interview『派遣社員からの転職は難しい』という常識を覆す。転職市場の新風となるキャリアチェンジ転職チームの全容

野口 慎平東京営業本部 プリンシパルパームコンサルタント
- profile
- 埼玉県出身、中央大学で心理学を専攻。 新卒でランスタッド(旧フジスタッフ)に入社し、宇都宮に配属。 宇都宮では営業として市街地中心にオフィスワークの派遣を担当、委託事業も複数兼任。 2015年に日本橋へ異動。金融支店に配属となり、金融業界の顧客を担当(銀行や関連会社など)。 2023年に本チームの新設に伴い、異動希望をし転籍。
従来の正社員転職サポートのジレンマが心に火を付けた

キャリアチェンジ転職サービスは、ランスタッドで2022年に開始された新事業です。部門長1名とコンサルタント3名からなる少数精鋭部隊ながら、社内のみならず人材市場でも存在感を放つ試みに注目が集まっています。
キャリアチェンジ転職サービスの立ち上げメンバーの野口は、大学時代に専攻した心理学に感銘を受けました。人に関わる仕事がしたいと思案した結果、「人」を財産とする人材業界に目を向けました。
(野口)「ランスタッドは学生に対してもフラットで、人を大切にする姿勢が感じられて入社を決めました」
入社後は派遣のコンサルタントとして一般企業や金融業界を担当。オフィスワークの派遣就業をメインに経験を積みます。しかし、派遣したスタッフの経験値が増えていくにつれ寄せられる「正社員になりたい」という相談が野口を悩ませます。
(野口)「当時の正社員転職はエグゼクティブ層を対象としたハイクラス転職に特化していたので、一般職クラスの転職支援は社内にもノウハウがなかったんです。派遣先へ正社員登用の提案しかできず、スタッフの力になり切れないジレンマがありました。ですから、ハイクラス以外の正社員転職をサポートするサービスが始動すると知り、迷わず手を挙げました」
キャリアチェンジ転職サービスの対象となるのは、派遣社員からの正社員転職を目指す方。候補者は主にランスタッドに登録のある派遣データからピックアップするという、社内リソースを活用して自走するサービスです。また、第二新卒からの転職や、事務職から人事や労務のような新たな職種に挑戦する方もサポートの対象になります。
(野口)「需要が高いのは、やはり契約社員からの正社員転職。以前は子育てや介護など、働き方に制限のある方に配慮した職場作りは今ほど浸透しておらず、正社員から派遣社員への転換は珍しくありませんでした。月日が経ち、その方々が仕事にフルコミットできる状況になり、さらに女性の社会進出が進んだことを受け、今後キャリアチェンジ転職サービスのニーズは高まると踏んでいます」
現在、野口はキャリアチェンジ転職チームの専任担当者(パームコンサルタント)として、企業へのヒアリングや条件の交渉、さらに候補者の面談、紹介、面接フォローを担当し、企業と候補者の双方をサポート。組織の核となる中堅プレイヤーを数多く輩出しています。
画一的でないサポートができるのがスタートアップチームの魅力

派遣社員から派遣社員への転職にかかる期間は平均1週間で、候補者とパームコンサルタントの付き合いも短いスパンで回転します。一方、キャリアチェンジ転職に要する期間は最短1ヶ月。長い時間を共に過ごすため、候補者との絆は自然に深まります。
(野口)「転職活動の入り口から出口まで、候補者に切れ目ない支援ができるのがこのサービスの特徴です。特に喜んでいただけるのは、面接のフォロー。派遣社員歴の長い方だと、採用試験のようなオフィシャルな面接を何年も受けておらず、志望動機や自身の強みを伝えるのに不安を覚える方が多いように感じます」
候補者の希望に応じて野口は志望動機の添削や面接練習を実施。つい最近、正社員転職を果たした候補者は、面接対策にトータル10時間かけたと話します。「内定が出たときは自分のことのように嬉しかった」と喜びをにじませました。
(野口)「画一的でないオーダーメイドのサポートができるのは自己裁量の高いスタートアップチームならでは。社内にも前例がない状態で始まったチームである強みを活かし、自由度の高い施策ができる楽しさがあります。人材業界でのこれまでの経験を生かしながら、もう一歩深く踏み込みたい方には、これ以上ないチャレンジングな環境だと思います」
AIには真似できない、マッチングに人の目が介される強さ

