難病対策、小慢対策とも新制度へ  委員会が報告、法整備に向け厚労省

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2014/02/07
難病対策の法制化を審議していた厚生科学審議会の難病対策委員会(金澤一郎委員長)は13日、事務局の厚生労働省が提示した医療費助成の修正案と、それを含む最終報告書「難病対策の改革に向けた取組について」を了承した。
これにより、1972年の制度発足から40年以上が過ぎた難病対策は、初めて法的裏付けを持つ“正規事業”になる。

新たな医療費助成は、対象疾患を現行の56疾患、約78万人から一気に300疾患余、約150万人に拡大し、助成費も約1340億円(2013年度見込み)から15年度には約1820億円程度に増える。 同時に、患者負担も増やし、所得階層を生活保護世帯から年収約810万円以上までの6段階に区分。それぞれの年収階層ごとに症状を軽い順から「一般」、重症の「高額かつ長期」、超重症の「人工呼吸器等装着者」の三つに分けた。これにより、生活保護世帯は自己負担がないが、「一般」の自己負担の上限は月2500円から最大3万円に、重症の上限は2500円から2万円に、超重症は一律1000円になる。

また、現行の医療費助成の対象者については、3年間の経過措置を設け、一般は月2500円から2万円、重症は2500円から5000円、超重症は1000円を上限とする。3年経過後は新制度に“合流”させる考えだ。

対象疾患の選定や重症度基準の認定などは、専門医師らによる「対象疾患等検討委員会(仮称)」を設けて検討する。また、対象患者は各地域の「難病指定医(仮称)」が診断、「臨床調査個人票」と「医療受給者証」を発行し、患者のデータベース化と医療費助成の証明証とする。

難病対策の“姉妹事業”である小児慢性特定疾患対策(小慢)事業の改正を検討していた専門委員会(五十嵐隆委員長)も13日、医療費助成の対象疾患を現行の514疾患、約11万人から約600疾患、約14万8000人に拡大する一方、患者の自己負担を増やす報告を了承した。

難病対策と同様の自己負担制度で上限を月1250円から1万5000円とし、現行の対象者は1250円から1万円の3年間の経過措置を設ける。これにより、予算総額は約260億円(13年度)から320億円程度に増える見通し。ただし、満20歳になると助成を打ち切られる「トランジション問題」については、難病対策と最後まで整合性が取れず、今回は先送りされた。

厚労省はこの日の報告書を基に、難病対策は疾病対策部会、小慢対策は児童部会にそれぞれ報告。年明けから、難病は新法の要綱案、小慢は児童福祉法の改正作業に入る。どちらも来年の通常国会に法案を提出し、成立から概ね1年後の15年1月を目標に施行したい考えだ。

ただ、難病対策では新制度になると助成対象から一部患者が除外される可能性があり、陳情を受けた自民、公明両与党から潰瘍性大腸炎とパーキンソン病については現行通りとするよう厚労省に要望が出るなど、まだ紆余曲折がありそうだ。


配信元:アドバンスニュース
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