改正派遣法の課題浮き彫りに  第一人者5人が活発な議論展開

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2012/10/18
改正派遣法の課題浮き彫りに  第一人者5人が活発な議論展開
NPO法人、人材派遣・請負会社のためのサポートセンター(高見修理事長)は16日、東京・両国で今年度を締めくくる派遣問題フォーラム「改正労働者派遣法の課題と今後の雇用問題を考える!」を開いた=写真。

10月から改正労働者派遣法が施行されたが、改正の目的である「派遣労働者の保護」につながるかどうかを踏まえ、今後の雇用政策を考える場としてフォーラムを開催。また、同フォーラムは「正規・非正規雇用をめぐる新たな動きと今後の人材ビジネスを考える」をテーマに、同法人が今年度、4回にわたって開催してきた「派遣・請負問題勉強会」のまとめとしての位置付けもある。

初めに、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎統括研究員が「労働者派遣法を根本から考え直す」と題して基調講演した。続いて、静岡大学人文社会科学部の本庄淳志准教授が「改正労働者派遣法の問題点からみた今後の論議のあり方」、ニッセイ基礎研究所生活研究部門の松浦民恵主任研究員が「派遣社員のキャリア形成の課題と今後の展望」、慶応大学大学院商学研究科の鶴光太郎教授が「非正規雇用改革~近年の政策対応の評価と残された課題」と題して、それぞれの立場から問題点や提言を発表した。

この後のパネルディスカッションでは、東大大学院情報学環の佐藤博樹教授がコーディネーターとなり、改正派遣法を中心に5人による意見交換があった。

論者たちの視点にほぼ共通していたのは、改正法が本当に派遣労働者の保護に資するかどうか疑問符がつくこと。さらに、非正規労働者問題の前進には派遣法だけでなく、正規・非正規全体に関わる議論が不可欠なことの2点。改正法の抱える構造的問題と、実態を踏まえた広い視野で政策を議論すべきという「根本」が浮き彫りになった形だ。

この日の論者は5人とも改正法など労働分野に関する第一人者で、さまざまな場面で発言や提言、また論陣を張っていることもあり、参加者の関心も高く、議論の内容も表層をなでるだけでなく充実していた。

(フォーラムの詳報は後日、「インタビュー&スペシャル」の欄に掲載します)


配信元: アドバンスニュース
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