「日雇派遣の原則禁止」がもたらす影響とは

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2012/08/01

【労務・コンプライアンスノート】第2回: 「日雇派遣の原則禁止」がもたらす影響とは

2012年3月28日に、改正労働者派遣法が成立しました。

当初は焦点だった「登録型派遣の原則禁止」「物の製造の業務への派遣原則禁止」については法案から削除されたため、注目されているのは「日雇派遣の禁止」に関する事項です。

日雇派遣は、「日雇労働者」の定義を「日々又は30日以内の期間を定めて雇用される労働者」と修正(当初案は「日々又は2か月以内」)された上で、原則禁止になりました。一部では「これで30日以内の短期間の需要に派遣労働者は使えない」と憂慮される方もいるようですが、これは大きな誤解です。

この日雇とは、派遣労働者と派遣元との雇用関係の期間を問題にしていますので、派遣先と派遣元との労働者派遣契約の期間を規制するものではありません(図参照)。したがって、派遣元に30日を超えて雇用継続している派遣労働者が多数在籍している場合は、短い需要も現行と変わらない取扱でよいでしょう。

また、日雇派遣の原則禁止には、政令で2つの例外が認められる予定です。1つは、現在の政令26業務のうち数点を例外として認めることです(現在、17.5業務が案としてあげられています)。

もうひとつは、「雇用機会の確保が特に困難な場合」も例外して認める予定です。後者の具体的内容ですが、国会での議論を踏まえ、高年齢者や学生、主婦等が派遣就労する場合は、日雇派遣を認める内容となることが予想されます。

どのような労働者を派遣労働者として採用し派遣するかは派遣元が責任を持つことなので、派遣先は信頼できる派遣元と取引している限り大きな心配や混乱はないでしょう。どうしても気になる場合は、有料職業紹介事業の許可を有する派遣元から、派遣ではなく職業紹介によって短期の労働者を紹介してもらい、労働力を確保することも選択肢としてあげられます。

法令に精通していることはもちろん、総合的な人材サービスを行う企業が、今後は労働者にも取引先にもベストの選択肢を提案することができるのでしょう。

ランスタッドでは、お客さまからの求めに応じて正確な情報を提供し、専門家との提携にて実務のご相談に応じております。他社派遣スタッフに関する質問であっても、ぜひ、お気軽に当社にお問い合わせ下さい。

(2012年8月掲載)


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労務コンプライアンスノート本コラムでは、多様な人材を活用する企業人事部門の皆さまが、コンプライアンスに則った適正な形で人事・労務業務を遂行いただけるよう、ランスタッド顧問社労士がバラエティに富んだ労務トピックスを分かりやすく解説いたします。

特定社会保険労務士 田原 咲世 (たはら・さくよ)

1968年大阪生まれ。立命館大学修士課程修了後、旧労働省に入省し、労働基準法・男女雇用機会均等法・派遣法改正などを担当。2008年3月まで北海道労働局の需給調整指導官として活躍。2008年4月から札幌で北桜労働法務事務所を経営。特定社会保険労務士として、労働関係法を中心とした指導を行う。現ランスタッド、顧問社労士。

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