管理職とは?役割と心得を知ってチームを加速させよう

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2021/09/28

みなさんは「管理職」についてどのようなイメージをお持ちですか?
その名の通り、「管理(マネジメント)する仕事」というのはなんとなくわかりますよね。しかし、具体的にこんな仕事をしている人だ、と答えられる方は少ないのではないかと思います。今日はそんな「管理職」の、主な役割と心得についてお伝えします。今から管理職を目指す、という方もぜひご一読ください。

管理職とは?

そもそも管理職の定義とは、労働現場において、その組織が目指している目標を実現するために、労働者を指揮し組織の運営をおこなう者です。役職名だと「課長」「部長」といった名称が一般的です。
ちなみに、労働基準法における「管理監督者」は、残業手当等が支払われないいっぽうで十分な権限や待遇を受ける者であり、役職名や肩書の有無に関わらず、「労働条件の決定その他労働者の労務管理について経営者と一体的な立場にある者」と厚生労働省によって通達されています。世間一般で言われる「管理職」がすべて「管理監督者」であるとは限りません。この記事では「管理職」について説明します。

管理職の役割

管理職がなぜ組織にとって必要かを端的に言うと、組織が目指している目標を実現するために、「人の管理」と「業務の管理」をおこなう立場の人間が必要だからです。
では、管理職の役割とは具体的にどのようなものなのでしょうか。特に重要な役割を4つご紹介します。

【1】部下の管理

部下の仕事の内容や進捗状況を把握し、部下が目標を達成できるようにサポートし、評価やそのフィードバック、動機づけを行います。部下の人材育成・能力開発につながるアドバイスも大切です。そして、部下の心身の状況をよく観察し、ストレスの軽減をしてあげるのも管理職のつとめです。

【2】チーム内外の人間関係の管理

部下同士や、部下とチーム外の人とのコミュニケーションにも気を配ることが、チームの能力を最大限に引き出すためには必要です。

【3】部・課の目標達成のための業務の企画・遂行

自分の管理する部・課の業務目標を達成するために必要な計画を立案し、それを遂行します。

【4】経営理念・ルールの浸透

経営者と部下の間の立場である管理職は、経営者の意思を部下に適切に伝達し、理解させ、組織の目標の実現に向かって一丸となっていくよう統率します。

管理職の手当

管理職になると、前述したような様々な役割が与えられて責任が増え、それにともない給与も上がっていきます。それでは手当などには変化があるのでしょうか。

残業手当

残業手当とは、法定残業に対して支払われる割増賃金のことです。冒頭で述べた、労働基準法における「管理監督者」に該当する管理職であれば残業手当が支払われない場合もありますが、該当しない管理職には基本的に支払われます。

住宅手当

住宅手当とは、一般的に、社員の住宅費用を補助する手当のことです。「家賃補助」といった名称が使われることもあります。もともと支給しない企業や、管理職になることで支給されなくなる企業もあります。

家族手当

家族手当とは、一般的に、扶養家族の人数により支給される手当のことで、社員の生計費を支える意味合いがあります。管理職になることで支給されなくなるケースがあります。 

職場は人の集合体です。集まりであるからには、守るべきルールや方向性があります。そこから逸脱しないよう見守り、かつチームの力をより高めていく働きかけをする、などの重要な役割を担っているのが管理職であると言えます。

管理職の心得

管理職がどのような仕事をしているかご理解いただけたかと思います。ここからは、「管理職としてこれからやっていくには?」あるいは「なかなかうまく行かないことが多いな...」と悩んでいる管理職の方が知っておくと良い心得を5つご紹介します。「組織マネジメント力を上げる、管理職に必要なテクニックとは?」と併せてご覧ください。

【1】チームワークをよくする働きかけをおこなえ

成長戦略の時代に入り、企業の業績向上のためには、一人ひとりの社員の活躍とチームワークによる生産性アップが必須となりました。チームワークをよくする方法として2つ挙げてみます。
まず、部下に対しては公平に接することを心がけましょう。上司対部下、及び部下同士のよい人間関係づくりにつながります。
次に、部下に「for the team (フォア・ザ・チーム)」の考え方を折にふれて浸透させます。組織で仕事している以上、部下個人だけではなく周囲の人たち(同僚、お客さまなど)にとってもメリットのある動き方をし、役割を担うよう促します。
これらの手法を取り入れて、チームワークの土台づくりをおこなうのが管理職のつとめです。

