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「売れる営業」ほど転職後に潰れやすいのはなぜ? 育成のプロが語る、過去の成功体験という"呪い"の解き方

本郷 美咲・伊勢田 和

profile
本郷 美咲 linked in プロフィールを見る
L&Dマネージャー。自動車業界を経て2007年にランスタッドへ入社。現在はスキル研修に特化した育成部門で、コンサルタントやコーディネーターのサポートを担当。休日は小学3年生の息子の習い事に付き添うなど、家族との時間を大切にしている。
伊勢田 和 linked in プロフィールを見る
東京第一営業部 コンサルタント。オーダースーツ業界でのトップセールス経験等を経てランスタッドに入社。現在は第1営業部第6支店に所属し、外資系企業やラグジュアリーファッションブランドを中心に担当している。休日は筋トレや、屋外でのバーベキューを楽しんでいる。が、1日中だらだらして過ごすこともよくあるらしい。

「即戦力」という言葉の罠。前職のトップセールスが転職後に潰れる理由

「転職者は『即戦力』なんだから、すぐに売上を作って当然」。そんな風潮の中で、過去のやり方が通用せず、密かに潰れていく優秀な営業担当者は少なくありません。

「足で稼ぐ」「気合いと根性」の営業スタイルは、もう限界を迎えているのではないか?

この社会課題に対する一つの答えとして、ランスタッドのL&D(育成部門)マネージャー・本郷 美咲さんと、最前線で活躍するコンサルタント・伊勢田 和さんの対談をお届けします。

   

―一般的に、中途入社者は「即戦力」として現場に放り込まれがちです。また、「売れる営業」ほど新しい環境でつまずきやすいと言われますが、育成のプロとしてその原因はどこにあるとお考えですか?

 

(本郷) 大きく分けて2つの原因があると考えています。1つは、受け入れ側である企業が「中途入社=即戦力」と都合よく解釈し、初日から現場任せにしてしまう「育成の怠慢」です。もう1つは、プレイヤー側の「過去の成功体験という呪い」ですね。

かつてトップセールスだった方ほど、無意識のうちに前の会社でやっていた我流の必勝パターンに固執してしまいます。プライドが邪魔をして軌道修正ができなかったり、周りからのプレッシャーを一人で抱え込んで誰にも相談できなくなったりと、環境の変化によって優秀な人材が潰れてしまうメカニズムがあるのだと思います。

 

―伊勢田さんは前職でも営業経験がおありですが、一般的な「気合いと足で稼ぐ営業」に、何か限界やもどかしさを感じる瞬間はありましたか?

 

(伊勢田) はい、ありました。私はランスタッドが3社目になり、1社目は全国展開するオーダースーツの会社でトップセールスを経験し、2社目は引き抜かれる形で家族経営の制服・スーツ会社で営業をしていました。2社目では「足を運んでなんぼ」という昔ながらのスタイルでしたが、当然それだけでは通用しない場面も多く、気合いや足だけではこの先行けなくなってくるという限界を感じていました。

過去の経験は否定しない。世界中のトップパフォーマーを分析した「型」の正体

―そうした我流の限界を突破するために、ランスタッドでは中途入社者に「グローバルセールスプログラム」を提供しています。これは経験者の過去のやり方を「否定」し、マニュアルに染めるためのものですか?

 

(本郷) 全く違います。過去の経験を否定することは絶対にありません。むしろ逆で、皆さんが培ってきた個性や強みをさらに「最大化」するためのプログラムです。

このプログラムは、世界中のトップパフォーマーの行動特性を分析し、誰でも再現できるようにフレームワーク(型)にしたものです。我流の営業だと「なぜ調子が良いのか・悪いのか」が言語化できませんが、このプログラムではトップパフォーマーが感覚で行っていたプロセスを論理的に解明し、「世界基準の武器」としてコンサルタントに授けています。

 

―伊勢田さんは、実際にそのプログラムを受けてみて、一番「ハッとしたこと」は何でしたか?

