意外と身近な事故と、スタッフが春から夏に気をつけたいこと

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2023/05/10

職場での災害防止とスタッフの皆さんの健康維持のために。

安心して安全に働ける職場環境を支えるための取り組みと留意点を、ランスタッド業務管理部 安全衛生推進室の千徳 勝氏に伺います。


安全と健康のために安全衛生推進室が取り組んでいること

――ランスタッドはスタッフのためにどんな取り組みをしているのでしょうか。

ランスタッド社内には「安全衛生規定」という定めがあります。その中で「危険ポイントの洗い出し」を義務化していて、事故が起きてしまった時はもちろんですが、日常的な作業中にあった危険なことや、スタッフさんから「ちょっと怖い思いをしました・・・」と報告があった内容などを資料にまとめて蓄積していっています。危険ポイントは普段パッと見ても気づきませんが、現場でお仕事をしている方は多く直面しているものです。

環境リスクのある職場については、派遣先企業に改善を依頼しています。例えば食品工場などで多いのが、水を使用しているために床が滑りやすくなっていたりする。そういったケースでは、ザラザラする滑りにくい床材に塗り替えてもらったりします。
ペットボトルの持ち込みがNGだった作業場では、熱中症予防のためにペットボトルを手元に置き水分補給をすることを許可してもらったり、給水器を設置してもらったり。屋外での作業なら、夏場はファン付きジャケットを貸与してもらう、定期的に冷たい風に当たれる環境を作ってもらうなどの改善をしていただいています。

スタッフの皆さんの「暑くて我慢できない」「室温が高すぎて辛い」などの声があれば、安全衛生推進室から支店経由で細かいヒアリングをさせていただき、派遣先企業に個別に改善案を提案させていただいています。

――スタッフの安全と健康を守るための活動なのですね。

安全にケガなく健康を維持しながら仕事をしていただくことが目的です。単純なことのようですが、そこに行き着くまでのプロセスはすごく複雑だったりしますよね。派遣事業の場合、派遣元であるランスタッドの判断で勝手に対策を講じることができません。見えないところで働いているスタッフさんの安全を管理する難しさはあります。

ただ、そこをうまくヒアリングしてデータとして残し、派遣先の職場ごと、支店ごとの財産としてどんどん積み上げていく。新しいスタッフの方がその職場でお仕事をする時には、そういった資料を安全に対する教育に活用しています。 

これは終わりがなくてエンドレスで続いていくのですが、この蓄積が災害防止のためのツールになります。ですから月1回の各支店での安全衛生委員会でしっかりとフィードバックして指導させていただいています。

――安全衛生委員会とはどんな会ですか?

拠点ごとに代表者と委員を選任し、月1回の安全衛生委員会を開催しなければならないと法律で定められています。この委員会では経営者サイドと労働者サイドが対等の立ち位置で、同数もしくは労働者側が企業側より多い人数で組織を作り労働者全体として安全に関する打ち合わせをしなければなりません。
これは残業の抑制や感染症拡大の抑制、危険箇所に関する内容などを共有して、対策を打つための会議です。

ランスタッドではその上の組織として「中央安全衛生委員会」を持ち、私たち安全衛生推進室が主催して毎月会議を開いています。
こちらでは、全国の各拠点で起きた事故などを全部集約して、各支店で行われる安全衛生会議でブレークダウンをして共有していただけるように資料を用意しています。皆さんの現場において類似する点があれば、事故が起きないよう対策できるようにするためのシステムです。

事故は身近なところで起きている

――職場での事故は多いのでしょうか?

ほんの数センチの段差につまずいて転倒し、骨折してしまうという事故がすごく多いですよ。所定のところに部材を置かなければいけないのに乱雑に放置されていて、それが原因でケガをしてしまうとか。そういった環境整備は、整理・整頓・清掃・清潔・躾の5Sが重要になるので、しっかり現場に徹底するようにしています。

――ささいなことが事故につながるのですね。

倉庫や物流センターなどでは、「トラックバース」と呼ばれるスペースでの事例が多くあります。トラックがバックで入ってきて接車し、荷物の積み降ろしをする場所ですね。トラックバースは高さが1mくらいあるのですが、そこから転落してしまう事故もけっこう起きています。そういった事故を回避するためにどのように環境を整備していくのか、安全衛生推進室がしっかり見ていかなければならないところです。

――スタッフ自身が気をつけることはありますか?

やはり健康管理ですね。派遣スタッフさんはその日にお仕事をしないと給料が発生しないのもあり、具合が悪くてもムリして現場に来ちゃうケースが多いです。それで現場で意識を失って倒れちゃうという事故も多くあります。工場内は鋭利なものや機械類がたくさんあるので、倒れたことによって頭部を挫傷してしまうこともあります。

製造系や物流系の現場では、最近は40代以降のスタッフさんが多くなってきています。20代の方ならつまずいてもバランスを立て直せる段差でも、年齢が上がれば上がるほど転倒や大きなケガにつながってしまいがちです。働く派遣スタッフさんの年齢層が上がってきているので、我々も細やかな注意が必要になっていると感じています。

春に増える不調と気をつけること

――春から夏の時期に増える事故やトラブルはあるのでしょうか。

春は年度切り替えの時期ですよね。配置替えが発生したり、新しいスタッフさんがたくさん入ってきたりするタイミングです。普段の作業に慣れている方でも、環境が変わったことによってルールを逸脱してしまうケースが起こりがちです。例えば本来であれば機械が詰まった時にはきちんと「停止」に切り替動作をしなければいけないのに、「ちょっとだけだから」とそのまま手を入れて機械に巻き込まれてしまうとか。今までは体が業務の流れを覚えていたはずなのに、それを変えて事故になってしまう。そういう事故が多いのが4月・5月ですね。

――自分自身の環境が変化していなくても影響を受けるんですね。

製造業などはグループ単位で動いていることが多いので、そのグループのヘッドが変わったり仲間が入れ替わったりすることがありますよね。そういう風に突発的に環境が変わる時に落ち着かない状況になったり、メンタルに支障をきたしたりするケースも多いですよ。

入れ替わった人が良い・悪いとかは関係なく、環境の変化によってストレスを溜めてしまいメンタル系の疾患につながることも珍しくありません。不調を感じた時は、コンサルタントに相談していただきたいですね。業務が原因であれば労災が適用され、自己負担なしで治療を受けられます。

事故を回避し安全に働くために気をつけることは何でしょう。

ケガに関しては、設けられている「作業標準」を守ることです。その派遣先企業が「この順番で作業をしてください」と定めた作業手順ですね。これは安全に作業していただくために、回りくどい作業工程が入っている場合があります。「この工程を飛ばした方が早いのでは」というものがたくさんある。だけどそれをやると事故の発生率が高くなるので、ちょっと遠回りをして作業をさせるっていう安全用の手順なのです。やっぱりそれを逸脱すると事故が起きてしまいますよね。

「早く作らなきゃいけない」ということは、派遣スタッフの皆さんの責任としてはあまり課せられていないことなので、しっかりルールを守った形で作業をしていただくのが第一ですね。

まとめ

  • 職場で危険を感じる場所があればコンサルタントに報告する。
  • ●体調管理を心がけ、具合が悪い時はムリをせずに休む。
  • ●身近な事故を防ぐために5Sや作業標準などの基本を徹底する。
  • ●周囲の環境が変わっても落ち着いて従来のルールをしっかり守る。
  • ●不安な点や不調・事故の際はすぐにコンサルタントに相談・報告を。

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ライタープロフィール

フリーライター 川村千里
 

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