「介護離職ゼロ」に向けて議論  JILPTの労政フォーラム

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2016/10/12

 労働政策研究・研修機構(JILPT)の労働政策フォーラム「介護離職ゼロをめざして~仕事と介護の両立」が12日都内で開かれ、来年から施行される改正介護休業法や企業の先進取り組み事例などについて、パネリストらによる興味深い報告が相次いだ=写真

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 中央大学大学院の佐藤博樹・戦略経営研究科教授が「増大する介護世代を企業としてどう支援すべきか」と題して基調講演し、同機構の池田心豪・主任研究員が「長期在宅介護に対応した両立支援」と題して二つの調査結果を報告、解説した。

 佐藤教授は、仕事と介護の両立について社員の支援が必要と考える企業はまだ少なく、たとえ考えていても育児休業と同じ支援目的でよいと誤解する場合の多いことを指摘。「介護支援は社員の就業をできるだけ助けるため、実際に介護が必要になる前に情報提供などに努めることが重要」と強調した。

 この後、厚生労働省の源河(げんか)真規子・職業家庭両立課長が改正法の概要を説明し、「改正内容は企業の最低限の義務であり、施行までに万全の準備をお願いしたい」と述べた。

 企業などの先進事例として、花王の座間美都子・人財開発部門D&I推進部長、ホシザキ東北の高橋真弓・総務課係長、NPO法人「パオッコ」の太田差惠子理事長の3人が、それぞれの取り組みぶりや課題などを披露した。

 パネルディカッションでは佐藤教授をコーディネーターに、介護が必要になった社員に対して企業がどう支援すべきか、5人のパネリストが持論を展開。「社員は1人で抱え込まず、まずは上司らに相談を」「地域包括支援センターの活用を」「介護が必要となる前の準備セミナーが大切」など、示唆に富む意見が相次いだ。

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