【派遣社員レポートvol.38】全体研修が行われました。~ネパールの現状について~

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2015/12/04

ICSのUK学生ボランティア向け全体研修では、前回レポートでお伝えしたVSOネパールの活動に加え、ネパールの現状理解を深めるための様々なセッションが行われました。

まず、専門家を講師に招き、ネパールの成り立ちや背景、文化について講義が行われました。UKからの参加者にとって、また私にとっても複雑なものと言えば、カースト制度です。同階級のカースト同士でないと結婚できない、その人がどの地域から来ているのか、またその人の名前でどの階級にいるかが分かり、今でもカーストによって、できる仕事とできない仕事が決められることがあるそうです。また、ネパールでは、各地域に様々な民族が存在しているため、人によっては、ネパール語、その民族の言語、そして英語と複数語しゃべる人も多いそうです。

日常会話のレクチャーも行われました。ネパールでは、ご飯を食べた後、「ごちそうさま」のような表現はなく、うなずくだけでも充分だという話が、意外な発見でした。また、ネパールでは、人を呼ぶとき、相手の名前がわからない場合、自分より年上の男性を「ダイ」、年上の女性を「ディディ」と呼びます。(レストランなどのお店に行くときは非常に便利な表現です!)相手の名前が分かっているときは、名前の後ろに「ジー」をつけて呼ぶ事があります。これは、相手に敬意をこめている事を表して呼ぶ際に、使うそうです。オフィスでも「ジー」を使っているのをよく聞くのですが、特に年上とか年下とか関係なく使っているので、「~さん」に近い表現なのかな、と思いながら聞いています。このように、細かな言い回しを学ぶことで、そのことばの表現が意味する文化背景を理解し、日々の生活がより身近になります。UKから来たボランティア学生たちも、興味深そうにレクチャーを聞いていました。

災害に対する心構えについても、セッションが行われました。UK学生ボランティアで地震を体験したことがある方は、本当にごくわずかでした。また、経験したことがある方も、母国以外で地震を経験しており、地震を身近に感じたことは「ない」というのが一般的でした。ですので、このようなセッションは新鮮だったと思います。私自身を含め、自分の出身国の常識が世界の常識ではないということを肌で感じることができました。

セッションの合間、ランチ時間にはネパール人の参加者と話をしました。これまでネパール以外の国に行ったことはあるか?と聞いたところ、どこにも行ったことがない!と話していました。しかし、その方は(他の参加者もそうですが)英語を抵抗感なく話していました。背景を伺ったところ、学校では先生がネパール語で喋ることはあるけれど、教科書や資料、パソコンも全ての教材が英語の為、常に身近に話してきたからだ、と答えていました。

私はそれを聞いたとき、少し日本人の語学学習の姿勢に不安を感じてしまいました。日本では、特別英語に触れなくても、ほとんどの情報を日本語で取得することができますが、彼らは自国の言語で情報を獲得する前に、直接英語で情報を獲得します。同時に、情報発信に関しても英語で行うため、自然と英語を使う習慣ができています。これはネパールだけで起きていることではなく、他の新興国についても同じような状況です。母国語での情報取得が難しいという、歴史的背景がある場合もありますが、グローバル化が進んでいく中で、新興国の人々が無難に英語を使いこなしているのを直接見て、驚きと今のままではいけないという危機感を感じました。

災害用語の単語と文章を組み合わせるゲーム

ワークショップ風景

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