2024年問題とは?ドライバー側のメリット・デメリットをご紹介

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2024/05/15

2024年に入り、物流業界における「2024年問題」がクローズアップされることが増えてきましたが、この問題の内容についてご存知でしょうか。本記事では、物流業界の2024年問題によって発生することが懸念される問題、物流業界で働くトラックドライバーのメリットやデメリットについて解説します。

2024年問題とは?

2024年問題とは、2024年4月以降にトラックドライバーの時間外労働の上限規制が始まることによって起こる問題を指します。この上限規制は、労働者が一人ひとりに合った働き方を選択できる社会の実現のために成立した「働き方改革関連法」で義務付けられたもので、時間外労働の上限規制のほか、有給休暇の取得義務化なども含まれています。

物流業界では、以前からトラックドライバーの長時間労働が問題となっていました。その原因として挙げられるのが、ドライバーの高齢化や人手不足です。ドライバーの数が少なくなり、1人あたりの負担が大きくなることで、長時間労働が増えていました。

長時間労働が多いというイメージは、人材を集める際に不利な条件となってしまい、さらに人手が不足する悪循環に陥ってしまいます。そこで人手不足を解消するために、物流業界でも働き方改革関連法を適用し、働きやすく稼ぎやすい環境を作るための一種の改革として、時間外労働の上限規制が始まりました。

働き方改革関連法に伴い労働基準法も改正され、時間外労働の上限規制は2019年より順次施行されていますが、物流業界に関しては特例により5年間の猶予期間を経て、2024年4月より適用となりました。

具体的な時間外労働の規制内容

法改正後の時間外労働の上限について具体的な内容は、以下の通りです。

・時間外労働の1ヵ月あたりの上限は原則45時間、年間360時間
・特別な事情がある場合の上限は年間960時間
・時間外労働の給与割増率は現状通り25%ですが、月60時間を超えた分は50%に引き上げ

法改正以前の時間外労働時間の上限は年間1,176時間だったため、大幅に上限が引き下げられたことになります。

時間外労働の上限規制がドライバーへ与えるメリットとデメリット

2024年問題は物流業界で働くトラックドライバーの労働環境改善や人手不足の解消が期待できるメリットの一方で、多方面へさまざまな悪影響を及ぼすデメリットもあります。

ドライバーのメリット

時間外労働の上限規制が始まることによって、以下のようなメリットが考えられます。

・ワークライフバランスを整えやすくなる

時間外労働が減ると生活リズムが安定しやすくなり、仕事とプライベートを充実させてワークライフバランスを整えやすくなります。

・心身への負担を減らせる

長時間の時間外労働は、体力的に大きな負担になるばかりか、ストレスや睡眠不足によりメンタルヘルスにも悪影響を及ぼす可能性があります。時間外労働の上限規制によって残業時間を減らせれば体力的な負担を軽くでき、睡眠不足なども防げます。多忙によって崩れがちなメンタルを安定させられるので、無理なく働けるでしょう。

・無駄な時間を削減して負担を軽減できる

トラックドライバーの仕事では、待機時間や荷物の積み下ろし作業が発生することがあります。特に待機時間は無駄な時間となるため、これを削減できれば、ドライバー一人ひとりへの負担を軽減してより働きやすい環境が作れるでしょう。

ドライバーのデメリット

時間外労働の上限規制で懸念されるデメリットが、いわゆる2024年問題につながる点です。

・稼働時間が減ることによる収入減少

トラックドライバーの給与は、固定給に加えて荷物量や走行距離、長距離運行で手当が付くことがあります。時間外労働が減るということは運行できる距離が短くなるということ。これまでのように運行できなくなるとドライバーの収入が減少する恐れがあります。

・離職者増加・人手不足

時間外労働が減ることで、走行距離や長距離運行に応じて支給される手当や収入が減ることは、離職者増加の原因となるでしょう。ただでさえ人手不足の現場では、離職者が増えることでドライバーを確保しづらくなるデメリットが考えられます。

物流業界へ与える影響と業界の取り組みは?

長時間労働の上限規制が始まることで、働きやすい職場環境作りが進み、人材獲得しやすく高齢ドライバーでも働きやすくなるなどの良い影響が考えられます。これにより、物流業界が抱える慢性的な人手不足やドライバーの高齢化といった問題解決につながることが期待できます。

しかし、トラックドライバーは時間外労働で稼いでいる人が多いのも実情です。上限規制がかかり長時間労働ができなくなると、時間外労働に収入を頼っていたドライバーの収入が激減する可能性があります。また、働ける時間が減る分ドライバー1人あたりの走行距離が短くなるため、長距離輸送が難しくなります。時間外労働が減ることで物流会社の利益も減少し、経営に悪影響が及ぶ可能性もあるでしょう。

さらに、ドライバー不足を補填するためのコストが荷主に転嫁されることによる物流コストや運賃の上昇、物流が支える食品や生活必需品などの価格上昇などが予想されます。そのため、物流業界に直接関わりがない一般消費者にも2024年問題による悪影響が懸念されます。

2024年問題に対する物流業界の取り組み

2024年問題に対し、物流業界はさまざまな取り組みを行っています。

例えば、無駄な時間となるドライバーの待機時間や荷物の積み下ろし作業を効率化して労働生産性を高める、運行計画の見直しや往復輸送・積み合わせなど新たな輸送方法を検討するなどです。

荷主のマッチングや荷物管理・積み込み管理などをクラウド活用で効率化を図るなどのIT化も物流業界に導入されつつあり、業務効率化に一役買っています。また、ドライバーの給与減少に対する対策として、給与や最低賃金の見直しなども行われています。

今後どのような影響が及ぶのか、注目しておこう

2024年問題は、物流業界で働く人ばかりではなく、物流業界全体、ひいては一般消費者にまで影響が及ぶ可能性もあり、注視すべき問題といえるでしょう。ただ、物流業界は働き方改革に取り組んでいる業種です。法改正による時間外労働の上限規制はデメリットばかりが目立ちますが、トラックドライバーが働きやすい環境になることは期待できるメリットとなります。

トラックドライバーは、商品の流通に必要不可欠な仕事です。ネット通販の利用増大で物流需要が急増している昨今、物流に関わる仕事は今後も高い需要が期待できる業種といえるでしょう。

ライタープロフィール

株式会社ライトアップ

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