HRラウンドテーブル 9月度開催報告

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2014/10/17

中途採用者が活躍する組織とは ~心理学的側面(解決志向アプローチ)から紐解く~ PartⅠ

2014年9月18日、「中途採用者が活躍する組織~心理学的側面(解決志向アプローチ)から紐解く」をテーマに、ランスタッド・HRラウンドテーブルを開催し、8社の人事労務業務に従事する方々にお集まりいただきました。


ご参加企業(あいうえお順):
  • 旭化成レジデンス株式会社
  • イオン株式会社
  • 株式会社エイブル
  • 株式会社大林組
  • DHLサプライチェーン株式会社
  • ナショナルオーストラリア銀行
  • 日本電通株式会社
  • ブラウン・ブラザーズ・ハリマン・インベストメント・サービス株式会社

冒頭、ランスタッド、マーケティング&コミュニケーション本部長松井隆より、「グローバル化、事業の拡大、経営の迅速化などを目的とし、多くの企業が即戦力となりうる中途採用を強化している。一方で、新卒採用の生え抜き社員を軸としてきた日本の企業において、実力を発揮できずに早期退職にいたる中途採用のケースが課題」と、ご参加企業の方々への挨拶がありました。

続いて、メンタルヘルスや心理学の観点からみた中途採用社員を含む組織作りについて、ランスタッド・EAP総研所長、川西由美子より発表をさせていただきました。

新卒社員と異なり、経験や知識を兼ね備えて入社をする中途採用者は、短期間で成果を出さなければならないというプレッシャーにさらされる傾向にあります。一方、受け入れる既存の社員には、新しい社員を受入れ、様々な変化に対応することが求められるが、往々にして組織がまとまらないことが一般的です。結果として、成果を出す前に早期に退職に至ったり、うつ病になるなど、クイックロス(短期に全てを失う状態)に繋がるケースが増えてきていると発表がありました。

(Photo: Brian Scott Peterson)

中途採用の失敗 組織全体、人事部への影響大

クイックロスの代表例として、シニアクラス及び一般職の中途採用者が早期に退職に至るケースをとりあげました。いずれのケースも、中途採用者自身が実力を発揮できない状態に焦り、周囲が混乱、退職に至ることになります。こうしたクイックロスは、単なる社員の退職だけではなく、人事部に対する社内の評価を下げ、採用コスト増大に繋がる要因ともなりうると川西より報告がありました。

(Photo: Brian Scott Peterson)

クイックロス防止人事施策、解決志向アプローチ

こうしたクイックロスを防ぐために、人事部として中途入社者、既存組織への入社前後のクイックウィン施策、そして解決志向アプローチに基づいたチーム作りに関する提案が川西からなされました。解決志向アプローチは、個人や組織の問題を追及したり、間違いを正すことよりも、チーム全体の希望や成長に目標・焦点を当てる議論を人事が主導することで、機能する組織作りを促してきた実績が有ると報告がありました。

人材不足の中、組織力を高める中途採用者の戦力化

参加企業の方々を交えたディスカッションでは、中途採用社員の受入れ、活躍の場を用意することが簡単ではないことが明らかになりました。

保守的な社風、確立された組織に入社する中途社員が、社内では当たり前の共通言語や業務プロセスを理解できない、また「経験者」という立場から、初歩的な事柄の質問をできない環境にあると懸念点があげられました。また、過去に複数の買収合併、経営統合を繰り返してきた企業からは、拠点や事業部ごとに組織風土が違うため、本社主導の研修や制度を用意しても、拠点長の方針に左右され、一貫性の無さに違和感を感じる中途社員が多いことに苦慮をされているとの報告がありました。

一方外国資本の企業からは、長期的に人材育成に取り組む日本の雇用形態と異なり、「ヘッドカウント」の縛りが強いため評価されるため、すぐに戦力となる方の採用が必要となることが多く、すぐに成果をというプレッシャーが存在するとの報告がありました。また、国内、海外両方にレポートラインを持つ社員は、早期に結果を出さなければという意識を持つものの、評価基準の一貫性の無さに戸惑うことが多いとの課題が挙げられました。

一方外国資本の企業からは、長期的に人材育成に取り組む日本の雇用形態と異なり、「ヘッドカウント」の縛りが強いため評価されるため、すぐに戦力となる方の採用が必要となることが多く、すぐに成果をというプレッシャーが存在するとの報告がありました。また、国内、海外両方にレポートラインを持つ社員は、早期に結果を出さなければという意識を持つものの、評価基準の一貫性の無さに戸惑うことが多いとの課題が挙げられました。

(Photo: Brian Scott Peterson)

この様な課題への対応策として、一部の企業では、管理職層が参加するワークショップを実施、「組織のあり方、つくり方」についての統一化を図り、一貫した情報発信をできる土台作りを実施している、また役職者研修で傾聴、承認、質問スキルなどを高め、細かいヒアリングを実施することで、早期に退職防止策をとれる体制をとっている旨の情報共有がありました。

また、議論の中では、中途採用社員の入社に関連する課題の解決は、広く新卒入社社員のキャリア育成の土台作りでもあるとの見解が挙げられました。組織全体としての明確なキャリアパスや、入社研修、育成プログラムを整えることで、入社後数年で退職に至る新卒社員定着にも繋がるとの意見もだされました。

ランスタッドでは、人事労務に関わるプロフェッショナル向けの交流型・小規模の勉強会を毎月開催しております。次回の開催は10月24日(金)、中途採用者が活躍しやすい組織作りについての発表、議論をさらに深めます。

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