長時間労働などの労働基準法違反はサービス業、製造業、運輸業が8割近くを占める

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2017/10/25

 東京商工リサーチの労働基準関係法令の違反企業の実態調査によると、違法な長時間労働などの労働基準法違反は、産業別ではサービス業、製造業、運輸業で8割近くを占めることが明らかとなった。

 厚生労働省が9月15日までに労働基準関係法令に違反したとして企業名を公表したのは520社で、累計525件だった。違反した労基関係法令の内訳は、労働安全衛生法違反が335件(60.2%)で6割を占めた。

 次いで、違法な長時間労働などの労働基準法違反が101件(18.1%)、賃金未払いや最低賃金を遵守しない最低賃金法違反が92件(16.5%)と続いた。

 産業別でみると、最多は建設業で182社(35.0%)だった。次いで、製造117社(22.5%)、サービス業他104社(20.0%)の3産業が突出。この3産業で全体の7割(77.5%)を占めた。

 時間外労働の割増賃金未払いや36協定無視など、長時間労働に関する労働基準法違反は98社(累計101件)だった。

 98社の産業別内訳は、最多がサービス業他36社(36.7%)。次いで、製造業24社(24.4%)、運輸業17社(17.3%)の順で、上位3産業で77社(78.5%)と8割近くを占めた。

 労働基準関係法令に違反して企業名を公表された520社のうち、売上高が判明した380社では、売上高1~5億円未満が124社(32.6%)と最多。次いで、1億円未満が88社(23.1%)、10~50億円未満が68社(17.8%)と続く。

 売上高5億円未満が212社(55.7%)と半数を占め、10億円未満の中小・零細企業は260社(68.4%)と、全体の7割に達する。また、売上高が判明しない企業の多くは個人企業などが占め、実態は小・零細企業が占める割合はさらに拡大する。

 一方、売上高100億円以上は31社(同8.1%)だった。

 売上高の最大企業はパナソニックで、富山県内の工場で労働者3人に36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせたとして労働基準法違反で書類送検された。

 このほか、新日鐵住金名古屋製鐵所(労働安全衛生法違反)、日本郵便新大阪郵便局(労働安全衛生法違反)、三菱電機情報技術総合研究所(労働基準法違反)など業界大手も公表された。

 調査は、厚生労働省が5月10日以降、ホームページ上に掲載した「労働基準関係法令違反に係る公表事案」で公表した企業520社(累計525件)について、TSR企業データベース(310万社)から産業別、売上高別などで分析した。

配信元:日本人材ニュース

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