【派遣社員レポートvol.52】現地視察と若者ボランティアの成長

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2016/05/30

私の所属するICSチームでは、若者のボランティア活動を運営支援しています。ICSのボランティア活動に参加する若者たちは、派遣された先で約2、3ヶ月間活動を行うのですが、現在ネパール各地にいる若者ボランティア達の活動が終盤に差し掛かってきたので、活動の様子を視察しに行きました。車が一台通るだけでいっぱいの山道をぐるぐると登り、到着した地域は、空気がとても澄んでいて感動的な景色でした。

今回視察したグループはネパール人3名、イギリス人3名のグループで、派遣先の地域の子どもたちを集めて、それぞれの特技を披露しあう発表会を企画していました。ボランティアは、学校や地域のリーダーにも協力を仰ぎ、宣伝活動やステージの構成など、約1ヶ月準備をしてきました。会場では、お化粧をし、華やかな衣装に身を包んだ子どもたちが、伝統的な歌やダンスや寸劇を披露し、笑い声や手拍子でいっぱいの賑やかな会になりました。驚いたのは、どんなに小さな子どもでも自分達の民族の歌や踊りが自然に身についていることでした。人から人に受け継がれる伝承文化の強さと美しさは、今や先進国が手に出来なくなっているものの1つではないかなと感じました。また、1つ気になったのは、発表会に大人があまり集まらなかったことです。特に田舎の地域では野菜や果物の栽培や酪農などの農家が主産業なので、子どもたちの親は仕事から手が離せないという理由もあります。、しかし、それ以前に家族が学校教育に参加する、という文化自体が根付いていない為、実現することが難しかったようです。

今回の視察を通じて、次回のボランティアの採用活動を進めている私たちにとっても、改善を図るための良い情報収集が出来ました。準備期間には、貧困層の参加者を募るためにランチを提供しようとするネパール人ボランティアと、もっと別のことにお金を使うべきだと主張するイギリス人ボランティアの間で意見の食い違いもあったようですが、今回は現地の人々のアドバイスを受け、ランチを提供することにしたそうです。このように、両国の若者達にとっては、文化の違いを踏まえて相手を尊重しながら意見を主張すること自体が初めての経験です。彼らの会話を聞いていると、その葛藤を乗り越えて上手くバランスを取りながら進めている様子が伺えました。私たちの活動は、ネパールの地域の人々への貢献を目的としていますが、ボランティアに携わる個人の成長をサポートすることもまた、最も重要な目的の1つです。それが実現出来れば、活動期間を経て母国に戻ったボランティアも『Active Citizen(常に自ら行動し周りに影響を与えることの出来る人材)』となり、継続的な支援が出来る良い循環を作ることが出来ます。限られた時間の中で、何かを形にすることだけが成果では無く、その過程での個々の成長をしっかりと評価出来るよう、これからも若者ボランティアをサポートしていきたいと思います。


発表会の合間で。列をつくる子供たち

美しい民族衣装に身をつつむ女の子

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