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発達障害などを有する人材の新卒雇用を促進するプログラム「ギャップイヤープログラム」が始動

村松 栄子・平原 千歳

profile
村松 栄子 linked in プロフィールを見る
山口県出身。横浜国立大学大学院修了(経営学修士)。日系企業で人事業務全般を経験後、外資系企業でダイバーシティ&インクルージョンと社内風土改革を担当。2020年5月ランスタッド入社。女性活躍推進や性的マイノリティのインクルージョンに取り組む。
平原 千歳 linked in プロフィールを見る
2006年、新卒でランスタッドに入り、人材派遣コンサルタント、人材紹介コンサルタントを経て人事採用担当に。採用担当としては人材紹介のプロフェッショナル事業部と管理部門全般の中途・新卒・障がい者を担当。

採用からダイバーシティを促進することが重要

ランスタッドは2024年4月から「ギャップイヤープログラム」を開始しました。「ギャップイヤープログラム」では、選考を通過した障がいのある方にランスタッドへ入社してもらい、研修やOJT、企業でのへ最長の紹介予定派遣による就業を経て、ご自身の適性や希望に合った企業へ正社員での就職を目指します。

 

「ギャップイヤープログラム」に込めた思いや、立ち上げまでの経緯などについて、開発担当者である人事本部エクイティ、ダイバーシティ&インクルージョンマネージャーの村松栄子と人事本部タレントアトラクションマネージャーの平原千歳が語ります。

 

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ー現在のお仕事内容を教えていただけますか。

 

(村松)私はダイバーシティ&インクルージョンの推進担当者として、人事制度の策定や、社内研修の立案と運営、ERG(Employee Resource Group/従業員による自発的なネットワークグループ。)の立ち上げやサポートなどに携わっています。現在ランスタッドではLGBTQ+やニューロダイバーシティ(神経の多様性)などに関連する7つのERGがあります。

 

(平原)私は採用チームのマネージャーとして、主に人材紹介部門、間接部門、テクノロジー部門の中途及び障がい者採用を担当しています。

 

また、20%程度をED&I(エクイティ、ダイバーシティ&インクルージョン)の業務にあて、村松と共に障がい者雇用の新しいビジネスモデル「ギャップイヤープログラム」の立ち上げやERGの運営、産休育休前面談なども行っています。

 

ーお二方ともED&Iの業務に携わっていますが、どのような思いで取り組まれているのでしょうか。

 

(平原)ランスタッドにとってED&Iはビジネス戦略の一つで、ED&Iを促進することが私たちのミッションです。

 

業務で重要視しているのは、採用からダイバーシティを促進すること。採用では部署のなかでジェンダー平等が維持できそうか、選考で公平性が維持されているかなどを配慮し、それらを実現するための仕組み作りも行っています。

 

さらに、採用先の働きやすさを実現するために、女性管理職を増やしたり、障がいのある方が安心して働けるような環境を作ったりしています。

障がい者と企業にとってWin-Winな関係を目指す

▲ギャップイヤープログラムを通して、発達障がいを持つ新卒者を「キャリアパスの広がりがあり、障がいのある方が昇給・昇格できる可能性がある」ポジションに紹介することで、企業と障がいのある方にとってWin-Winな関係になると語る平原。

ー「ギャップイヤープログラム」を立ち上げられた経緯について教えてください。

  

(平原)私は通常業務で新卒採用と障がい者採用を担当しているのですが、現況の新卒採用の形と障がいのある方の特性がマッチしづらいと考えていました。日本の新卒採用はまだまだ一括採用が主流で、選考基準は曖昧なことが多いのです。

 

例えば、協調性やコミュニケーション能力を測るという名目でグループディスカッションが行われ、「空気が読めるか」が重要視されています。しかし、発達障害のある方は空気を読むのが苦手な場合も多く、ご自身に合う仕事に就くのが難しいという課題があるのです

 

また、多くの企業は新卒者に、どこの部署でも臨機応変に対応し、活躍できる人材を求めています。一方で、障がい者雇用の業務は、障がいのある方のために仕事が切り出された定型業務が多く、業務の幅が極端に狭かったり、昇給の可能性が無かったりします。発達障害のある方は、この一般枠と障がい者枠の大きなギャップに悩むことになるのです。キャリアや給料を上げていくために一般枠を選べば適応できるかという不安が伴いますし、障がい者枠では限定された業務のなかでやりがいを感じられるかという不安が付きまとうでしょう。

 

さらに、日本では大学を卒業してすぐに就職するのが一般的で、数ヶ月のブランクがあるとネガティブに捉えられる傾向があります。しかし、その数ヶ月は本人にとって自分を見つめ直し、適切な仕事に就くステップにもなり得ると考えます。このような考えのもと、今回のプログラムに自分を見つめ直すギャップイヤーを持とうという思いを込めて名付けました。

 

