「同一労働同一賃金」の動向や背景など考える  技能協の16年度定時総会・講演会

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2016/05/18

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 製造派遣・請負事業の業界団体、日本生産技能労務協会(JSLA、清水竜一会長)は18日、都内で2016年度定時総会と講演会を開いた。講演会=写真上=では、政府が示した中長期の政策目標「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り込まれた「同一労働同一賃金」などをテーマに、厚生労働省職業安定局・民間人材サービス推進室の河村のり子室長=写真中=と、東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授=写真下=が登壇した。

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河村室長は「『同一労働同一賃金』をめぐる動向と課題」、水町教授は「派遣・請負をめぐる近年の労働法改革の動き」と題して講演。河村室長は、同一労働同一賃金の考え方がなぜ必要になったのか、その背景を結婚・出産や格差、労働生産性の観点からデータを用いて説明したうえで、「年内にはガイドラインを作成する予定。法改正を通じた制度化は2019年度までのスタートを目指しており、本格的な議論はまさにこれから」と述べ、実現に向けて十分な議論を重ねていく必要があることを説いた。

n160518_3.jpg水町教授は、労働分野について「三つの"2018年ショック"が襲う」と述べた。12年改正の労働契約法に盛り込まれた無期転換ルールが18年度から適用になること。15年改正の労働者派遣法に、有期の派遣労働者の派遣期間の上限が3年、派遣先企業の受け入れ期間も上限が(原則)3年に規制されたこと。また、同一労働同一賃金の制度開始が18年度からとなる可能性があること、の3点。

 水町教授はそれぞれの法制度のポイントを解説しながら、人材ビジネス業界に及ぼす影響などに触れ、「良い人材を獲得しようとするならば、こうした動きを見越して早目の対応がカギになる」と強調した。

 水町氏は、厚労省・内閣官房の「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」をはじめ、関連する有識者会議の委員として、このテーマに対して活発に見解を発信しているとあって、参加した会員企業や業界関係者の注目を集めた。

 講演会に先立ち開かれた定時総会では、新年度の活動の柱に(1)製造請負優良適正事業者認定制度の普及・周知徹底による健全な業界発展の推進、(2)改正派遣法に伴う働く人のキャリアアップ措置に対する会員企業への具体的支援の推進、(3)業界検定制度の構築による製造請負・派遣業の人材力強化――の3本を掲げ、取り組みを強化していくことを確認し合った。

配信元:アドバンスニュース

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