【派遣社員レポートvol.66】中小企業展示会イベント「モウェ展示会」

閉じる
2017/11/08

VSOからの導入研修やスワヒリ語の短期学習を終え、本格的に活動開始しました。私の役割はタンザニアの中小企業に対してマーケティングの視点で、的確なアドバイス、トレーニング、そして必要に応じて製品やサービスのWebサイト作成や、モバイルアプリやフェイスブックでのプロモーション、パッケージやチラシ作成のサポートを行うことです。

これらを実施する上でまず欠かせないのが、現地の中小企業の現状を把握することです。何が求められているのか、彼らが今挑戦していることは何か、また、どのようなサポートを必要としているのか、などです。これらの現状を把握をするため、これから数週間かけて2つのことを行います。一つ目は中小企業が集まる商品の展示会に参加することです。タンザニアでも中小企業がクライアントとの接点を見つけるために、多くの展示会イベントが開催され、たくさんの中小企業がこぞって参加しています。この展示会は、上述した中小企業の現状を把握していく上で大きなチャンスでもあります。二つ目は実際に中小企業を訪れて、経営者やマーケティング担当者から、直接ヒヤリングし、工場などを訪れて現場の実際の声を体感することです。VSOはSIDO(Small Industory Development Organization)と呼ばれる中小企業を支援するボランティア組織とパートナーシップを組んでいます。SIDOは地元の中小企業と直接的な接点を多く持っているので、私たちVSOメンバーはこのSIDOを通して企業を訪れます。今回は「中小企業の展示会」についてレポートしたいと思います。

2017年10月24日~30日の間、タンザニアのダルエスサラームで約300の中小企業が集まる「モウェ展示会」が行われました。集まった企業は食品、アパレル、雑貨など多種多様です。今回はすべての展示ブースを訪れるのは困難なので10社ほどに絞りヒヤリングを行いました。まず訪れたのが女性向けの石鹸やスキンクリームなどを生産し販売している会社のブースでした。この会社は3人で構成されています。経営者の女性はセールスも担当しています。ブースを訪れた際、並べられた商品を見たとき、私が最初に持った印象は、「何を売っているのか分からない」ということでした。その原因は商品のパッケージデザインです。例えばある女性向けのスキンクリームは売りである自然原材料を表現するためにパッケージの表面に人参の写真を大きく掲載されているのですが、料理に使う調味料のようにしか見えません。また、石鹸は、使用前後の肌の状態をパッケージに写真で掲載しているのですが、使用前後の変化が分からず同じ写真が並べてあるだけのように見え、意図が全く伝わらない状態でした。なぜこのようなデザインにしているのか、と尋ねたところ「自然原材料だから、そのことをアピールしたくて人参を大きく載せた」という返答が返ってきました。「デザイン会社に依頼したいが、誰にどのように頼んで良いか分からない」また「金額も高いだろうから頼むのを躊躇した」と返答がありました。

  

次に訪れた卸売関連企業は20年に設立し、現在は5人で構成されている会社です。現在の課題を聞くと「コネクションが無い」の一言でした。またこれから3年後にどうなっていたいか、と聞くと「国内だけでなく国外にも販売網を広げたい」とのことでした。店主曰く、製品自体のクオリティはアフリカ内でもっとも高く、また価格も他国より安く提供ができる、のだそう。「今、必要なのは強固なバリューチェーン」であるとはっきりと言っていました。次に訪れた健康食品企業でも、「一度お客さんに食べてもらえさえすれば、絶対にまた購入してもらえる」と商品に大きな自信を持っており、(実際に、商品を試食しましたがとても美味しく)先ほどの卸売企業同様にバリューチェーンや認知度が強く求められていると実感しました。

今回の展示会で感じたことは、ビジネスを展開する上での基本的な知識の欠落、そしてビジネスを拡大していく上で大切なバリューチェーン形成までにたくさんの壁があることです。日本では今、インターネットを利用したブランディング、プロモーション、そして通販が当たり前になっていますが、ここタンザニアの多くの中小企業はインターネットを活用したビジネス展開をする前にたくさんの課題を乗り越える必要があると感じました。

前回のブログでも触れましたが、タンザニアの中小企業には、ブランディング、バリューチェーン、財務管理、そして適切な情報収集の改善が必要です。逆に言えば、課題が明確なので、適切なサポートをしやすいということでもあります。もちろん、企業ごとで課題が異なる部分もありますが、これからのボランティア活動では個々の企業への個別トレーニング、そして合同セミナーなどでは共通課題に関するアドバイスセッションを行う予定です。限られた時間の中で、自分がどこまで活動できるかは課題ですが、効率良く、出来るだけ多くの企業に接し、サポートして行きたいと思います。

ログアウト