 

(伊勢田) 今までは「こういう風にやるんだよ」と言われたことを、自分の感覚で実践していた部分が正直ありました。しかしプログラムを通じて、これまで感覚的に行っていた営業スタイルを「言語化」できるようになりました。

論理的な知識や、顧客の潜在的な課題をどう引き出すかというパターンを提供してもらえたことで、今まで自分が考えていなかった部分に気づかされ、ハッとさせられましたね。前職で培ったコミュニケーションの仕方に、論理的な知識や言い回しを混ぜて話せるようになり、セールスがうまくいくようになったと感じています。

直属の上司には言えない本音も、L&Dという「第3の伴走者」になら言える

―現場の直属の上司とは別に、本郷さんのような「L&D(育成部門)」が斜めの関係で伴走することには、どのような意味があるのでしょうか?

 

(本郷) 私たち育成部門は、直属の上司ではありません。つまり「評価者」ではないんですね。直属の上司に対しては「自分ができていることをアピールしなきゃ」「こんな基礎を聞いたら評価が下がるかも」とブレーキをかけてしまいがちです。

しかし、斜めの関係であるL&Dには売上評価の権限がないため、ミスをしても、愚痴をこぼしても大丈夫です。心理的安全性が確保された状態で、どこでつまずいているのかを客観的に見極め、伴走できる存在でありたいと思っています。

 

―伊勢田さんにとって、評価者ではない本郷さんが伴走してくれる環境はいかがでしたか?

 

(伊勢田)評価をしてもらう人ではないので、当然やりやすさや話しやすさは確実にあって、本当に楽しい時間でした。

正直、全8回にも及ぶ研修や課題は大変な部分もありましたが、会社として学べる時間を準備してくれているのは非常に大きかったです。また、本郷さんのフランクな人柄のおかげで、「課題だからやってね」という硬い説明ではなく、会話を楽しみながら進められるようなプランを練ってくださり、とてもやりやすかったです。

プレイヤーで成果を上げた「その先」も、会社はあなたを放置しない

―ランスタッドでは、将来マネージャー(管理職)へと昇進したフェーズでも、新任マネージャー向けの『Managing with Excellence』という専用プログラムがあると伺いました。ここまで育成にコミットする理由は何ですか?

 

(本郷) どんなにハイパフォーマーであっても、イコール「育成が上手い」とは限らないからです。プレイヤーとして成果を出していた人がマネージャーになった瞬間、「自分はできていたのに、なぜメンバーはできないのか?」という壁にぶつかることがよくあります。

育成には言語化が必要不可欠です。『Managing with Excellence』は、自身の経験を言語化し、メンバーの強みを引き出してチームの成果を最大化するためのマネジメント手法を学ぶプログラムです。コンサルタントとしての型を学んだ後、マネージャーになっても能力を最大化できるよう、しっかりと繋げて育成しています。

 

―最後に、今の環境で「自分の営業としての成長に頭打ち感」を感じている経験者の方へ、メッセージをお願いします。

 

(伊勢田)過去に売れてきたという栄光や経験値に固執してしまう気持ちはよくわかります。ただ、それを完全に捨てるのではなく、持ったまま「新しい手法」を受け入れる柔軟性を持つことが、次の成長に繋がります。今までのやり方だけで消耗するのではなく、自分の個性を活かしながら、色々なやり方を試させてくれる「環境」を選ぶことが、ブレイクスルーのきっかけになるはずです。

 

(本郷)今あなたが感じている「頭打ち感」は、あなた自身の能力の限界ではなく、「環境の限界」である可能性が高いです。「即戦力だから」という言葉で放置するのではなく、個人のこれまでのやり方を尊重しつつ、会社として「型」を提供してサポートしてくれる環境は必ずあります。一人で悩まず、あなた自身を『プロの営業』として磨き上げ続けてくれる場所へ、一歩踏み出してみてほしいと思います。

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