【労務・コンプライアンスノート】第14回: 派遣元事業主の情報開示から読み取るポイントについて
多くの企業が3月末を会計年度末とし、決算を行いました。労働者派遣事業を行う企業にとって、2013年の3月末は特別な意味を持っています。 労働者派遣法第23条第1項では、派遣元事業主は決算から1か月以内に過年度の労働者派遣事業の報告を厚生労働大臣あてに行うように定めています。 また、同法第23条第5条では、この報告書の内容をもとにマージン率などの情報を開示することも定めています。 この情報公開は、昨年10月1日の法施行後、最初の決算の内容から開示が義務づけられていますから、今年の3月末決算の数字は法施行後に最初に開示される数字になります。 今回は、この情報開示の内容について説明します。
同法第23条第5条で開示を義務づけている数字は、以下の通りです。各数字は、可能であれば直近のものが望ましいのですが、各日ごとに変動するため「過事業年度の数字」である旨を明示して開示することも認められています。 このうち、マスコミの注目を集める③のマージン率は、次のように算定されます。 つまり、マージン率は、個別労働者派遣契約について計算するのではなく、各派遣元事業所が過年度に実施した労働者派遣事業全体の平均マージン率となるわけです。 ここで注目すべきは、マージン率の数字ではなく、マージンを何に充てたかということです。 マージン率だけではなく、④~⑦が併せて情報公開するよう定められているのは、派遣料金と賃金との差額を「どれくらい有効に使っているか」ということを広く世間に周知するためでもあります。 一般社団法人日本人材派遣協会の発表では、派遣元料金の内訳は以下のとおりです。 派遣元事業主の諸経費には、当然ながら一般の企業でも必要となる募集・採用経費のほか、教育訓練や福利厚生などの費用が含まれます。派遣元事業主の経常利益は全体の1.5%程度です。 派遣労働者になろうとする皆さんはもちろんのこと、派遣先のみなさんも、マージンがいかに有効に充てられているかどうか、ぜひ各派遣元事業主の情報開示を見比べてみてください。 (2013.5.9 掲載*) *上記の情報は掲載時点のものです。最新の派遣料金の内訳については、「日本人材派遣協会」のホームページでご確認ください。
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