37号告示(請負・派遣区分基準)疑義応答集第2集が公表されました

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2013/09/27

【労務・コンプライアンスノート】第18回: 37号告示(請負・派遣区分基準)疑義応答集第2集が公表されました

旧労働省は、労働者派遣法の施行にあわせて昭和61年に「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)を定めました。

この告示は、タイトルのとおり、請負と称して実際には労働者派遣が行われていないかどうかを判断するための"モノサシ"ですが、内容が非常に抽象的であるため、その解釈や現場での適用について問題となることが多くありました。

平成21年3月31日、厚生労働省はこの告示の疑義応答集を発表し、全国から寄せられた疑義について、Q&A形式で一定の解釈や具体的な事例を明示しました。

今回は、この疑義応答集の第2集であり、平成21年4月以降に現場から寄せられた多くの質問に回答しています。

今回の注目は、請負現場における請負労働者と発注者との間のコミュニケーションのうち、「それだけをもって偽装請負とは判断しない」とされた「情報提供」「必要な指示」「打合せへの同席」という3つの区分についてです。

まず、「情報提供」ですが、営業行為を請け負っている請負労働者が、成約した顧客へのサービス提供時期を案内するため、発注者(顧客に実際にサービスを提供する立場にある)に電話等でサービス提供時期の照会を行うようなケースです。

業務の遂行を直接指示しなければ、商品配達の時期、サービス提供の時期などを発注者が現場の請負労働者の照会に対して情報提供しても、それだけをもって「業務の遂行を発注者が指揮命令した」とは解さないとされました。

次に「それだけをもって偽装請負とは判断しない必要な指示の範囲」ですが、3つの内容で解説されています。

(1)数次の請負構造にある建設や複数の下請事業者が構内で作業を行う製造の現場では、労働安全衛生法第29条に基づき発注者が全労働者の安全のための指示を行うことは法令を守るためでありもちろん違法ではありません。

(2)また、災害発生時の避難指示などは、日常業務とは全く異質なものであり、労働者の安全を守るという趣旨からも違法ではありません。

(3)このほか、給食調理を包括して受託している場合に、毎日の献立に関する詳細な情報(調理方法やアレルギー食への注意など)が文書で発行されたとしても、実際に調理が請負事業者の判断と運営によって実施されている場合は、違法ではありません。

最後に、発注者と「打合せ」を行う際に、請負事業者の責任者のみならず、 実際に作業に従事する予定の請負労働者も同席が可能かどうかという点で、同席をもって請負労働者に業務遂行の指示を行うものでなければ可能だという見解が示されました。

この場合、請負事業者の判断で請負労働者を同席させるという前提がありますので、発注者が労働者を指名して会議に出席させるような行為はNGです。

疑義応答集第2集には、この他にも車輌の運行管理における行き先指示のあり方、マネキンの清算の仕方など興味深い解釈が示されています。

適正な請負・委託事業の実施をお考えの事業者さんは、ぜひ、一度全文をご覧下さい。 ご質問やランスタッドとの請負・委託契約で疑問点などがありましたら、遠慮なく担当のコンサルタントにおたずね下さい。

(2013.9.27 掲載)


このコラムに関するお問い合わせ:
ランスタッド株式会社 コミュニケーション室
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Email: communication
@randstad.co.jp

労務コンプライアンスノート本コラムでは、多様な人材を活用する企業人事部門の皆さまが、コンプライアンスに則った適正な形で人事・労務業務を遂行いただけるよう、ランスタッド顧問社労士がバラエティに富んだ労務トピックスを分かりやすく解説いたします。

特定社会保険労務士 田原 咲世 (たはら・さくよ)

1968年大阪生まれ。立命館大学修士課程修了後、旧労働省に入省し、労働基準法・男女雇用機会均等法・派遣法改正などを担当。2008年3月まで北海道労働局の需給調整指導官として活躍。2008年4月から札幌で北桜労働法務事務所を経営。特定社会保険労務士として、労働関係法を中心とした指導を行う。現ランスタッド、顧問社労士。

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