interview介助を受けながら在宅フルタイムワークを実現|障がいや持病があっても働き続けられる社会を目指して
高山 わか子人事本部ED&Iチーム 翻訳
- profile
- 鹿児島生まれ、大阪・徳島・東京・千葉育ち。アメリカの大学でStudio Artを専攻、卒業後はサンフランシスコと東京で商業写真の様々な現場のアシスタントの経験を積んで、その中でも料理写真を中心に撮影の仕事を始める。ほぼ同時期に、国の指定難病である遠位型ミオパチーと診断される。徐々に症状が進む中、結婚後は出産・育児や夫の海外赴任の帯同と並行してパートやボランティア活動をしつつキャリアを模索、2022年ランスタッドに入社。2児の母で電動車いす利用歴10+年。
写真家として独立後、難病と診断*されて方向転換。紆余曲折を経てランスタッドに入社
2022年にランスタッドに入社し、人事本部ED&Iチームにて人事本部内の翻訳を担当している高山。
アメリカの大学で主に写真を学び、卒業後はサンフランシスコでインテリアや料理や人物など商業写真のアシスタントとして経験を積みました。帰国後、料理を中心にした写真家として独立。順風満帆な日々を送っていたある日、国の指定難病である遠位型ミオパチー(全身の筋力が低下する疾患)と診断され、方向転換を考え始めました。
(高山)「まさか自分が難病になるなるなんて想像していませんでした。写真家は動かないと仕事にならないので、別の仕事を探すことにしたんです。自分のスキルから写真を取り除いたあとに残ったのが英語だったので、あまり深く考えることなくとりあえず翻訳や通訳に関するボランティアやパートを始めました」
高山はこれまで国際交流協会などの翻訳・通訳や、外国から来た子どもへの日本語学習支援を経験してきました。
(高山)「障がい者雇用での仕事を探していたのですが、なかなか条件に合う会社が見つからなくて。一人では外出できないため、完全在宅を望んでいたのですが、月に数回の出社や本社での研修を求められることがあり、なかなか社員として雇ってもらえませんでした。仕事を探すのが難しかったので、約10年間は出産・育児と並行してできる範囲での翻訳や通訳のボランティアやパートで社会とのつながりを保っていました」
諦めずに障がい者雇用で転職先を探していたところ、タイミングよくランスタッドとつながります。当初はランスタッドから仕事を紹介してもらうつもりでしたが、驚くことに高山は、担当者からランスタッドで働くことを提案されました。
(高山)「率直に驚きましたね。例えるなら、入江でバシャバシャもがいていた私の前に、突然大きな船が悠々と現れて私を甲板に拾い上げてくれたような。そんな出会いでした」
今までアート分野の英語に触れてきたため、入社当初は人材や人事の翻訳ができるか心配だったそう。担当のコーディネーターに「みんな優しいから大丈夫ですよ」と背中を押されて、高山は入社を決意します。
-------------------------------------------------
*遠位型ミオパチーは進行がゆっくりな病気で、交通事故のようにある日突然車いすになるわけではありません。対策を考える時間をくれる病気、と捉えることもできます。実際、高山が電動車イス利用者になったのは写真をやめて4年後です。
スーパーフレックス制度と在宅ワークで、介助と両立した働き方を実現
入社後、高山に一から仕事のイロハを教えてくれたのは人事本部 エクイティ、ダイバーシティ&インクルージョン(ED&I) マネージャーでした。
(高山)「マネージャーの方が全面的にサポートしてくれました。人事の仕組みや用語、規則などから教えてくれて。リモートワークなので、わからないことがあれば質問をチャットで送ったり、ミーティングで聞いたりしていたのですが、すべて解決につなげてくれました。今のマネージャーがいなかったら、やっていけなかったと思います」
マネージャーとはオンラインでやり取りを行っています。初めて対面したのは働き始めて1年が経ち、高山が赤坂の本社に出社したときでした。
現在は、健康診断や年末調整のお知らせ、ミーティングの資料など業務に必要な文書の翻訳に携わっています。高山はスーパーフレックス制度や完全在宅などを利用し、柔軟な働き方ができていると語ります。
