労災保険とは? 万が一のケガや病気の時に生活を守るための制度

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2023/07/12

職場での災害防止とスタッフの皆さんの健康維持のために。

安心して安全に働ける職場環境を支えるための取り組みと留意点を、ランスタッド業務管理部 安全衛生推進室の千徳 勝氏に伺います。

業務中や職場への通勤時の事故によるケガ、あるいは仕事のストレスが原因となったメンタル不調......。万が一そんな事態に直面した時、会社に雇用されている人は治療や補償に労災保険の適用が受けられます。
労災保険を使用する場合、正しい手続きを経なければ不要な支払いや手間を招くことになってしまいます。万が一のケガや病気の際に慌てないよう、事前に知識を備えておきましょう。

労災保険の制度と派遣スタッフが受けられる補償

「労災」って?健康保険とどう違う?

「労災」という言葉を知っていても、それがどういう制度なのかは詳しく知らないという人は多いかもしれません。正しくは「労働者災害補償保険」という名称で、労働者とその遺族を守るための社会保険制度です。
これは労災保険に加入している労働者が業務中や通勤途中に災害(ケガや病気のこと)に遭った時、補償を受けることができる制度。そのケガや病気が労働災害かどうかは、法律により定められた基準に基づいて判断されます。

労災保険の補償は正社員のみならず、パート・アルバイトや派遣社員も対象。毎月の保険料は雇用している会社が全額負担する義務を負うため、健康保険と違い本人の保険料負担はありません。病院で治療を受ける際も本人の自己負担は無く、さらに休業中の補償も健康保険の傷病手当よりも手厚い補償給付が受けられます。

労災保険で受けられる補償の種類

幅広い補償が受けられる労災保険の中で、代表的な補償給付を3つご紹介します。

1、療養補償給付

ケガや病気が治癒するまでの療養費用(治療費・薬代)、病院への交通費(要件あり)が給付されます。障害が残った場合には後述する障害補償給付の対象となります。
病院や薬局の領収書などを添付して申請し、申請から給付まではおおむね1カ月程度です。

2、障害補償給付

障害等級第1級〜第7級に該当する障害が残った場合は障害補償年金が、障害等級第8級〜第14級に該当する障害が残った場合は障害補償一時金が給付されます。
申請には医師による労災保険の診断書とレントゲン写真などの添付が必要です。申請から給付まではおおむね3カ月程度かかります。

3、休業補償給付

ケガや病気の療養のため働くことができず給料をもらえない状態の時に、休業4日目から1日につき平均賃金の80%が給付されます。なお、その内の20%は「特別給付金」と呼ばれる社会復帰を促進するための給付金です。
申請には出勤簿や賃金台帳のコピーなどが必要になります。申請から給付まではおおむね1カ月程度です。

通勤途中に転んでケガをしたら「労働災害」?

実際にどのようなケガや病気が労働災害になるのでしょうか。具体的な例をご紹介します。

労災保険で補償が受けられる可能性が高いケース

  • ●勤務先の駐車場に駐車した車から更衣室のロッカーまでの移動中に転倒して骨折した
  • ●職場から帰る途中にドラッグストアに立ち寄り日用品を購入して帰宅する途中、交通事故に遭って負傷した
  • ●工場で業務中に作業手順を誤り、機械に巻き込まれて指を切断した
  • ●職場で同僚からいじめを受け、うつ病になった
  • ●残業が続き過労が原因で脳梗塞になり死亡した

労働災害と認定されない可能性が高いケース

  • ●業務の休憩時間にプライベートの会話で同僚とケンカになり殴られて負傷した
  • ●午後からの遅番の日に朝早くに住居を出てジムに行き、ジムから会社に向かう途中で事故に遭い負傷した
  • ●業務終了後に友人と外食し、酒に酔って帰宅途中に転倒して骨折した

労災保険はスタッフが安心して働くための制度

「労災保険を使用すると契約を打ち切られるのでは」「会社に嫌な顔をされるのでは」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし真っ当な企業であれば、労災の申請にきちんと協力してくれるはずです。
スタッフの労災申請について、安全衛生を管轄するランスタッド業務管理部 安全衛生推進室の千徳 勝氏にお話を伺いました。

「労災保険は会社が国に保険料を支払っていて本人負担が無いため、自分が加入していることを知らない方や制度について知らない方も多くいらっしゃいます。もちろん、ケガをさせない・しないことが大前提なんですけど、万が一事故が起きてしまった場合の保証として労災保険があるのです。ランスタッドと契約している間に起きた労働災害については労災保険が適用されますから、皆さんには安心してお仕事をしていただきたいです。

補償給付を受けるためにはご本人の手続きが必要になり、会社が代わりに申請をすることはできません。一方で会社には『従業員が労災申請をする際の手助け』をする義務があります。ランスタッドでは申請書類作成のサポートをしていますので、遠慮なくコンサルタントに連絡をしてください。

残念ながら一部の中小企業では「労災隠し」というものがまだ存在しているようです。しかしこれは会社にとって大きなペナルティにもなりますし、労働災害の治療に健康保険は使用できないため、労災の申請をしなければ治療費は全額本人の自己負担になってしまいます。ランスタッドは皆さんが不利益を被らないようにきちんとヘルプしますので、隠さずにお話ししていただきたいですね。

健康保険の制度と労災保険の制度はまったく性質が違うものです。混乱してしまいがちですが、負傷した・罹患した初期段階で健康保険なのか・労災保険なのかを判断しなければいけないんですよね。業務中にケガをしたのに健康保険証を使って治療を受けてしまったということになると、後からの手続きが非常に煩雑になってしまいます。仕事に関するケガや病気の際は、病院に行く前にコンサルタントにご相談ください」

まとめ

  • ●派遣スタッフも労災保険の補償給付対象。
  • ●通勤途中や職場での災害(ケガ・病気)は労災に当たる。
  • ●労働災害の治療に健康保険の使用はNG。
  • ●労災保険の申請は本人が行う必要がある。
  • ●労災が起きたらまずはコンサルタントに連絡を。

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ライタープロフィール

フリーライター 川村千里
 

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