選挙に欠かせない臨時労働力

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
閉じる
2014/11/28

【労務・コンプライアンスノート】第25回:選挙に欠かせない臨時労働力

暮れの選挙となりました。選挙には臨時の労働力が必要です。

特に、出口調査と呼ばれる投票動向をマスメディアに知らせる多くの調査員は、当日限りの臨時労働力です。

生放送で選挙動向を報道するテレビ・ラジオ各社にとって、「どの候補者が優勢か」をいち早くキャッチすることは非常に重要です。

テレビ・ラジオ各社はこの1日限りの臨時の労働力をどのように確保するのでしょうか。

まずは直接アルバイトとして雇用する方法です。このアルバイトを雇用した際の難点は、地方の膨大な投票所に的確に配置できるかどうかです。

事前に現地に赴いて面接や当日の作業のレクチュアを行うだけでなく、当日も一定の地域を巡回しながら各労働者に作業指示をしなければなりません。

キー局が地方局と提携しても、少ないテレビ・ラジオ各社の社員が臨時の労働者全員に面談・レクチュアし、当日も指示を行うのは非常に難しいでしょう。

請負契約という方法もあります。

地域ごとに地元の事業者と請負契約を締結して、労働者を直接、地域で管理してもらう方法です。

この場合、テレビ局の社員が現地に出向かなくても、あらかじめ請負事業者に調査手順や集計の方法を指南しておけば、請負事業者が地域で労働者を雇用して教育することができます。

ただし、現場に配置されている請負事業者の雇用する労働者に、テレビ・ラジオ各社の社員が直接指揮命令できませんので、一刻を争う場合でも請負事業者を通して連絡を取ることになるのは歯がゆいことでしょう。

労働者に通信端末などを持たせて発注者が指揮命令を直接行ったりしないように、適正な請負の事業を行うことが大切です。

労働者派遣という方法は、従来、多くのメディアに選択されてきました。

労働者派遣の場合、地域ごとに地元に根ざした派遣元事業主に投票所に派遣できる労働者を雇用してもらうことが可能です。

請負と異なり事前のレクチュアをテレビ・ラジオ各社が派遣労働者に行ってもかまいませんし派遣元事業主を通じて行ってもかまいません。

当日は派遣労働者に貸与した通信端末からテレビ・ラジオ各社宛にそのまま調査情報を提供することも可能なため、これまで最も適した労働力の調達として重宝されていました。

ただし、平成24年10月からは、このような1日限りの派遣労働は「日雇派遣」として原則禁止となってしまい、各社はアルバイトの雇用や何とか適正な請負で実施すべく頭を悩ませているところです。

なお、「日雇い派遣」には例外があり、60歳以上の高年齢者や学校教育法で定める学校に通学する学生などは、1日限りの労働契約の下に派遣就業可能となっています。

ランスタッドでは、例外要件の確認のため公的書類の提出を義務付けており、これら例外要件を満たしているスタッフが多数登録しています。

選挙に必要な臨時の労働力の活用を労働者派遣事業でお考えの事業者様は、一度、お近くのオフィスにお問い合わせください。

(2014.11.28 掲載)


このコラムに関するお問い合わせ:
ランスタッド株式会社 コミュニケーション室
Tel: +81(0)3-5275-1883
Email: communication
@randstad.co.jp

労務コンプライアンスノート本コラムでは、多様な人材を活用する企業人事部門の皆さまが、コンプライアンスに則った適正な形で人事・労務業務を遂行いただけるよう、ランスタッド顧問社労士がバラエティに富んだ労務トピックスを分かりやすく解説いたします。

特定社会保険労務士 田原 咲世 (たはら・さくよ)

1968年大阪生まれ。立命館大学修士課程修了後、旧労働省に入省し、労働基準法・男女雇用機会均等法・派遣法改正などを担当。2008年3月まで北海道労働局の需給調整指導官として活躍。2008年4月から札幌で北桜労働法務事務所を経営。特定社会保険労務士として、労働関係法を中心とした指導を行う。現ランスタッド、顧問社労士。

ログアウト