同一労働同一賃金など「働き方改革」一色  技能協の新春講演会

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2018/01/15

n180115.jpg 製造派遣・請負事業の業界団体、日本生産技能労務協会(技能協、青木秀登会長)は15日、都内で2018年新春講演会を開いた。青木会長は「今年は4月の無期転換ルールの本格化、9月に迎える改正労働者派遣法の施行から3年の節目、そして働き方改革関連法案の国会審議など、労働市場は大きく変わる。業界としても、今以上に社会に必要とされる組織を目指して努力しましょう」と挨拶した。

 講演では、厚生労働省雇用環境・均等局の松永久有期・短時間労働課長が「働き方改革の最新動向について~同一労働同一賃金を中心に」、立命館大学の海老原嗣生客員教授(ニッチモ社長)が「派遣・請負事業主導で実現する日本の雇用の明日~真の改革を進めるために」と題して登壇。

 松永氏は、政府が来月に国会提出を予定している改正労働基準法案などの働き方改革関連法案を解説。長時間労働の是正に向けた残業の上限規制導入などのポイントを要約。同一労働同一賃金のガイドライン案については、「正規と非正規の不合理な待遇格差の解消」を目指しており、国会審議を経て最終決定していく道筋を説明した。

 海老原氏は、同一労働同一賃金について、欧州を代表するフランスなどの制度を紹介。歴史的な背景を紐解きながら、フランスは実質的な階級社会であり、賃金は職務給中心であることなどから「仕事が違えば賃金も違うことが当然とされており、企業をまたぐ横断的労組によって賃金アップを守ってきた」と説明。

 日本の場合、横断的労組がないことから、現在のまま同一労働同一賃金制度が広がると、職務分離が強まる懸念があり、政府の労働政策の強化と同時に、人材請負・派遣業界による労使協調型の業界横断ユニオンの創設を提言した。

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