【派遣社員レポートvol.68】ムトワラ・リンディで感じたこと

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2017/12/01

 11月初旬にムトワラ及びリンディを訪れました。ムトワラはダルエスサラームからバスで8時間、リンディは6時間ほど離れた沿岸にあります。ムトワラの人口は約10万人、リンディは5万人程度でタンザニアの中でも最も発展の遅れているエリアと言われています。多くのボランティアなどがこの町を訪れ、この状況を何とか打破すべく活動しています。

発展が遅れている理由として以下の2つが大きな理由となります。

1:道路事情

 今でこそダルエスサラームからバスで6時間から8時間ほどでリンディ・ムトワラへ移動が可能になりましたが、ほんの数年前までは2週間かかることもあったようです。その理由として、道路が舗装されていなく、2月から数ヶ月続く雨季には四輪駆動車(ジープ)でしか道を走ることが出来ないからだそうです。歩く場合も多くの人は途中で諦めてしまい、もと来た道を引き返さなければいけない状況でした。空路や海路のみが唯一安定した渡航方法だったようですがコストなどを考えるととても一般のタンザニア人が利用できるものではありません。こういった道路事情が、ダルエスサラームから情報、技術、そして物資の到着が寸断されている状況を招いていました。

2:仕事へのモチベーション

 私が現地の方々に「なぜこのエリアは発展が遅れているのですか?」と尋ねると「People don't believe in working(働いてどうするの?)」というような回答が返ってきました。詳しく聞こうとしても「それがこの町のカルチャー(文化)だから」というのです。たしかに町を歩いていると木陰で何をする訳でもなくボーッとしている人をよく見かけます。仕事を見つけられないのかな?と思っていましたが、実はそれだけが理由では無いようでした。

 タンザニアと聞くと日本とは大きく異なる文化を持つ国と印象を持たれがちですが、似ている点が幾つかあります。例えば「出る釘は打たれる」という価値観です。タンザニア人には「打たれるぐらいだったらみんなの真似をしていよう」という人が多いようで、その傾向は日本人より強いようにも感じます。ムトワラやリンディに当てはめると「みんなの真似」=「木陰で休む」になってしまっているのではないでしょうか。日本ではこの「出る杭は打たれる」という考えがあるものの、これまで多くのベンチャースピリッツを持った起業家が会社を立ち上げ、成長を遂げてきました。タンザニアの企業には財務、法務、マーケティングなど様々な面で基礎能力に関して更に発展が必要と言われていますが、実はこのベンチャースピリッツを持ち、あらゆる困難や競争社会に挑む精神こそが、いま一番必要なのではないかと考えます。

 しかし、このような環境の中でも自らを発起し、タンザニア若しくはアフリカを代表する企業を目指している幾つかの起業家の方へ訪問することができました。彼らの企業規模は未だ数名程度ですがインタビューをする中でとても強い成長意欲が感じられました。次回のレポートではその中から幾つかの企業をご紹介したいと思います。

▲舗装された道路

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