労働者派遣法と派遣先の責任

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2012/08/01

【労務・コンプライアンスノート】 第1回:労働者派遣法と派遣先の責任 

労働者派遣法は、その名のとおり主に派遣事業の運用について定めた法律です。

派遣先は、この法律に基づく実務については派遣会社に全てまかせられる、そのために派遣料金を支払っている、とイメージしがちです。

しかし、労働者派遣法の中には、(1)派遣元である派遣会社に単独で責任を課した条文、(2)派遣先であるお客さまに単独で責任を課した条文、(3)派遣元と派遣先の両方に連帯で責任を課した条文、と3種類の条文があります。

お客さまである派遣先に単独の責任を課した(2)の条文には以下のようなものがあります。

① 法第39条 派遣スタッフを受け入れる現場に契約内容を周知徹底する義務。
② 法第40条 派遣スタッフの就労現場を巡回し、契約内容どおりの就労状態であるかどうかチェックする義務。
③ 法第40条の2 抵触日を通知し、派遣受入期間を管理する義務。
④ 法第40条の3 直接雇用契約の申込の努力義務(抵触日前)
⑤ 法第40条の4、法第40条の5 直接雇用契約の申込の義務(抵触日後ならびに政令業務3年経過後)
⑥ 法第41条 派遣先責任者及び製造業務専門派遣先責任者の選任義務。
⑦ 法第42条 派遣先管理台帳の作成と整備、保存の義務。

以上の7条文については、派遣会社がお客さまの責任をサービスとして代行することができないものです。

ランスタッドでは、お客さまからの求めに応じて上記7条文についての正確な法令情報を提供し、専門家との提携にて実務のご相談に応じております。
特に抵触日の管理は大変難しく煩雑です。他社派遣スタッフに関する質問であっても、ぜひ、お気軽に当社にお問い合わせ下さい。

(2012年8月掲載)


このコラムに関するお問い合わせ:
ランスタッド株式会社 コミュニケーション室
Tel: +81(0)3-5275-1883
Email: communication
@randstad.co.jp

労務コンプライアンスノート本コラムでは、多様な人材を活用する企業人事部門の皆さまが、コンプライアンスに則った適正な形で人事・労務業務を遂行いただけるよう、ランスタッド顧問社労士がバラエティに富んだ労務トピックスを分かりやすく解説いたします。

特定社会保険労務士 田原 咲世 (たはら・さくよ)

1968年大阪生まれ。立命館大学修士課程修了後、旧労働省に入省し、労働基準法・男女雇用機会均等法・派遣法改正などを担当。2008年3月まで北海道労働局の需給調整指導官として活躍。2008年4月から札幌で北桜労働法務事務所を経営。特定社会保険労務士として、労働関係法を中心とした指導を行う。現ランスタッド、顧問社労士。

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