ー「ギャップイヤープログラム」を通して、障がいのある方や受け入れ側の企業にとってどのような影響があるとお考えですか。

  

(村松)一般枠で上手くいかなかったタイプの方が「ギャップイヤープログラム」を通して活躍していただければ、社会にとって良い影響が与えられるのではと思います。

 

世間では障がいのある方を一括りに捉える傾向があると感じています。しかし実際は非常に多様で、例えば出勤は難しいけれど、在宅ワークだったら問題なく業務を遂行できる方や、就活のシステムには合わないけれどサポートがあれば様々な職種や職場で幅広く活躍できる方など、さまざまなタイプの方がいらっしゃるのです。もし、会社のなかにいる人たちが、障がいのある方たちの多様性やグラデーションをきちんと理解したら、彼らの強みや能力が存分に発揮されると思います。

 

(平原)障がいのある方が特性を活かして適切な仕事を見つけることが一番の目的ではありますが、企業にとっても良い影響があります。障がい者雇用への向き合い方が分からない企業も多いでしょう。どのようにマネジメントすればよいか分からないため、本来その人が持っている能力や意欲に関係なく、「障がい者のための仕事」に当てはめるという状況が生まれてしまうのです。

 

「ギャップイヤープログラム」では、受け入れ企業に対して「このようなサポートがあれば問題なく業務を行えます」「指示を出す時はこのポイントを押さえてください」のように具体的なフィードバックを伝えます。そうすることで、企業はスムーズに障がいのある方を受け入れられるようになります。多様なマネジメントのノウハウを培い、本当の意味でのインクルーシブな環境を実現できるでしょう

 

ーどのような基準で就職先の企業を選定するのでしょうか。

 

(平原)キャリアパスの広がりがあり、障がいのある方が昇給・昇格できる可能性があるかが選定のポイントです。ランスタッドは人材サービスを提供しているため、多くのお客さまとの取引がある点が自社の強みです。この自社の強みを活かして、これから障がい者雇用を促進していきたいと考えている企業を想定しています。障がい者雇用枠に限定せず中途採用を行っている企業にも提案することで、企業と障がいのある方にとってWin-Winな関係になれると思います。

 

多くの企業が、法定雇用率(企業や公共団体が達成を義務付けられている、従業員全体に対する障がい者の雇用率のこと)の引き上げや、DX化に伴い、障がい者雇用の切り出しが難しくなっています。障がいのある方にもほかの社員に近い仕事をしてもらうことが、企業の雇用促進の鍵です。企業が障がいのある方の配慮事項を把握していれば、ほかの社員と同じ仕事ができることを「ギャップイヤープログラム」を通して実現していければと思います。

プログラムのゴールは当事者に合う仕事で働き続けること

ー2024年4月から「ギャップイヤープログラム」で2名の雇用がスタートしましたね。手ごたえはいかがですか。

 

(平原)始まったばかりではありますが、「ギャップイヤープログラム」の目的が実現できそうな手ごたえがあります。業務では適宜フィードバックをしているのですが、受け止め方や表情を見ていると、仕事に対して少しずつ自信を持ち始めているのを感じますね。

 

ー「ギャップイヤープログラム」に関心がある企業にメッセージをお願いします。

  

(村松)企業が募集している仕事のなかには、サポート次第で障がいのある方が活躍できる可能性があります。法定雇用率の引き上げや、DX化をはじめとする業務の効率化が進んでいくなかで、障がいのある方のために仕事をわざわざ作る必要はないと感じています。

 

「ギャップイヤープログラム」は前例がないため、新しいものに対してネガティブな印象があるかもしれません。しかし、紹介予定派遣という制度を活用し、実際に企業とマッチングするまでの最長6ヶ月間ランスタッドで雇用し、企業さまへのフィードバックをはじめとする支援も行っていきます。障がい者雇用をまだ実施していない企業さまにもフィットすると思いますし、企業で活躍する障がいのある方もきっといるはずです。

 

また、障がいのある方が問題なく働けるようにサポートすることは、ほかの社員にとっても働きやすい職場を作ることにつながります。障がいの有無関係なくお互いをサポートし合えるインクルーシブな職場作りに、「ギャップイヤープログラム」が貢献するはずです。プログラムは職場のダイバーシティ&インクルージョンの見直しのきっかけになり得るでしょう。

 

ー「ギャップイヤープログラム」に関心がある学生にメッセージをお願いします。

  

(平原)キャリアについて不安を感じている障がいのある方に、ぜひ「ギャップイヤープログラム」に参加していただきたいです。プログラムのゴールは自分に合う仕事に就職することではなく、そこで働き続けることです。自分にとってベストな仕事を見つけ、働き続けたい方はぜひ参加していただければと思います。

 

障がいのある方も企業さまも、「ギャップイヤープログラム」に関心があれば、ぜひ気軽にご連絡ください。

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