(高山)「面接から採用まですべてオンラインで完結し、数日後にはパソコンが自宅に届きました。以来、完全在宅で仕事をさせてもらっています。毎日ヘルパーさんが自宅に来て、家事支援や身体介助を行ってくれるのに加え、平日の日中に週2回の訪問リハビリや往診もあるのですが、スーパーフレックス制度のおかげで、その時だけ仕事を中断しています。そのため、フルタイムで働けていますね。一般的なスーパーフレックス制度はコアタイムがあるのですが、ランスタッドにはないので本当に助かってます」
高山は約半年に一度、日常に関わるヘルパーや理学療法士、作業療法士、市の職員などを自宅に集めて、ヨコの連携を取るためのミーティングを開催しています。ミーティングは基本的に平日の日中ですが、ランスタッドでの柔軟な働き方のおかげで、休みを取らなくても、仕事の合間を縫ってミーティングを開催できるとのこと。
(高山)「ランスタッドでの柔軟性のある働き方や行政のサービス、周りのサポートのおかげで、子ども達も何不自由のない学校生活を送れています。夫も介護離職することなくフルタイムで働けていますね」
「ランスタッドは社会を変えられる」
高山は、従業員主導の障がいの啓蒙活動グループであるADA BRG (Alliance for Disability and Allies Business Resource Group)のメンバーとして活動。ランスタッド世界39カ国のメンバーとともに、障がいに関する啓蒙活動に取り組んでいます。
昨年、「国際障がい者デー」である12月3日に全世界のランスタッドメンバーが参加するグローバルのイベントにて、高山は当事者としてパネルディスカッションに参加しました。今後は、自身の働き方を通して、持病や障がいがある人でも働き続けられることを広めたいと語ります。
(高山)「私の持病である遠位型ミオパチーの患者は、介助こそ必要ですが、基本的に働き続けられます。しかし、病名の知名度が低いこともあってか、障がいの固定概念が先行してしまい、なかなか企業に雇ってもらえないケースが多いです。ランスタッドのように環境が整っていれば問題なく仕事もできるので、障害や持病がある人でも働き続けれる事実を広めていきたいです」
さらに、「ランスタッドは世界を変えられる」と高山は続けます。
(高山)「ランスタッドに入社して、障がいがあってもフルタイムで働き続けられることに感動しました。今まで色々な苦労をしてきたので、もっと早く知りたかったとも思います。世間ではダイバーシティやSDGsが時代の流れになっていますが、障がい者が働くハードルはまだまだ高いです。ランスタッドのような障がいや持病を持っている人でも働ける環境が浸透していき、自分の子ども達が大人になる頃には今よりもずっと働きやすく、生きやすい社会になっていてほしいです」
「ランスタッドには親身になって考えてくれるマネージャーがたくさんいる」
仕事のやりがいについて、翻訳でリピートで仕事がもらえたときだと高山は話します。
(高山)「相手が求めているクオリティに仕上げることを心がけているので、やはりリピートで仕事をいただけたときは、前回の仕事内容を評価いただけたようで嬉しいですね。ただ、依頼量には波があり、手が空いてしまうときも正直あります。仕事がないと内心落ち着かないのはフリーの写真家として活動していた際に染みついた癖なんです。できるだけ手が空かないように、チャットやメールで『手が空きそうなので、お手伝いできることはありませんか?』と伝えるようにしています」
また、高山は近年AIが発達しているなかで「翻訳の仕事がなくなっていくのでは」と感じています。
(高山)「定型文の翻訳は、どんどんAIの仕事になっていくと思うんです。そのため、現状に満足せず、人間にしかできないスキルを身につけていきたいですね」
最後に、ランスタッドに障がい者採用として入社を検討している方へ、次のようなメッセージを語ってくれました。
(高山)「ランスタッドには親身になって考えてくれるマネージャーがたくさんいるので、働き方については我慢せず率直に伝えてみてほしいです。例えば『これができないんです』『これがしんどいんです』『この日は仕事ができません』という具合で、無理に適応しようと頑張るより、まずは相談してみることをおすすめします」