【2】話しやすい、コミュニケーション力のある管理職であれ

部下が話しかけやすい雰囲気を持ちましょう。「笑顔で接する」「多忙なときも、相談を持ちかけられたら、手を止めて短時間でも応じる」などを実践してみましょう。ミスやクレームの報告の際でも、ひととおり聞く耳を持ち、事実を正確に把握する姿勢で接します。「あとにして」ではなくタイミングよく応じることで、部下が気づいたことや悩んでいることで報告や相談をしやすくなります。
部下は、話しやすい上司として信頼を寄せるようになります。

【3】部下の働く意欲を高める動機づけをおこなえ

組織の目標を実現するために、いかに部下の働く意欲を高めるかは、管理職としての重要な仕事です。
管理職としては、その意欲を高める動機づけを心がけましょう。「仕事ぶりや成果をほめる」「自己実現などの欲求を満たす」「部下の仕事を手伝う」などのいろいろな手法がありますが、なかでも、この「手伝う」が重要です。進捗状況を聞き、必要な場面で手を貸します。それと同時に、部下の遂行能力アップを支援するのです。具体的には、その業務遂行についてのノウハウやヒントを伝え、自分の経験談を語り、部下にとことん考えさせます。すると部下が課題解決できる範囲が増え、仕事が面白くなってモチベーションが高まります。

【4】部下に寄り添って現場指導をおこなえ

部下の業績が不振なときに、その原因を一緒に解決すべく寄り添いましょう
たとえば、セールスの成績が伸び悩んでいる部下がいたら、お客さまのもとへ同行訪問し、その原因を探ってみます。部下のせいではない、意外な原因が潜んでいることもあります。それをせずに社内で叱咤激励しているだけでは、部下の心は離れてしまいます。

【5】働く環境を整備せよ

部下が能力を発揮できる環境であるか目を配り、環境を整えることはとても重要です。
たとえば、冷暖房が部下の健康に影響を及ぼしていないか、資料・データや道具類が整理整頓されていないために、探し物に無駄な時間を費やしていないか。こういったことに配慮することが、業務を効率的に推進するためには必要不可欠です。
チームを見渡し統括する管理職は、センサー機能を発揮するべきポジションにあるといえます。 

いかがでしたか。現在、管理職にある方にとっては、「管理職の基本」を振り返る機会になったかと思います。基本どおり行動し場数を踏む過程で、管理職としての問題解決力が培われていくものです。
また、「スパン・オブ・コントロール」といって「一人の管理職の目の届く範囲」という概念があります。通説では5人~7人という数値があります。業種・職種によっても異なりますので、数値にとらわれる必要はありませんが、この数値を拡大することができてくれば、管理職としての自身の成長が実感できます。
ここで挙げた管理職の役割と心得をぜひ心に留めていただき、ますますご活躍されることを祈っております。

*本記事は2016年9月28日に公開した内容を再編集して掲載しております。

ライタープロフィール

小林 守
経営コンサルタント。早稲田大学卒。都市銀行に10年間勤務したのち、経営コンサルタントの道に入り、株式会社近代マネジメントを設立、代表取締役に就任。経済産業省登録 中小企業診断士(1975年登録)。
専門は経営診断、経営戦略立案、マーケティング・マネジメント・コンサルティング、営業店再開発、新店舗開設、産業心理学・経営組織論。
これまで「ゼロからわかる新規融資・成長支援」「あたりまえだけどなかなかできない商談のルール」「強い得意先集団のつくり方」など専門書・ビジネス書など28冊執筆し、11誌紙で連載を担当。能力開発・教育訓練の分野では、経営者・管理者・営業担当者・新入社員などの研修講師を歴任。執筆、講演、講座など実践中。
株式会社近代マネジメント

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