金・国民健康保険料を全額個人で支払うよりも、社会保険料を折半で支払った方が個人の負担額が小さくなるケースが多そうです。

ただし、扶養基準(年収s130万円)内で働いていた被扶養配偶者の方で、新たに社会保険の加入対象となった方にとっては、保険料の負担が増えることになります。手当金や年金の恩恵をすぐに実感できる訳ではないので、単純に「手取りが減った」という感覚になるかもしれません。
いざというときや老後のための貯蓄は用意してある、民間の保険などで備えてあるという方も、社会保険料の支払いには消極的になるでしょう。
そういった場合は、社会保険料が適用されない範囲での働き方を勤め先や派遣会社の担当者に相談されることをお勧めします。

社会保険加入についてや働き方のご相談はランスタッドへ

社会保険加入に関して不安なことがあれば、チャットボットからお問い合わせいただくか、お近くのランスタッド支店や担当コンサルタントにお気軽にご相談ください。
これからの働き方や長期的なキャリアプランについても一緒に考えていきましょう。

ぜひ、納得いく働き方を見つけるお手伝いをさせてください。

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ライタープロフィール

白川 真理子

ランスタッド マーケティング&ブランドコミュニケーション本部 DX部 インサイドセールス

オフィス系派遣のコンサルタントとして企業、求職者・就業者の方々の支援に携わる。
現在はインサイドセールスとしてランスタッドの全サービスをワンストップでご提案することを担当。国家資格キャリアコンサルタント。

ランスタッドなら、あなたに合った働き方がきっとみつかる!

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