【派遣社員レポートvol.70】タンザニア中小企業へ提案

閉じる
2017/12/18

 昨日まで10日間にわたり、ムトワラとリンディを訪問していました。2度目である今回の訪問は、前回ヒアリングをした中小企業に対し、具体的なマーケティング施策を提案することが目的でした。ムトワラで3社、リンディでは4社を再訪し、以下の内容を提案しました。

1) 口コミ

 既存顧客から新規顧客への紹介を得られるように、名刺やチラシなど印刷関連ツールはもちろん、WhatsApp、facebook、instagramなどソーシャルメディアも活用し、アカウントの開設から具体的な改善点の指摘と顧客間での横移動(口コミ)が広がりやすくなるよう提案しました。

2) 名刺

 名刺に記載する情報の提供をしました。社名、電話番号、メールアドレスだけでなくWhatsApp, facebook, instagramなどの情報も掲載することを提案しました。また、名刺の印刷のクオリティについて、印刷のし直しと印刷後の確認をすることも話しました。  

3) ネットワーキング

 それぞれのビジネスに関連したネットワークを広げる提案をしました。養鶏場を手がける企業であればレストラン、ホテル、その他の関連ビジネスへ訪問し、必要なセールス活動を提案しました。更に、営業ツールの作成や見直し、セールストークなども一緒に考案し、新規顧客獲得に向けたディスカッションも実施しました。

4) コラボレーション

 自社製品を他企業のビジネスとコラボすることを提案。例えば、キャンドルメーカーでは近隣のホテルなどへ商品を提案することを伝えました。室内をキャンドルで装飾することでホテル側とキャンドルメーカー側両方にメリットが得られ、セールスプロモーションだけでなく、ブランド形成も狙えることが目的です。

5) サインボード(ビルボード含む)

 多くの企業は看板を出しておらず、営業所前に来ても建物内に入らないと正しい場所であるのか分かりません。社名の書かれた看板を出すのと同時に、ステッカーも作成し、自社の営業車両などに貼り付ける宣伝活動も提案しました。

6) グーグルマップ上での表示

 タンザニアでもグーグルマップは利用されていますが、自社がグーグルマップに登録されていないため、検索をしてもマップ上に表示されない企業が多く見受けられます。そこで各企業へGoogle Mapの説明と登録方法などを説明しました。

7) オンライン(デジタルマーケティング)

 デジタルマーケティングが専門の私としては、ウェブサイト施策を勧めたいところですが、タンザニアの中小企業で自社のウェブサイトを開設しているところはほとんどありません。まだウェブサイトを活用したプロモーションや販売まで至っていないのが現状です。ウェブサイトにおける施策はタンザニアの市場やサイト開設のコスト、開設後の運用などを考慮すると少々ハードルが高いと考え、今回ではなくこの先の目標として掲げたいと思いました。

 しかし、タンザニアでもソーシャルメディアは使われているので、ソーシャルメディアを中心としたデジタルマーケティングを提案しました。タンザニアで最も利用されているのがWhatsAppと呼ばれるアプリで、日本のLINEのようなものです。また、FacebookやInstagramなども利用されており、開設方法を説明しました。デジタルマーケティングで大切なのは、情報の新鮮さや問い合わせや注文に対してのレスポンススピードです。ソーシャルメディアでするべきこと、してはいけないことなどを約30項目挙げ、トレーニングを実施しました。

8) パンフレット・カレンダー・フライヤーなど

 タンザニアの中小企業でも名刺を作成していますが、その他のツールはまだ作成していない企業が多いので、チラシなどの印刷ツール作成を提案しました。ただし、タンザニアの広告業界は優秀なデザイナーの欠如を課題としています。どの企業からも「良いデザイナーが国内にいない。出来ればあなたにお金を払うので、デザインをしてくれないか?」と相談を受けました。VSOにもデザイナーはいますが、人数が限られているのでデザイナーの開拓や育成をVSOと相談しながら展開していきたいと思います。

9) 既存顧客へのヒヤリング

 多くの企業は新規顧客獲得ばかり重要視し、既存顧客の大切さを見失いがちです。なぜ自社の製品や商品を購入してくれるのか?どこを改善すればより良くなるのかを既存顧客にヒアリングすることを提案しました。また、クーポンやスタンプカードを発行し、既存客のリピート率の向上施策に繋げる事も提案しました。既存顧客の深堀と新規開拓の両方に目を向けることで、ビジネス拡大のスピードアップにもつながります。

10) 無料広告

 タンザニアではラジオや新聞を使ったプロモーションが主流です。ラジオ局や新聞社側の番組の企画に沿ったニュースが企業側にあれば、無料でラジオ出演や新聞記事掲載を獲得することができます。そこで、ラジオ局や新聞社へのアプローチを提案しました。これは広告と言うよりも広報活動に近いかもしれませんが、企業名やサービスを無料で展開できるのは魅力的です。

11) 企業訪問

 営業活動において最も大切な企業訪問活動。各企業へは訪問可能な顧客のリストアップから、チラシや商品サンプルなどの営業ツールを提案しました。また、セールストークも訪問販売の際にはとても大切です。最初から完璧なセールストークは難しくても、内容を振り返り、訪問を繰り返すことで顧客の心に届くセールストークを展開するよう提案しました。

12) 展示会への参加

 タンザニアでは年間を通して中小企業の展示会が行われています。各展示会のテーマも異なるので各ビジネスの趣向にマッチしたものを選択し、参加することを提案しました。私も何度か展示会に足を運びましたが、他企業と展示している商品の別化を図り、、製品のパッケージデザインや商品自体をアピールできるような広告ツールを各種準備することを提案しました。

----

 いかがでしたでしょうか?日本の基準では当たり前とみなされる基本的な施策がタンザニアでは実施できていないケースが多く、私の提案内容もは基本的なもののみにとどまりました。私はマーケティングに特化したアドバイザーですが、ファイナンス、ビジネス、広報など様々なVSOボランティアが各分野の基礎とトレーニングを行っています。それぞれの分野が平行して改善していけば、近い将来、タンザニア企業の大きな発展へとつながるのではないでしょうか?

 次週はムトワラに3度目の訪問をします。中小企業を招いたセミナーを実施する予定ですので、次回のレポートでご報告します。

▲打合せの様子

ログアウト