HRラウンドテーブル 7月度開催報告

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2014/08/18

しょうがい者雇用へのアプローチ PartⅠ ~具体事例から学ぶ、採用から定着まで~

2014年7月30日、「しょうがい者雇用へのアプローチ、具体事例から学ぶ、採用から定着まで」をテーマに、ランスタッド・HRラウンドテーブルを開催、3社の人事労務関連業務に従事する方々にお集まりいただきました。


冒頭、ランスタッド取締役兼首都圏本部長の猿谷哲より、「昨年4月の法改訂により、民間企業が達成しなければならないしょうがい者雇用率が2.0%に引き上げとなり、半数を超える民間企業が雇用率未達成の状況にある。職場での配慮がしやすい身体しょうがいをお持ちの方を想定して採用希望される企業が多いが、一方で近年増加傾向にある精神にしょうがいをお持ちの方の採用、受入れ、定着に課題を抱えている企業が多い。本日は、各企業さまからの高いニーズを受けて、具体的な取り組み事例を交えた勉強会を開催させていただくことになった。」と、ご参加企業の方々への挨拶がありました。

続いて、今年の3月に日本リハビリテーション連携科学学会で発表された「高次脳機能障害」をお持ちの方の就職活動から職場での定着にいたるまでの事例が、ランスタッド所属の精神保健福祉士・社会福祉士高田みほより紹介させていただきました。

近年のしょうがい者労働市場の変化の流れを受け、それに伴う公共・民間の就労支援体制も変化してきている。厚生労働省が発表したハローワークの新規求職申込件数年次推移によると、しょうがいをお持ちの方の求職は、前年比で4.7%増加している。

事例を交えながら、しょうがい者の採用から定着について発表をする 精神保健福祉士・社会福祉士 高田みほ(Photo: Brian Scott Peterson)


また、就職件数に関しても前年度比14%増と、法定雇用率引き上げの結果、雇用の機会が拡大していることがわかる。一方、求職申込みの内訳を見ると、身体しょうがい者3.1%減、精神しょうがい者は13.2%増であった。また、実際の就職においても、精神しょうがいをお持ちの方の件数が前年比23.2%と大幅に増加している。

「ディーセントワーク」を希望するしょうがいを持つ求職者が増している。

このような状況を鑑み、しょうがい者の仕事に対する意識も変化してきている。これまでしょうがいを持つ方の就労で一般的であった、低報酬や単純作業の仕事ではなく、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)の改善に繋がる経験や価値観に基づいた仕事、「ディーセントワーク」に就きたいと考える方が増加していると、高田より最近の傾向が共有されました。特に、精神しょうがいの求職者の間では、健常であったころの経験を生かし、人事、財務、エンジニア職など、専門職としての就労を目指す候補者が増えているとの報告がありました。

「就業支援は、採用前の情報収集と、就業開始後の定着支援が鍵」

しょうがいをお持ちの方の採用及びその後の定着で課題を抱えている企業のほとんどが、事前の確認や調整の不足、就業開始後の支援体制不足からくるミスマッチの状態に陥っている。しょうがい者は、先立っての専門機関(専門家)からの様々な支援、介入を受けながら、就業を開始、継続したフォローをうけることで、その後の定着率が高まる傾向にある。

高次脳機能障害の方の就労支援の事例をテーマに、症状の発症時期(急性期)から回復期、そして就労・定着、現在に至るそれぞれの間に関わった専門機関とそれぞれの機能、担当領域について解説なされ、単に企業や職場の領域だけではなく、医療、福祉、教育、また就労支援ネットワークが必要であることが強調されました。

また、しょうがい者を受け入れる企業側の現状を鑑み、専門支援機関との連携、職場の環境づくり、また生涯を通じて居住地で専門的な相談ができる相談事務所の周知課題が挙げられました。

特に、医療や福祉専門家との情報交換の際は、専門家の分析や知識を活用し、それぞれの候補者の特性(できること、できないこと)を実際に業務に照らし合わせて把握すること、周囲が配慮すべきこと事柄、そして安定して働くために得られる専門的な支援ネットワークを活用する必要性が確認されました。

しょうがい者雇用の現状と課題について話す ランスタッド取締役兼首都圏本部長 猿谷哲(Photo: Brian Scott Peterson)

参加企業の方々を交えたディスカッションでは、まず各社の現在のしょうがい者雇用状況についての情報交換がなされました。雇用率達成如何に関わらず、これまで以上に雇用機会の創出を行い、職域の開拓、長く就業できる環境を提供をするという指針はあるものの、各社共に実際の採用後の受入れ部署の体制作りや定着フォローに課題があること挙げられました。

参加者の共通認識として、様々な取り組みを積み重ね、成功事例を創り出すことで、長期的にしょうがいをお持ちの方を含む、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進めたいとの意見がだされました。

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