【派遣社員レポートvol.67】タンザニアが抱える課題

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2017/11/20

前回のブログでは、中小企業が集まる展示会についてレポートしました。中小企業の現状を把握するために必要なことの1つです。今回のレポートでは、2つ目に必要な、中小企業の経営者やマーケティング関連担当者から直接ヒヤリング、また工場などを訪れて働いている方々の実際の声を体感するための現場訪問についてレポートしたいと思います。

中小企業を訪れるときに非常に重要な存在になるのが、VSOパートナー団体のSIDO(Small Industory development organization)です。SIDOは中小企業との直接的な接点を多く持っているので、私たちVSOメンバーは彼等を通して現地の中小企業を訪れることが出来ます。SIDOはダルエスサラームにいくつか拠点を持ち、その中のひとつであるSIDO Industriesと呼ばれる拠点を半日かけて取材しました。SIDO Industriesには敷地内に中小企業の工場があり、およそ50ほどのT-シャツや靴などのファッション関連、カシューナッツなどの食品関連、車椅子のメーカーなどの工場が実際に稼動しています。

敷地内でよく見聞きしたのが「カイゼン」という言葉でした。「カイゼン」は日本語の「改善」です。実はここSIDO Industriesには現在、日本の海外青年協力隊から派遣されている川添さんという方がこの「カイゼン」、そして日本の「5S」(5Sとは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」の頭文字のSをとったもの)の啓蒙活動をされています。川添さんにもお話をうかがったのですが、月に5回ほど、約5名ほどのグループに対して「5S」セミナーを行っているそうです。「5S」を工場の現場へすぐに取り入れてくれる企業は少ないものの、後にセミナーを実施した企業に訪れた際に「5S」を取り入れ「カイゼン」を見せている企業もあるそうでした。

そして、昨日は蜂蜜やドライフルーツなどを販売する女性5名で営んでいる企業へ足を運びました。彼女らは蜂蜜やドライフルーツを農村などから買い取り、その後一般消費者向けにパッケージしスーパーなどへ販売する事業を行っています。会社の一人に、現在の一番の課題は何かと尋ねると「納品から入金まで約6ヶ月かかること!これが一番の問題!」と言っていました。契約書には納品から一ヵ月後入金となっているのにもかかわらず、6ヶ月かかるとのことです。理由を尋ねると、「タンザニアの仕事現場では私たち女性は低く見られている。催促にいってもまともに取り合わない男性がたくさんいる」とのことでした。タンザニアでは女性は家庭内で過ごすべきという風潮がまだ残っているようです。しかし、昔ながらの風潮に立ち向かう女性起業家が最近増加傾向にあるそうなので、女性が活躍するシーンがここタンザニアでも将来的に増えてくることを願っています。

そして、本企業の現場見学をはじめ、従業員の方にヒヤリングを一時間ほどかけて行いましたが、最後にVSOやSIDOに対するリクエストをうかがう「ロゴ、製品のボトルデザイン、チラシなど、すべてのデザインをお金を払ってでも良いので作り直して欲しい。」とリクエストがありました。理由を尋ねるとタンザニアでは良いデザイナーや広告会社を見つけるのはとても困難だそうです。先週訪れた展示会の企業の皆さんも同じような事を言っていました。バリューチェーンがこんなところでも欠損しているのかと感じました。

次週はムトワラとリンディを訪れます。このエリアにはマーケティングアドバイザーがいない為、行って欲しいとVSOから要請がありました。今回の訪問では各エリアの責任者と面談し、現状の課題の確認やSIDOとの連携、そしてSMEを訪れヒヤリングを行います。その後ダルエスサラームに戻り、レポートにまとめつつ、次回の訪問でのアドバイスやトレーニングを実際に行う予定です。次回のレポートは地方のSMEが抱える課題についてレポートしたいと思います。

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