キャリアチェンジ転職はキャリアチェンジ転職は、これまで育児や病気治療などで働き方が限定され、派遣で勤務していたが、これからはフルタイムで正社員として安定して働きたいと願う人にとって高いベネフィットを発揮するサービスです。しかし、こうしたサービスは人材業界では、なかなか定着しませんでした。その要因には、派遣社員特有の『契約内容』にあると野口は考えています。
(野口)「派遣社員は契約時に定めた業務範囲を超えて就労できないという規定があります。責任ある仕事を任せてもらいにくい状態から、『キャリアアップは難しい』というイメージが付きまといます。そのため、他社の転職エージェントではプライオリティの低い層だったのではないでしょうか。ですが、僕は派遣コンサルタント時代から、企業から評価されて直接雇用に切り替えたスタッフをたくさん見てきました。高いスキルを有する派遣社員の方は多く、正社員転職は決して難しいことではないとよく知っています」
野口が良い転職をサポートするために意識しているのが、求職者の価値観や転職軸に沿った提案をすること。そのためには、募集ポジションに関するあらゆるオーダーをクライアントから聞き取ることが大切だといいます。
(野口)「例えば、募集要項に『経験者』とあっても、担当者と顔を合わせてヒアリングすると『経験がなくても成長意欲のある方なら歓迎です』という場合も。募集要項だけではわかりえない情報を収集できるのも人であるパームコンサルタントの真価でしょう。昨今の転職エージェントは効率性を重視し、人材スカウトにAIを活用するところもあります。しかし、僕らは人にしかできない部分にバリューがあると信じています」
企業と求職者のミスマッチは内定辞退や早期退職を招きます。採用活動は企業にとっても労力が高く、定着しない人材の採用は大きなタイムロスです。オーダーのすり合わせは企業にとっても有益といえます。
(野口)「企業カラーや部署の雰囲気など、募集ポジションの情報が多ければ多いほど候補者は解像度の高いイメージが持てます。人の目を介してミスマッチを防ぐことが、企業と候補者の双方がwin-winになる幸せな転職の秘訣でしょう」
「良い意味で色がない」ランスタッドのED&I

新卒でランスタッドに就職し、現在まで一貫して身を置いて来た野口に社内の雰囲気について聞きました。
(野口)「良い意味で色がない、というのが僕の印象です。外国籍、子持ち、チャレンジド(障がい者採用)、どんな特徴がある方もフラットかつ自然に共生しているイメージ。フラットな社風は上下関係でも感じられますね。上司との距離が近く、気負わずに言いたいことを伝えられるため心地が良いです。もちろん指導を受けることもありますが、役職を権威ではなく役割として、まっとうしている方ばかりだと思います」
派遣コンサルタント歴が長い野口は、派遣スタッフフォローのためにこれまで多くのクライアントを訪問しました。先々で仕事の悩みを聞く場合もあり、特に人間関係の悩みが目立ったといいます。
(野口)「僕はランスタッドでしか働いたことがありません。派遣スタッフや候補者の悩みを聞く度に『自分はそういうの経験したことないな』と驚きます。それだけ人に恵まれた職場なのだと思いますね。視野を広げるために、いつかスポットでいろいろな業界で働いてみたいというのが僕の密かな願望です(笑)」
最後に、野口の思い描くキャリアチェンジ転職チームのビジョンを教えてもらいました。
(野口)「3年目を迎えるキャリアチェンジ転職サービスは、派遣社員からのキャリアチェンジというニーズの高い市場にフィットし、早くも軌道に乗ったといえます。ただし、社内認知はまだ追いついていない状況です。今後は他部署とさらに連携を取り、この有意義なサービスの啓蒙に努めていけたらと思います。『パームコンサルタントって何をしているの?』と思っている周囲の人たち全員を巻き込んだら、どんなシナジーが発揮できるのか今から楽しみです」