政令26業務に新たな業務が追加予定です

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2012/08/01

【労務・コンプライアンスノート】 第6回: 政令26業務に新たな業務が追加予定です

政令26業務に新たな業務が加わることがほぼ確実になりました。といっても「27業務」になるのではなく、政令第15号の範囲に新たな業務が加わることになったものです。

平成24年4月25日、厚生労働大臣は政令の改正案について労働政策審議会あて諮問を行い、同審議会職業安定分科会需給調整部会は、この政令改正案が妥当であると答申し、これを受けて5月10日に職業安定分科会が開催されました。

近く、労働政策審議会長から厚生労働大臣に答申され、答申後には政令改正公布がなされる見込みです。

政令第15号業務に追加されるのは、次の業務です。

(1)一般廃棄物処理施設において必要な設備の運転、点検又は整備の業務
対象となるのは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく、ごみ処理施設、し尿処理施設及び最終処分場において、廃棄物の処理に必要な設備の運転、点検及びこれらの設備の整備の業務です。

(2)下水道において必要な設備の運転、点検又は整備の業務
対象となるのは、「下水道法」に規定する下水の排水又は処理に必要な設備の運転、点検又はこれら設備の整備の業務です。

(3)水道施設において必要な設備の運転、点検又は整備の業務
対象となるのは、「水道法」に規定する水道施設における水の供給に必要な設備の運転、点検又は整備の業務です。

(4)非破壊検査に必要な設備の運転、点検及び整備の業務
具体的には磁粉探傷装置、エックス線検査設備、浸透探傷検査設備等の設備の運転、点検及び整備の業務です。なお、これらの検査と一体的に行われる目視検査も含まれます。


この業務が追加される理由として最初に、東日本大震災で生じたインフラ設備の早急な改善があげられています。

次に、労働者の雇用の安定に資することがあげられています。なぜなら、このような業務は自治体等から発注され入札によって実施業者が決定するため、これまで落札できなかった業者は雇用していた労働者を整理解雇せざるを得なくなっていました。

しかしながら、これらの業務に従事する労働者が同一の派遣元に所属し、どのような業者が落札しても派遣労働者として当該業務に派遣されるなら、入札ごとに雇用の安定が脅かされないという点が評価されたのです(図参照)。

直接雇用ではなく派遣労働者であるがゆえに雇用が安定するというケースがここに明らかになったのは、ここ数年は「派遣は不安定雇用」という印象だけが先行していただけに、派遣事業のメリットを考え直す契機になりそうです。



(2012年8月掲載)


このコラムに関するお問い合わせ:
ランスタッド株式会社 コミュニケーション室
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労務コンプライアンスノート本コラムでは、多様な人材を活用する企業人事部門の皆さまが、コンプライアンスに則った適正な形で人事・労務業務を遂行いただけるよう、ランスタッド顧問社労士がバラエティに富んだ労務トピックスを分かりやすく解説いたします。

特定社会保険労務士 田原 咲世 (たはら・さくよ)

1968年大阪生まれ。立命館大学修士課程修了後、旧労働省に入省し、労働基準法・男女雇用機会均等法・派遣法改正などを担当。2008年3月まで北海道労働局の需給調整指導官として活躍。2008年4月から札幌で北桜労働法務事務所を経営。特定社会保険労務士として、労働関係法を中心とした指導を行う。現ランスタッド、顧問社労士。

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